表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「宗教勧誘しただけなのに追放されそうです……」  作者: 頭いたお
12章 キミエラ、王都へ行く
125/156

4.キミエラ、貴族と会う

「――お待ちしておりましたエーリス様。わたくし、執事長のミハエルと申します。この老体めが御案内させて頂きます」


「くるしゅうない。面を上げえーい」


「ははあーっ」



 巨大なる屋敷。

 ノリの良い執事長殿に迎えられ、邸内へ。

 なんと大きな邸宅だろう。驚いた。



 ……いや、流石に大き過ぎる。

 大貴族とは聞いていたが。これ程とは。

 聞けば、見渡せる範囲全てがゴルディウム家の敷地であるという。

 本当に、随分な所へ来てしまった。



「……エーリス。やはり私は不安だ。君にここでの暮らしが出来るとは……」


「パツキンだから大丈夫だって!」



 パツキンで押し通せるとも思えなくなってきた。

 野生児の如き彼女だ。貴族の嗜みを学べるとは到底思えぬ。

 不安はいや増す。不幸な事にならぬだろうか。



「……ご安心下さいキミエラ様。決してその様な事にはならないかと」


「む? ……すまぬ、顔に出ていただろうか」


「カタリナ様にお会いになれば、貴方様の不安も吹き飛ぶ事で御座いましょう。柔和な方で御座いますれば」


「……。…………」



 ……執事長殿の後ろを、二人でついていく。

 周りにはなんとも華美な調度品。教会堂に負けず劣らず、多くの美術品が飾られている。

 慣れぬ環境に緊張する私。対照的に気楽なエーリス。



 この緊張。

 恐らく、場に飲まれただけではあるまい。



「? どったのキミちゃん」


「いや。……」


「…………」






「――リナちゃーん! 久しぶりぃ~!」


「あ~! エリちゃ~ん待ってたよ~!!」



 小部屋に通されたかと思うと、エーリスが駆け出して御婦人に抱き着く。

 この方がベグリオ伯爵夫人――カタリナ殿。


 女傑をイメージしていたのだが、大分違う。

 おっとり然とした風貌の女性である。やさしそう。

 屈託なき笑みでエーリスを抱き抱え、くるくると回っている。たのしそう。



「待っていたよ御二方。君が付き添いのキミエラ氏だね?」


「む。……キミエラ・エキドゥと申す。貴殿は?」


「グスタフ・フォン・ゴルディウム。病床の父に代わり、代理として当主を務めている者だ」



 続いて現れたるは立派な紳士。

 まるで絵本から飛び出してきたかのような、これぞ貴族といった風体。

 常日頃から白馬に乗っていそうだ。馬がいないか探す。いなかった。



「グスタフ殿か。……申し訳ない。我々、貴人と接した経験が少なく。ご無礼は多々あると思うが……」


「まさか! むしろ『聖徒』の方に対し、我々こそ低頭して接さねばならぬというもの。お会いできて本当に光栄だ」


「む? いや、こちらこそ」


「この縁もきっと神のお導き。是非とも末永き付き合いを……」


「……」



 ミューゼ殿が、私にこの任を預けた理由が分かってきた。

 『聖徒』の肩書は、貴族階級にも充分通じるものらしい。

 グスタフ殿からの熱い眼差しを受け、己が立場を再認識する。


 握手している間、カタリナ殿は回り疲れ、床に倒れた。

 そこに覆いかぶさり、じゃれつくエーリス。

 とびっきりの笑顔。それを見る我々も、つられて笑う。

 場が、温かな空気に包まれた。



 不安は、杞憂だったようだ。




「――やあ。はじめましてエーリス。私はグスタフ。ゴルディウム家の当主代理……」


「! チンコパンチ!!!」


「ッア゜ア゜ア゜ア゜アァアアアァアア゜っンッア゜ッアァアアアアアァァ」


「ウオオオオオオオ私が新当主だアアァァァァァァッ!!」





 やはり駄目かもしれない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ