表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/156

6.クレインと悪意②

 ――馬車。

 最悪の気分だ。腹が立ってしょうがない。

 「よろしく」ときたもんだ。やっぱ人質じゃあねえか。

 クソ、クソ、クソ。クソ。



 自由になりたかったはずなのに。

 俺はもう、鎖で雁字搦めだ。なにが自由だ。

 自分だけならまだしも、身の回りの人間すらも。

 ふざけやがって。ふざけやがって。ふざけやがって。




 いつから、こうなった。




 強くなりゃあ、自由になれると思った。

 自由になりゃあ、幸福になれると思った。

 結果はどうだ。幸せとは程遠い所に立ってやがる。

 幸せを求めた先がこれじゃあ、人生ってのは甲斐がない。



 そもそも、幸不幸っつーのがよくわからくなってきた。

 良いことがあったと思えば、悪いことになっている。気付けばそいつがまた良いことになったり、ならなかったり。

 幸福なんて物差しは、人間個人には手に余るんだろう。なるようにさせるしかない。

 人生、別の物差しが必要だ。……どんな物差しだ?





 ――「正しさ」が、欲しい。少なくとも、今だけは。

 しかしこの状況での正しさがなんなのかわからん。

 使えねえ物差しだ。どうすりゃいいんだよ。





「…………」


「…………」



 ……アンス君が、心配そうに顔を伺ってくる。

 表情に出ているんだろう。感情のコントロールは学んだつもりだったけれど。



「クレイン殿。お気分の程は……」


「……アンス君! よくもウサインタイムまでチクったな!? この薄情者!」


「職務上必要なことでして……」


「なにが職務だ! 僕はもう君を信用してないからね! 僕らの大切な一瞬を……」


「……クレイン殿。私、本当に同情しているのですよ。あなたが……そしてあなたのお仲間が、あまりに不憫で」


「……同情ったってねえ。君はジジイの味方じゃないか」


「無論、己が責務は全うするつもりですが……。私とて一個人の人間であり、心に思う事とてあるのです。私、改めてあなたと……その御一行様を、全力で支援することを決意いたした次第です。……公務上でも、個人的にも」


「……個人的、ねえ」


「巻き込まれてしまった以上、陛下の描く計画に組み込まれる他ございませんでしょうが……。その『物語』を、より良く彩ることは出来るはずです。私めは、全力でその支援をば……。あなたのため……」


「……」


「何か必要事がございますれば、是非とも私をお頼りください。全身全霊をもってお応えいたしましょうとも」



 やけに熱っぽく語るアンス君。

 いい若者だ。少しいたずらしすぎたかな。

 ウサインタイムはこれっきりにしてあげよう。



「……そうだねえ。頼りにさせてもらおっかな。……なんかあったらすぐ連絡するよ」


「ええ。……些細なことでも構いません。是非とも、私を頼りに――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アンス……怖っ。クレイン、どうなるんだー!? クレインの暇つぶし探訪と見せかけて色々重要な情報ぶっ込んでくるスタイル好きです。 ここからミミリィの淡い恋心がミナトくんを石像にして増え過ぎたパンダの対…
2025/01/18 10:28 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ