5.ギルド初報酬
「――ごらんくださいシルティさん! あれが今回の討伐対象、スズメバチの巣です!」
「……」
老夫婦の住む家屋の軒下に、直径50cmは超えんという巨大な蜂の巣。
悪名高き昆虫が周囲をぶんぶんと飛び回っております、これはいけません。
ぶんぶん相手に救済槌をぶんぶんしたい所ですが、相手は小さき集団。そうもいきません。
ハンマーぶんぶんは今後のためにとっておき、今は専用の対策をとらねばなりません。
「いいですかシルティさん、スズメバチは大変に危険……複数回刺されると重篤なショック症状を引き起こす可能性もあります。この防護服から肌を出してはいけませんよ!」
「…………」
スズメバチは黒きものを攻撃する習性があります。
そこで魔力強化を施した真っ白な麻布で全身を覆い、防護服とするのです。
ああ、初めて蜂と闘争した時の記憶が蘇ります。いっぱい刺されました。痛かった……。
「ごめんなさいねえリリデスさん、こんなこと頼んじゃって……」
「いえいえ、むしろ感謝しております。なにせ初の依頼なのですから……! それでは作業中は屋内に避難をお願いします! 」
「お願いしますねえ」
「ではシルティさん、スズメバチにはこのスモークをかけてやりましょう! 動きが鈍っている間、私が巣を切断し、袋に入れて完了となります! シルティさんは網でハチの捕獲をお願いします!」
「リリデス……。違う……違うんです……リリデス……」
「いけませんシルティさん、集中してください! 危険ですよ! ではいきます!!」
「…………はい」
かくしてスズメバチとの戦闘が始まりました。
巣の駆除は短時間で早急に行わなければなりません。シミュレーションは完璧。
屋根伝いに慎重に接近、シルティさんが網にて飛び回る蜂を捕獲、スモークを焚きながら巣を手早く切断。
襲いくる蜂に怯むことなく、急いで袋へ回収しあ痛たたたただだだ。
「……ご、御覧くださいシルティさん、とれました!! 依頼は成功となります!」
「………………はい」
刺されながらも依頼を完遂。痛い。
今回は依頼主のご厚意もあり、なんと50,000Gもの報酬金!
始めてのギルド収入……いわば我々の初お給料。
懐どころか心も暖かくなる気持ちです。痛い。
「なにはともあれお疲れ様でしたシルティさん!」
「……お疲れ様でした…………」
別れの際、毒に効くおくすりを差し出してくれたシルティさん。
折角ですのでシルティさんのぬくもりを感じるお薬と共に寝ました。
それはもうぐっすりでした。ふふ。




