12.リリデス対策会議②
再投稿部分となります、申し訳ありません。
「みんなただいまぁ。戻ったよ」
数日後。
ギルドマスター、クレインがようやく帰ってきた。
口髭をひねりながら、のんきな調子で。
「今までどこほっつき歩いておりましたのクソヒゲ! このアホ! ヒゲ! クソボケッ!」
「てめえ俺たちの苦労を……ッ!」
「こ、こわぁ……! や、やっぱり毎日きてるのか、リリデスくん……」
私とて糾弾したい思いはあったが、七色と暴腕に任せる。
なんだかひどく疲れている、声を張る気力はとうにない。
特に先日の会話――会話にならない会話が、未だにこたえている。
「まあ、まあ、ここは落ち着いて……一旦コーヒーブレイクと洒落込もうじゃないかね君たち……」
「……ッ」
ミナトが震えた。
思い出し笑いを堪えている。
「儚き」剥奪の日も近い。
「……」
ブレトンは完全に顔をそむけた。
こいつはもう絶対笑っている。絶対いま質実じゃなくなっている。
「質実」はもう剥奪してもいいと思う。
罵詈雑言と振動はさておき、ここ最近の動向を伝える。
彼女の行動、そして聞き出した宗教観の一端、対話の不可能性。
そして決して、止まらぬであろうこと。
クレインは口髭を一つひねる、黙している。
二つひねって、ひどくうつむく。
三つ目には、意を決したような、決していないような、なんとも言えぬ表情。
四つ目にキレたアエラが髭を引き抜く。悶絶している。かわいそう。
「…さっ、最終手段と……っ! い、いくしかないかなあ……」
「? なんか策があんのかよマスター」
「早くお言いなさいクソヒゲ!」
「う、うーん……。まあ、言い出し難いことではあるんだが、もうこれしかないかなって……色々と失うとしても……。君たちはなんとか、守らないといけないし、ねえ……うーん……」
「……察しはつくが、いいのかクレイン」
「クレインさん、もしかして……」
「……え? な、なんですの?」
「は?」
クレインのなさんとしていることが、なんとなく掴めた。
ギルドのメンバーを守るため、切り捨てようとしているものが。
リリデスを守ることを諦めた今、少なくとも我々をなんとかしようとする思惑が。
「あのねえ、明日なんだけども――」
リリデスは明日、自責の念から悲しみの淵に立つかもしれない。
しかし「リリデス」の像を失っている私には、断言などできない。




