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このパーティーの中に魔王がいます  作者: らうんどろびん
第六章 転生したら異世界最強になれるって本当ですか?
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第二十四話 転生したら異世界最強になれるって本当ですか? 魅惑のネコ科魔獣

「お次はシャドウパンサーとオークの組み合わせです。シャドウパンサーは隠密行動を得意とし、獲物の背後に簡単に忍び寄って襲いかかるので、漆黒の狩人と呼ばれています。一方、オークは知性は低いですが、その巨体と怪力はよく知られています。この二体の能力が合わされば、奇襲攻撃で大打撃を与えられる、一撃必殺を得意とする魔物の転生が期待できます」


「ふむ、それはなかなか心強いかもしれんな。どんな手練れでも、必ず隙というのがあるものだ。その隙を突いて、強烈な一撃が叩き込めるのであれば、敵にとっては脅威であろう」


「ですよねー。では、スイッチオーン!」


 サキュバスが転生装置を作動させる。装置から騒音が響いた後、中央の容器の扉がパカッと開いた。そして、扉の中から煙とともに転生魔獣が現れた。


「ワガナハ ピッグパンサー コンゴトモヨロシク」


「うわ、魔王様、シャドウパンサーの真っ黒だった毛色が鮮やかなピンク色に変わっています。前よりすごく可愛くなりましたね」


 シャドウパンサーの体毛は、ど派手なピンク色の変わっていた。ピッグパンサーと自らを名乗ったその魔獣は細身の体を後ろ足二本だけで直立させていた。


「あのなあ、可愛くなっても仕方ないだろう?」


「そんなことないですよ、魔王様。可愛いか可愛くないかは重要なことです。魔王様だって、私が可愛い方が嬉しいでしょう?」


「な、何を言い出すんだ。お、お前と他の魔物とでは、また別の話だっ」


 俺はサキュバスからの思わぬ不意打ちに少し動揺したが、平静さを取り戻そうと目の前の魔物について考えることにした。


「なあ、シャドウパンサーは隠密行動が得意だと言っていたよな? こんなピンク色の体色だと目立ってしょうがないじゃないか? それに何だこいつの体は、手も足もひょろっひょろにひょろ長くてとても力があるようには思えん。オークの要素はどこへ消えた?」


「それがですね、魔王様。実はオークは太っていることをとても気にしていまして、こんなに太っていてはまるで豚のようだと落ち込んでいたのです」


「いやいや、オークは豚の魔物だろ? そこは受け入れるべきとこなんじゃないかと思うが」


「ところがオークはそれが受け入れられずに、自分の心と体の不一致に悩んでいたようなのです。ですので、痩せて生まれ変わりたいというオークの強い願望が、転生結果に反映されたのではないかと」


「願望まで転生結果に影響するのか? はあ・・・、なんとも面倒くさい装置だな。なあ、こいつもどう考えても転生前より弱くなってるよな? 元に戻してやれ、こんな恥ずかしいピンク色の体のままでは不憫だ」


「えー!? 元に戻しちゃうんですか? 私は、こっちの方が可愛いので気に入ってたのですが。しかし、魔王様がそう言うのなら仕方ありませんね。・・・ん? 何です、ピッグパンサー?」


 ピッグパンサーがサキュバスに何やら訴えかけている。彼女はそれは頷きながら聞いてやってる様子だった。


「ふむふむ、なるほど・・・。魔王様、ピッグパンサーが言うには、彼はシャドウパンサーの時の黒い地味な体にコンプレックスを持っていて、本当はもっと目立ちたかったのだそうです。ですから、転生後のピンク色の体毛がとても気に入ったので、このままでいさせて欲しいと訴えています」


「え!? そんなピンク色の体がいいのか? 俺には全く理解できんが・・・。そうか、まあ、それなら好きにするがいい」


 ピッグパンサーは俺に一礼すると、軽快な足取りでここを出て行った。


「なあ、サキュバス。なんかナイーブな魔物が多い気がするんだが、こんなので人間どもと戦えるのか? 俺は不安を感じるぞ」


「あー、そうですね。ですが、転生希望の魔物は現在の自分に不満を持っているのでしょうから、そういう魔物が集まるのは仕方ないのかもしれませんね」


「む、なるほど。それはそうかもしれんな」

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