大切な時間
あまり話が進まず申し訳ございません。
互いに思い思いの本を手に取るとセレナは荷物を置いた席に行こうと思ったが、
「クラウド様はどちらの席に着かれますか?」
「セレナ嬢と同じところで構わない。」
「でしたら荷物を取って参りますのでこちらの席にしましょう。」
王族関連の棚の近くの方が良いと思い席を移動することにした。
「荷物なら私が取ってくるよ。待っていて。」
「あっ・・・」
セレナは手を伸ばすがクラウドは返事も待たずに図書館で怒られない程度の早足で取りに行きすぐ戻ってきた。
「これだね?」
「はい!ありがとうございます。」
「これぐらいのことで礼は必要ない。」
それでもお礼を言いつつ席に着いた。クラウドも席に着くと早速ページをめくり始めたのでセレナも黙々と本を読むことにした。
しばらく読んでいるとふと目線を感じ、本から目を逸らすと
「セレナ嬢は王太子妃にでもなるのかい?」
クラウドの問いかけに思わず目を見開いてしまった。
「ど、どうしてそのようなお考えに?」
不自然にならないように長年磨いてきた技、令嬢スマイルで聞くと
「読んでいる本が国民や貴族目線というより王族目線の内容かな?と思ったんだ。」
本の装丁には"国の歩み"、"民の心と王の繋がり"と記されているが一見内容までは分からないはず。
「もしかして、クラウド様はこの本の内容がどんなものかご存知で?」
「セレナ嬢、もっと砕けた喋り方でもいいんだよ?」
質問の答えが返ってこない?!知っているってこと??さらに質問で返してくるなんて。
クラウドの言う通り手元にある本はこの国、ナルシャ王国の歴史と王族の代交替、国王がどんな政策を行い、王族にどんな影響があったのか綴られたものだったのだ。(まだ全部読んでいないが目次で解釈)
「それは出来ません。公爵令嬢として皆さまのお見本になるようにと育てられましたから。」
「私たちは国は違えど公爵家同士なんだ。もっと仲良くなれると思うけど?」
ま、眩しい!その王子様的なスマイルやめて〜!
クラウド自身も先程より言葉が砕けているのは感じるがセレナには異性にタメ口は慣れない。仕方がなくこの留学の間だけならと妥協点を考えた。
「努力・・・するわね?」
「そうだね。嬉しいよ。セレナ嬢。」
互いに公爵家スマイルで会話を交わした。
その後もこの国の王族の話についてや隣国の話を聞きつつ2人で知識は深められた。
窓の明かりが強まりもう昼過ぎだとわかりセレナは本を借りて帰ることにした。
クラウドとはまた学校で会うのだ。また話す機会もあるだろう。
「クラウド様、隣国のことを学ぶことができてよかったわ。ありがとう。また学校で。」
「今日はこちらこそありがとう。楽しかったよ。」
クラウド様と図書館の出入口まで行くと隣国の紋章が金で縁取られた立派な馬車が待っていた。
私の公爵家の馬車もそれなりに立派と自負しているが隣国の公爵家の方が一歩上なのかもしれない。お父様。ファイト!
「セレナ嬢、手を」
セレナが馬車に乗る手助けをしてくれるが手を添えるか一瞬悩んだが断るのも失礼と思い手を借りた。
「ありがとう。クラウド様。」
「役得だよ。」
今日は何度この次期公爵様スマイルにあてがらわれただろうか。眩しすぎる。学校で女子生徒からモテる理由がわかった気がした。
「今度はもっとゆっくりできるといいな。」
「クラウド様はお忙しいでしょ?時間を大切にね。」
馬車の扉を閉め、セレナはクラウドに手を振り今日のところは別れた。
「貴女との時間が俺には大切なんだけどな。」
次から新展開です。




