私のご主人様は抱き枕をご所望でございます
わたしのご主人さまは、
いつも無表情なのでございます。
私の名は、アリーナでございます。
誇り高き猫の種族。
でも、私は生まれた瞬間
親から殺されかけました。
なぜ、殺されかけたのかといいますと、
私の毛色です。
猫族は、本来ならば白の美しい毛を持ちますが、私は白に反する黒色を持って生まれてきてしまったのです。
それからは、本能で必死に逃げましたが
捕まってしまい、商人へと瞬く間に売られてしまったのでございます。
そして、私が15の時まで商人の所で奴隷扱いされながら何とか生きて参りました。
なぜ、15の時までと申しあげますと…
掃除をしていた所、すべすべの硬い床に足を滑らせてしまい、激しく頭を強打してしまったのです。
それからと言いますと、
何故か前世の私のささやかな人生を
思い出してしまい、今の現状を考えて、
突破口を何とか見つけ出したのです。
この獣人の国、アルバーマでは
奴隷を持つことは硬く禁止されており、
私の存在自体、外の者に見つかると
腹がたぷたぷな商人は、
裁かれる事になります。
そして、それからというもの、
私はある人へ毎日手紙を出しました。
一度、商人の事を調査しに
お越しくださった国のお偉い様だそうです。
名はシューベルト様です。
そして、その手紙を出した3時間後に
私は救出されました。
15年ぶりの外の景色を見て、
私は意識を失いました。
実はとっても怖かったのです。
目覚めた所は、とても綺麗な部屋でした。
生まれてこのかた、まともなベッドで寝るのは初めてでしたので、
つい、大泣きしてしまいました。
本当にびっくり致しました。
商人は、罰せられる事に
なったらしいのですが、
新たな問題としては、
私の今後についてでございます。
唸りながら話し合う
シューベルト様と私の所に、
どこかの使者が泡を吹きながら
全力ダッシュでやってきました。
その使者様によると、
私の引き取り手が
見つかったらしいのです。
うわぁぁい^ ^
そして、私とシューベルト様が
案内された所は、前世で見た城のような建物、そしてある一室に通されて恐る恐る入った所、部屋の隅に控える貴族の方々、
そして玉座に鎮座するこれから私のご主人様となるお方でした。
ご主人様は、私の姿を捉え、
淡々とこう述べました。
『俺の抱き枕になれ』
主人公は、猫の獣人です。
ご主人様は、百獣の王と呼ばれるが、
愛する自分の猫には甘い…
ちなみに、
猫と同じく黒の毛を持ちます。