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ヒーロー(?)登場

読んでいただきありがとうございます。アクセス数が増えてきており励みになります。

よく考えてみればエルトニア帝国第一王子からの贈答品が届いた話は公爵家の中だけの話で漏れていないはず。あとは昨日の陛下とのやりとりは当事者しか知らないはずだ。

噂話がついにマルクスとセレナの婚約が決定した話に膨らんだのだとセレナは解釈したが、


「あら〜セレナ様ぁ。おはようございますぅ。まさかエルトニア帝国の王子とご婚約されるなんて驚きましたわぁ!」


しばらくセレナの前に姿を現さなかったベルが校舎から歩み寄り、満面の笑顔でセレナを出迎えた。


「べ、ベル様。おはようございます。」


発言内容にセレナは驚きのあまり、笑顔を作ろうにも顔がひきつってしまう。深呼吸をして背筋を伸ばしやり直す。


「どちらでそんなでたらめなお話を?私は存じ上げませんので驚きました。」


「でたらめですって?!私は事実を話していますわ!」


ベルは顔を赤らめ必死に皆に聞こえる声で話を続ける。


「セレナ様がマルクス様との婚約を諦め、隣国の第一王子に結婚をしてくれるよう、申し込んだと聞きましたわ。本当におめでとうございますぅ。きっとこの国のためになりますわ。」


「よくそんなことを・・・」


現実、セレナの考え次第でその話は事実になるがこれではまるで逃げたように聞こえた。

まだエルトニア帝国との話は父セブルスに返事を保留にしているので答えも出ていないが認めて引き下がった方が丸く収まるかもしれないと諦めかけたそのときだった。


「これは、これは、フォルン嬢。おはよう。あれ?皆さん朝からお揃いのようだがどうかされたのかな?」


ークラウド様?!


セレナは自分の気持ちに気づいてから初めてクラウドに会ったからか体温が少し上がってしまう。


「あらクラウド様。おはようございますぅ。今セレナ様にエルトニア帝国の第一王子との婚約のお祝いを申し上げていたんですよ。」


ベルは先程とは打って変わって目つきも穏やかにクラウドに話しかけた。


「ふ〜ん・・・そんな空気には見えないが、どうしてかわかるかい?ハードン嬢?」


「どうして?とは?言っている意味がよくわかりませんわ。」


「なら仕方ない。私から話そう。この数日間、噂話が好きな者達は良いかもしれないがそうではない者達は聞いても気分が悪い話ばかり聞きたくないのにずっと聞こえてくるんだ。例えばフォルン嬢がハードン嬢に嫌がらせで水をかけた?教科書や鞄を隠した?他にはなんだったかな?多すぎて忘れたな。そんな話を聞いているのにハードン嬢がフォルン嬢にお祝いを?君は女神か何かかい?」


クラウドは目尻を下げて笑って見えるが瞳だけは暗く、ベルを睨んでいた。ベルはその表情に気づき、後退するが後ろには数人の令嬢がいてそれ以上は退がることができなかった。


「わ、私は心よりお祝いを・・・」


「それは自分達の邪魔者がいなくなるから嬉しいのかい?確かハードン嬢はマルクス殿下に選ばれた才女で2人は両想いなのにフォルン嬢が王妃になりたいから婚約を強制して邪魔をしているだったかな?あとは・・・」


「も、もうやめてーー!!」


ベルが耳を押さえて叫ぶとその場でしゃがみ込む。後ろにいた令嬢達もどうすれば良いのかあたふたしていたところでヒーロー(?)が登場した。


「ベル!一体どうしたんだ??!」


今学校に到着しただろうマルクスが正門からベルに走り寄り、ぎゅっと肩を抱きしめた。


「マルクス様ぁ。マルクス様からセレナ様と隣国の王子とのご婚約を聞いて嬉しくて、私は・・・私は心よりお祝いを申し上げただけですのに・・・」


ーエルトニア帝国の第一王子との結婚の話を漏らしたのはマルクス様だったのね!!


これで全て話が納得できてしまった。陛下があの後話したのだろう。それをベルに言う??信じられない。


校舎入口で抱きしめ合う男と女は"周りが見えない、2人だけの世界"状態だ。腕の中の女は目に涙を溜め綺麗に頬へ流した。


「セレナ様は婚約の話はでたらめとおっしゃるし、そちらのクラウド様からはお祝いを本当に言ったのか疑問だと抗議があったのです。私は間違っておりませんよね?」


首を傾げるともうマルクスはベルの虜だ、馬鹿王子のエンジンがかかってしまった。


「なんて酷いんだ!女の子1人に寄ってたかって責め立てるなんて!セレナ!皆の見本となるべき公爵令嬢がどういうつもりだ!」


マルクスが立ち上がり、セレナに罵倒しながら歩み寄るが横から腕を掴まれ止まるしかなかった。


「あぁ、エルトニア帝国のクラウド・ウィリアム公爵令息か。」


「どうぞ、クラウドとお呼びくださって結構です。マルクス殿下。」


「じゃあ、クラウド!この手を離せ。」


「いいえ。離しません。フォルン嬢より先に私とお話ししませんか?」


次は男同士の話が始まろうとしていた。


ありがとうございます。次はずっと書きたかった話です。

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