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第五記最終和 三千世界と起請文

「方法がある?」

すると日向は外に出た。そして何やらを地面に書き始めた。

「これは?」

神魔法の魔法陣だ。この上に立ち、呪文をとなえれば法力を及ぼす。

「?」

これはとなえればどこにでも行けるんだよ。

「ほんとかい?先生」

用意ができたら3人でここへ


八百比丘尼は用意を始めた。「外に出られる!」ただ、それだけが嬉しかった。

ふと思うと物の化たちともこれで別れなのか?常に自分を守ってくれた物の化たちにすまない気がした。


比丘尼どの、どうされた?

「日向どの、物の化たちはどうなります?ここに置き去りですか?」

大丈夫、この異世界をなくせば良い。

「え?」

わたしには出来ないが須佐の武人には出来る。呼べば必ず来てくれます。第一、このまま放っておけば一般市民もここに来て出られなくなってしまう。

「物の化たちは?」

そんなことは影響はない。と言うか、いつでも会えます。さあ!


そう言うと3人は魔法陣の上に立った。日向がなにやらの呪文を唱えている。すると光が3人を包み込み、姿が消えた。

しばらくすると霧の外に出ていた。

「出られた?!」

「ほんとだ!先生!すげえ」

これであなたは自由だ。ただし生涯、医療に携わってくれ。

そうすると巻物と板を鞄から出した。

「これは?」

まずは「神魔法の遠行幸指南書」。これがあればどこにでも行けます。この中の魔法陣を書いて呪文を唱えるだけです。

もうひとつの板は「「起請文きしょうもん」です。熊野神社の護符の裏に書いてある。誓いを破れば、使いである烏(八咫烏)にやつざきにされますぞ。


「誓いとは医療に従属しろと言うことですね」

日向は頷いた。

そして口笛を吹いた。

「日向どの。わたしは誓います。生涯、国中を放浪し、病を直します」


しばらくすると狼の群れが囲んだ。

「お、狼が!」

狼は須佐の友人。あなたを陰で見守ります。

平太が狼の頭を撫でている。


ではここでお別れだ。

「比丘尼さん、元気でね」

「ありがとう、平太くん。さようなら」比丘尼はそして去っていった。


平太、比丘尼が不老不死だと思うか?

「ちがうの?」

人よりは数倍長生きだろうがな。不老不死など存在しないんだ。

「比丘尼さんもいつか死ぬの?」

日向は頷いた。


八百どころか千年生きていると言った。そう長くは生きられないだろう。

「長生きのくすりは?」

使えるのは須佐だけだ。

「・・・生きがいを見つけたのに可哀想だね・・・そう言えば、さっき言ってた不老不死の薬を探しに来た徐福って人どうなったの?」

1200年前の話だ。色々あやしい記述は残っているが、見つけたと言うことは載っていない。富士裾野にも現れたらしい。その昔、富士山は不死山と呼んでいたそうだ。どこかでその話を聞いたのだろう。そしてそこに一大拠点を作ったとある。彼の死後、厩戸皇子うまやどのみこが彼が編纂したと言う「宮下文書みやのしたのもんじょ」を見に行った。

「へえ、それで?」

長い話になる。須佐も関わっている。道すがら話してやるよ。


その後、八百比丘尼は全国をまわった。北海道と九州南部以南を除くほぼ全国に分布する伝承が残っている。

そして若狭にたどり着き、「わたしは後、少ししか生きられない」と言い、深い洞窟に入ったままゆくえ不明になった。


「比丘尼さまが消えた・・・どこさ行っただ?」近所の村人たちが心配して洞窟を見に来た。「挨拶もなしで消えるような方でねえぞ」「入定(死亡)されただか?」「屍がねえじゃねえか?」

「見ろ、こりゃなんだ?」「まじないのようだ」

魔法陣が残っていた。

見慣れぬ文字(サンスクリット語)で書かれてあった円陣だが1つだけ読めた。


須佐部落・・・と。

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