2.キミエラ、昼食をたべる
「とりあえず飯食うか……」
「あっひひひっひっ、ひっ、ひぃっ……! お腹痛い、笑いすぎてお腹痛い……!」
「股間痛いよりマシだろうが」
三人で飲食店。少し遅めの昼食。
楽しみのあまり気付かなかったが、スティキュラ殿が青い顔をしている。
チンコパンチが大分効いたらしい。今後やめさせねば。
「エーリス、今後チンコパンチは禁止だ。危険過ぎる」
「でもチンコパンチ楽しいよ! キミちゃんもやってみなよチンコパンチ」
「チンコを殴るのは良くないことだ。そもそも人を殴ってはいけない」
「あたしチンコ無いからよくわかんねえんだけどそんな痛いん?」
「私もチンコ無いからよくわからんが大分辛そうだ」
「チンコってそんな痛えのスティキュラ?」
「公共の場でチンコチンコ言うのやめてくんない?」
チンコはさておき、昼食をとりながら近況を聞く。
スティキュラ殿は、エーリスとリリデスの間で連絡役を担ってくれている。
既に何度も手紙をやり取りしたようだ。
「再度礼を言わせてくれ。貴殿には何の益もない事であろうに、誠にかたじけない」
「礼なんかいらねえよ、好きでやってんだから。それに顔出す度、ママさんにご馳走してもらってるしな!」
「毎晩泊まってく癖にまだチンコ見せてくんねえの」
「何回チンコ言うんだよお前」
「ところで例の件。……状況は芳しくない、と聞いたが」
「やっぱ厳しいなァ……。相変わらずだよリリデスの奴」
「手紙でいっぱい説得してるんだけどさー。信仰の話になるとはぐらかされるんだよねぇ」
「……そうか」
予想通りではある。そう簡単に変わろうはずもない。
これまでの一切を否定し、家族も仲間も裏切ってまで得たカルラン信仰。
やはりもう、手の届かぬ所へ行ってしまった、そう考えるべきなのだろう。
「でもよ、以前に比べりゃ確実に丸くなってるぜアイツ」
「うんうん、きっとこれはいい兆候だよ! 前向きに考えてかなきゃね! ……ねえねえキミちゃん、どう? リリちゃんに会ってかない?」
「それは駄目だ。信仰が戻っていない以上、私は会わぬ」
「えー……」
「何なら、君一人で会いに行くと良い。私は待っている」
「んー……。じゃあいいよ。キミちゃんと一緒に会いたいし」
「そうか。……すまないなエーリス」
「べっつに良いよ~。ね、スティキュラ?」
「お、おお。ま、そうだな。いずれ会える日もくるだろうよハハハ」
「?」
「……あー、それよりよ! 挨拶前に観光してくんだろ? 場所は考えてんのか?」
「ああ、それなら」
約束の時刻まではいくらか余裕がある。
その間に、彼に王都を案内してもらう予定だ。
観光先候補はいくつか見繕ってきた。
「まずはさ! まずはさ! スティキュラのギルド見たい!!」
「わりいそりゃ無理だ。ギルド乗っ取られちまってさ、幹部みんな追放されちまって」
「結構な大事件じゃないんそれ……?」
「キミエラはどっか行きてえ所あるか?」
「うむ。ミゼイル教会堂へ行きたい。武具屋巡りもしたいし、コメリパワーにも案内してもらいたい」
「コメリはいいだろお前」
「約束の時間までそんな時間ないよ? 一つに絞っていかないと駄目だよキミちゃん」
「む……仕方あるまい、教会堂と武具屋は諦めよう」
「コメリ最優先かよ」
説得を受け、教会堂へ赴くことに。
数多ある教会の中でも、美術作品の数々で著名な場所。
芸術には疎いが、聖徒が一員として訪れねばと思っていた。
「ここからだとちょっと遠いぜ。馬車使うか?」
「スティキュラの肩車で! それかったぐるま! かったぐーるま! へい!」
「へいへい。どうぞエーリス殿、肩をおつかいくださいまし」
「いいってさキミちゃん」
「たすかる」
「……お前が乗るの!!?」
肩車。
乗る方は初めてである。
たのしい。
「絵面がすげえことになってねえかこれ……!?」
「めっちゃウケる」
「たのしい」
たのしい。




