麦わらのルフィはヒーローではない
第2回「ヒロインが可愛くない」でアゼルの考察を行った。
そのときにはアゼルが何なのかよくわからなかった。(ライバル?ヒロイン?主人公?)
答えがわかったので、記しておく。
答えは「シナリオの方程式」(江本あやえもん)にあった。
引用する。
『この段階で、映像にしろ小説にしろ、誰の目線でその物語を見て、読み手に伝えるのかを作り込みます。いわば、カメラをどのように配置して見せるのかということです。
例えばずっとヒーローの目線で物語を進めていくのか、それともメンター目線で物語を進めていくのか、主人公で統一するのかなどがあります。』
上述の引用では色々な用語が出てきているが、わかりやすくするために再定義しよう。
・主人公とは物語を追いかけるための視点である
・ヒーローとは物語を通して、一番変化するキャラクターのことである
主人公とヒーローは別の存在の場合がある。
「パンツァードラグーンAZEL」でいうと、主人公はエッジだが、ヒーローはアゼルだ。
こうやって見ていくと、主人公とヒーローは別の存在というパターンはたくさん見つかる。
『ONE PIECE』、『とある魔術の禁書目録』、『男はつらいよ』(寅さんのシリーズね)、いくらでもある。
ルフィも上条パイセンも寅さんもまぎれもない主人公だ。しかし、物語を通してブレない。悪く言ってしまえば、成長がない。
寅さんが成長して、「いつまでもフーテンとかやってないで、落ち着くか」とか言ったら嫌だよね。
だから前述のキャラはここで言うヒーローではない。
ということは、このタイプのキャラで物語を成立させるためには、新たにヒーロー役を外に作らなければならないということだ。
実際、ONE PIECEで「物語を通して、一番変化するキャラクター」は、麦わら海賊団の外にいることが多い。
ルフィは役割としてはヒーローではなく、ヘラルド(使者)だったり、メンター(指導者)だったりする。
(物語上の役割に関しては別で記そうと思う)
ここまで来るとなろうのテンプレ転生チーレムで嫌な要素1つ目に挙げた「多すぎる登場人物」に対する対応策がわかってくる。
転生チーレムは、そもそも2度目の人生であり、しかもチート能力がある。
そのため、主人公のキャラができあがっている。ブレない。成長しない。
物語を成立させようとすると、どうしても主人公の他に問題を抱えた人物・状況を置かざるを得ない。
だから登場人物がやたらと増えてしまうのだ。
この気づきで自分の作品の方向性にも影響が出てくる。
・登場人物を増やすのが嫌なら、俺TUEEEはやってはいけない。
・主人公をヒーローにすべき(解決すべき問題や弱点・欠点をつくる)
ちなみに色々探してみたが、主人公とヒーローが別というのは長期連載と相性が良いようだ。