第五章 違う道
ある人と全てのことを一緒にすることはできない
たとえその人がとても親しい人であっても
気の合う友情は必ずしもいいとは限らない
自分には自分の追及したい夢があるはず
私はついに望みを叶えることができた。ようやく自分の選択ができた。それはつまり、自分の入りたい部活に入れたのである。その部活は、キャリーとは違う部活である…
5月の初め頃、私は自分の入りたい部活を決めなければならなかった。部活は大きく二つの種類に分けられる:文化系と体育系である。
キャリーは文化系の新聞部に入っている。新聞部も悪くはない。学校新聞の記事を書く。結構面白いとは思うけど、何だかガリ勉クラブへの招待のようであった。あまりこう言ってはいけないことはわかっているけど、なんかこの部の人たちはパッとしない。
私が部を訪れた時、まんがを読んでいる人たちがいた。新聞にのせる面白いまんがの一部を探していたのかもしれない。でも、何人かは明らかにただまんがを読むのを楽しんでいるだけで、新聞のことなんてどうでも良さそうだった。何人かは真面目な顔をしてパソコンに激しく字を打ち込んでいたが、何人かはパソコンに向かってしかめ面をし、あまり書きたそうにしていなかった。また、何人かは仕事がなくて退屈そうにもしていた。私はこの部の雰囲気があまり好きじゃなかった。私は運動するのが好きなので、体育系の部活の方が良かった。
しかし、私は百パーセント新聞部に自分は入るだろうと思っていた。もしそうしなければ、、、まあ何が起きるか本当には分からなかったが、キャリーとの友情にはあまり良くない影響があるのではないかと思った。知らぬ間に、私は親友のために自由を失った。私はなぜかいつもキャリーに合わせなきゃいけない気がしていた。
本当のことを言うと、私は何もかものことをキャリーと一緒にすることにだいぶ飽きてきた。朝から夕まで毎日、私はキャリーと一緒だ。朝、学校に一緒に行き、一限まで話し、授業中や授業の間も話し、昼ごはんを一緒に食べて、図書館に行き、午後の授業中も話して、一緒に家に帰る。
私たちは完全に他の人たちから孤立している。どうして私は他の人と話さないんだろう。もしかしたら、あまり知らない人と話す勇気がないのかもしれない。もしかしたら、私は自分で友達を作ることができないのかもしれない。キャリーと出会った時もキャリーから話しかけてくれた。彼女が私に話しかけてくれなければ、まだ友達がいなかったかもしれない。それを思うと、少しだけ彼女に対し感謝の気持ちが生まれた。また、あまりに人見知りで内向的な自分に対し自己嫌悪になった。
その時、大きな質問が私の頭の中で形成された。キャリーとは一体誰で、私はなぜ彼女と親友なのか?
一か月以上仲良くしておいて、今さらこんなこと考えるなんて変かもしれない。しかし、今私が思うのは、彼女と出会ってから、私は何となく彼女と時間を過ごしてきた。彼女は私の何を知っているのか?彼女は私のいとこの名前やコネチカット州での人生、私の前の親友がどんな人だったかなどについて尋ねたことがない。詩を書くこと以外の私の才能や一人っ子としての人生についてすら聞いてくれたことがない。まあ私も彼女にそういったことを聞いたこともないけど。
なぜ、私たちはこんなにもたくさん一緒に時間を過ごしているのに、まだそこまで親しくなっていないのだろう?彼女は本当に私の友達なんだろうか、それとも、、、ただ、私が必要としている人なのだろうか。私がただ学校生活を生き延びるために必要不可欠な人なのだろうか。もしそうだとすれば、私が、あまり好きでない部である新聞部に入るほどの理由に一体なるのだろうか。
「お願い、お願い、お願いだから新聞部入って。すごく楽しいから!私が見せてあげた面白くて興味深い新聞記事、覚えているでしょ?」
私はキャリーが私に見せてくれた大量の新聞を思って微笑んだ。そこまで面白かったり興味深かったりなんてことはなかったけど、キャリーがそこまでして自分の部に私を入れようとしてくれていることは嬉しかった。
それにキャリーがいなかったら私はなんでもない。ただの、つまらない、静かな、恐怖心の強い転校生だ。
私はもう少しで「うん」と言いそうになった。
しかし、最後の瞬間にそれをやめて、「ちょっと考えさせてほしい」と言った。
入りたい部を選ぶのはとても大切なこと。慎重に考えなきゃ。ただキャリーに合わせているだけではいけない。
私は考えて考えて、部員届けを提出する最後の日まで粘った。そしてついに空手部が一番入りたい部だと決めた。アメリカでは少し珍しいので魅力的だった。それにフレンドリーで、かつクールで、少し厳しい雰囲気も好きだった。
それに、新聞部に入ったら、私は運動不足で太ってしまうだろう。デブで遅い人になったら嫌だもの。
「ごめんね。」と私はキャリーに自分の入った部活を告げた時に申し訳ない声で言った。
「気にしなくていいよ。」とキャリーは言った。しかし、彼女は「頑張って」とか「楽しんでね」というようなコメントもしなかった。
キャリーは毎日のように私に新聞部に入るよう勧誘していた。それなのに私は空手部を選んでしまい、少し罪悪感を感じた。
しかし、そこまで罪悪感は感じなかった。だって、私は自分の入りたい部に入る権利がある、、、でしょ?
きっといつかは私とキャリーは違う道を選ぶ日が来るであろうと思っていた。でも、きっと親友で居続けることはできるだろう。