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難多き青春  作者: レモン
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第八章 嫉妬

自分の中で燃える炎

目を見えなくする幻

嫌悪感と、苛立ちを示す

強くて頭のいい人に対して


 新しい子がクラスに入ってきた。彼女は転校生というわけではなく、学年を飛び級して私たちのクラスに入ってきたのだ。最初はただの学年を飛び級したちょっと賢い女の子かと思っていた。しかし、彼女は本当に完璧過ぎて、私は彼女を嫉妬するようになった…


 「クリスティーナ・ヒルズさんです。」

 私は先生がある女の子を紹介するのを見た。私は数か月前、自分がそこに立っていたのを思い出して微笑んだ。もちろん、彼女はきっと私ほど緊張してはいないだろう。今までと同じ学校なのだから。それかもしかしたら、彼女はもっと緊張しているかもしれない。みんなが彼女より一学年上なのだから。私がこんにちはとか声をかけてあげたらいいかもしれない。後で声をかけてみようかな。

 私の考えは新しい女の子からキャリーに切り替わった。今日仲直りしようと思っている。昼休みに図書館でもどこでも彼女の好きなところへ行く。私たちは楽しく話をして、昨日のささいな嫌な出来事について忘れてしまえるだろう。

 4限目はまた体育だった。水泳の授業で、クリスティーナは断トツで一番泳ぐのが速かった。みんなはクリスティーナの運動神経の良さに驚いていた。私は自分も比較的運動神経がいいので、ちょっと嫉妬してしまった。まぁ水泳は私の一番得意なスポーツではないけど。これで私の中での彼女の好感度はちょっと下がった。もう彼女に自己紹介をしようとは思わなかった。

 4限目が終わり、私は廊下でキャリーのことを探したが、どこにもいなかった。たいてい、お互いが見つからない時、私たちは図書館に行く。人が少ないので、混み合っている食堂に行く前に待ち合わせをするにはちょうど良かった。それなので、私は図書館に行った。そして、待って…待って…待った…昼休みが始まって30分が過ぎたのに、キャリーは一向に現れなかった。私は信じられなかった。こんなこと初めて。私はキャリーに対し怒りと不信を抱いた。それと同時にとても悲しく、混乱していた。

 それでも私の中にはまだ小さな希望があった。キャリーとの友情を信じて。もしかしたら彼女は単に遅いのか逆に私を探しているだけかもしれない。それだからもう10分待った。でもキャリーは来ない。

 私は怒りを感じながら、図書館を出て食堂へ向かった。座る場所を探した。その時、私は見覚えのある栗色の茶色い髪をした頭の子を見かけた。キャリーだ!私の心は安心と喜びに満ち溢れた。怒りは消えて、私はただ親友を見つけることができて嬉しかった。

 キャリーはきっと先に食べ始める理由があったのだろう。説明してもらって、私も昨日のことを謝ろう。

 その時、二人目の人物を見て私の足は止まった。それは…クリスティーナだった。

 私は信じられなかった。あのガリ勉が私の親友を奪った!私の心臓は強く打ち始めた。私は頭の中で彼女らに話しかけようか迷った。まるでもう何年も親友であったかのように話す二人を見て、やめることにした。そんなエネルギーや力はなかった。私はこれまでで一番弱みを感じた。

 ソフィアと彼女の友達はもう食堂にはいなかった。見つからなかった。昨日ソフィアが優しくしてくれたのは、私が彼女にいいことをしてあげたからだろう。これで私の社交的になるチャンスもなくなった。

 食堂の隅の方で、空手部の女の子たちが座っているのが見えた。何となく、話しかけに行く気が起きなかった。空手部の人たちはお互いのことをよく知っていて、私はまだ新入部員だから誰のこともあまり知らなかった。2カ月経ったのに、私はまだ空手部でもこの学校でも「新入生」だった。優しい人(昔のキャリーみたいな人)が、私のところに来て話しかけてくれたらどんなに嬉しかったことか。

 さらにつらかったのは、同じ新入生でもクリスティーナは馴染むのに全く苦労しなかったことである。彼女が私と同じように苦しまなかったことに何だか怒りを感じた。ソフィアもすぐに学校に馴染んでいたし。なぜ人って幸運な人と不運な人に分かれるのだろう。そして、なぜいつも私は不運な方なんだろう。

 この学校に来て一人で食べるのは2回目だった。前回と同じぐらいつらいか、親友に裏切られた苦痛で今回の方がよりつらかったかもしれない。友達なんか作らなきゃよかった。この学校に来なきゃよかった。

 キャリーよりクリスティーナへの怒りの方が強かった。心の奥底では、きっとキャリーがクリスティーナを誘ったのだろうとわかっていた。私に対して昨日怒っていたから。でも、私はクリスティーナのせいにしたかった。それは私がまだあの水泳の授業のことで怒りを感じていたから。私は、ハンバーガーを見ながら、水泳の授業のことを思い出した。

 知らない男の子が友達に「あの女の子速いよ」と言っていた。私はつま先立ちして誰のことか見ようとした。最初はゴーグルと水泳帽をかぶっていたからよく見えなかった。私は水泳の速い女の子の周りにできていた人ごみの中へと入っていた。彼女はゴーグルを外した。そこで私はクリスティーナだと分かった。みんな彼女のことをほめたたえた。運動神経がいいねとか、速いねとか。私だって同じぐらい運動神経いいのに、誰にもほめられていない。

 私は今感じているみじめさが全てクリスティーナのせいだと決めつけた。クリスティーナは私のキャリーを奪った。なんてひどい!クリスティーナはキャリーのことほとんど知らないのに、キャリーには私がいたのに、強制的にキャリーを彼女の友達にさせたんだ。

 私はハンバーガーを皿の上に戻し、クリスティーナの方向に嫌悪に満ちた表情を見せた。私の嫌悪を感じる?と私は思った。もちろん、彼女は何も見えも聞こえも感じもしない。彼女は私のこの学校にいるたった一人の親友を奪うのに忙しかった。

 さらに最低なことに、私は数学のクイズでも、英語のつづりのクイズでもニ位だった。誰が一位だったと思う?あの嫌なクリスティーナだった!


 私は本当にあの子が嫌い!一番むかつくのは彼女が私より一年下だということ。私は彼女より一年も長く生きているのに、彼女に負けているなんて。

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