ヒロインが可愛くない
自分で書いたヒロインが可愛くない。
作者がキャラクターに恋愛感情を持つくらいじゃないと、読者からも好かれないだろう。
これはまずい。
なぜヒロインが可愛く思えないか。それはキャラが薄っぺらいからだ。
登場段階から主人公のことが好きで、行動もテンプレなツンデレ。あざといこと、この上ない。
まあ、物語が始まったばっかで何のエピソードもないってのも大きな原因だ。
そこで既存作品であざとくない、自然なヒロインってなかったっけ?と探して思い出したのがアゼル。
アゼルはSEGAがサターンで出したRPG「パンツァードラグーンAZEL」のヒロインだ。
このキャラは結構自然な感じで好きになったことを思い出した。
というわけで、土日に掛けて、ニコニコ動画で「パンツァードラグーンAZEL」のプレイ動画を見た。
正直、見た目はそんなに可愛くない。けど、キャラとしてはとても良い。中の人も良かった。(CV 坂本真綾)
せっかくなので、アゼルについて語る。
アゼルには物語上、2つの属性がある。それはライバルとヒロイン。つまり、当初は主人公の敵である。
後半にライバルからヒロインに昇格する。
よくあるよね、敵対している同士が恋人になる話。
ググったら「ロミオとジュリエット」を挙げてる人がいるけど、これは違うだろう。
これは実家が敵対しているだけで、ロミオとジュリエットは敵対してない。
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」とか、そっちの方が近い。
話を戻して……
あらすじとしてはこんな感じ。
構成としては
①起
主人公エッジは、傭兵として帝国軍に雇われ、旧世紀の遺跡発掘を行っている。
ある日、帝国軍のクレイメンが現れ、仲間たちを殺される。そして遺跡の中で眠っていた少女--これがアゼル--も強奪される。
→同じ帝国軍なのになぜ?
→クレイメンは帝国を裏切っていた
アゼルを強奪したのはクレイメンだが、裏切り者だと思われ、エッジは帝国からも追われることになる
エッジはクレイメンを追う。復讐のため? アゼルと取り返して帝国に戻るため?エッジ自身もわかっていない。
②承
アゼルは、数千年の闇の眠りから覚ましてくれたクレイメンを慕い、クレイメンの部下のようになる。
クレイメンを追うエッジとアゼルは何度か衝突する。(まともに会話にならない)
ちなみに主人公エッジとアゼルは世界で2人しかいないドラゴンライダーであり、この段階では明確なライバルキャラとして描かれている。
ただしライバルでもそんなにヘイトはない。エッジからすると「どうしてわかってくれないんだ!」というような感情が描かれている。
③転
エッジとアゼルは衝突の際にドラゴンから遺跡に転落、遭難し、二人で脱出を目指す。
ここで初めてまともなコミュニケーションが発生する。
当初はアゼルが人間的でないことが描かれる。「済まない……。こういうときはそう言うのだろう?」
帝国軍との戦いの中、クレイメンはアゼルを庇って死ぬ。ショックを受けたアゼルが遺跡を暴走させる。
暴走した遺跡は帝国軍を壊滅させるだけでなく、近くの里も崩壊させる。
→アゼルは旧世紀の遺跡を作動させることができることがプレイヤーに提示される。
そもそも遺跡は環境を守って人間を滅びないようにする、人間を間引いて増えすぎないようにするという兵器だった。
アゼルは塔(遺跡)を破壊するために、旧世紀の反管理派によって作られた兵器であることが判明する。
アゼルは自分の存在について悩む。
旧世紀の人はなぜ自分を人間のように作ったのか? 遺跡を管理、もしくは破壊するだけなら「意思」や「感情」なんて必要ないのに……
④結
エッジとアゼルは遺跡を破壊するために、世界中の遺跡の中枢であるセストレンに向かう。
アゼルがセストレンへの道を開き、エッジがセストレンで中枢を破壊する
と、こんな話だ。
あらすじを書いてて、思ったんだけど、これ……むしろアゼルが主人公じゃない?
だってタイトルが「パンツァードラグーンAZEL」だし。
エッジはキャラの振れ幅がそんなに大きくない。物語を通して大きく変化するのはアゼルだ。
敵対関係から恋愛関係への移行(アゼルは恋愛関係ほど強い関係ではないけど)というところから思い出したアゼルだけど、
これはちょっと別のものとして考えた方がいいか?
ちなみに敵対するヒロインを酷い目に合わせて、プレイヤー(読者)に同情による好意を産み出すという手段は使えると思う。