第二幕の対立構造
創作に関するエッセイを見ていて、本作みたいな作っている最中に何を考えているかを説明しているものって案外ない。
というか、皆無だ。
その理由は、作家側に本編は本編で読んでほしいという思いがあるからだろう。
本作みたいなエッセイを書こうとすると、どうしてもネタバレが防げない。
自分は、好きな作品は先の展開を知っていても何度も読み返す。
だから、初見ということを重要視していないのかもしれない。
もちろん、初見と読み返しで別の楽しみがあり、本作みたいなものはその楽しみを半減させることはわかっている。
それでも、替わりに別の面白さというのもあるはずだ。(だって、他にないし)
書きあがった後に、あとがきで執筆中の思いを書くこともあるだろう。でも、それだとどうしても格好悪いことをなかったことにし、美化してしまう危険性がある。
今だって、ときどき記録の正確性より、自分を格好良く見せる方に行きそうになることあるもん。
さて、第一幕の対立の方程式は以下の通り
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●象徴の対立
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ヒーロー:「(2-x)主人公」が
「(3-1b)協会建て直しをしない」ことで
「(3-1A:S)協会支部長を辞めることができる」
│
対立
│
「(3-1B:S)使命達成のための情報が得られなくなる」
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│
対立─「(3-1t)冒険者協会憲章を見る」─「(3-1c:S)協会建て直しを決める」
│
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シャドウ:「(3-1y)本部の監査人」
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●心の対立
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ヒーロー:「(2-x)主人公」が
「(3-1b)協会建て直しをしない」ことで
「(3-1A:M)協会がつぶれれば自由になる」
│
対立
│
「(3-1B:M)仲間(冒険者)を守れない」
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│
対立─「(3-1t)冒険者協会憲章を見る」─「(3-1c:M)冒険者の矜持と尊厳を守る」
│
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シャドウ:「(3-1y)本部の監査人」
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さて、次は第二幕の対立。第二幕はテーマの対立で、それは第10回「対立関係を構築する」で構築した対立になる。
ということで、新たに作らなければいけないのは「トリガー」と「昇華」だ。
第二幕の方程式は以下の通り。
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ヒーロー:「(2-x)ヒーローである対象」
「(3-xL)ヒーローの│「(1-a:S/M)初期状態」であることで、
喪失と抑圧」 │「(2-A:S/M)ヒーローの長所」でいられる。
│ │「(2-B:S/M)ヒーローの犠牲」になってしまう。
│ │
「(3-L)因果」 │
│ 対立─「(3-2t)トリガー」→「(3-2c:S/M)抑圧の解放」
│ │
│ │
│ シャドウ:「(2-y)シャドウである対象」
「(3-yL)シャドウの│「(1-a':S/M)初期状態の対極」であることで、
喪失と抑圧」 │「(2-B':S/M)シャドウの長所」でいられる。
│「(2-A':S/M)シャドウの犠牲」になってしまう。
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うーん、方程式を文字で書くのも、限界だな。っていうか、今だって、携帯からだと方程式まともに見えないよね。
次からは画像にしようかな。
上記方程式はテーマの対立関係にいくつか要素を足して、第二幕の方程式としている。
新しい用語が出てきているので説明しよう。
第二幕で扱うのは「抑圧の解放」だ。
過去のヒーロー・シャドウは傷を追っている。この傷が「喪失」、傷に対する防衛機制が「抑圧」だ。
そして「抑圧」が「長所と犠牲」の所以となる。
「長所と犠牲」はキャラの行動規範となる。ところが、その規範が問題解決の障害となる。
それを乗り越えるのが第二幕で描かなければいけない中心事項となる。
普段、ヒーローは「抑圧」を意識せずに、「長所と犠牲」による行動規範を守っている。
これを変化させるためには、なぜその行動規範に縛られるのか、再確認する必要がある。
そのため、第二幕のトリガーは(以下、シナリオの方程式から引用)
「第二幕のトリガーは、過去の喪失を再体験させることにあります。よって、第二幕のトリガーは、過去の喪失を浮き上がらせるきっかけにすることが重要になります。それは実際に過去の喪失を思い出すという出来事かもしれません。別に思い出さなくても、同じような体験をすることになるでしょう。」となる。
ついでに過去の喪失がヒーロー・シャドウに共通のものなら、その出来事が「(3-L)因果」にあたる。
まとめると以下の通り
・過去のアクシデントを考える(因果)
・それに対するヒーロー・シャドウの「喪失と抑圧」を考える
・トリガーは過去のアクシデントの再来
・過去の喪失を思い出すだけで、抑圧は解放される
さて、「過去のアクシデント」等、過去話が多くなってきた。
そのため、過去設定を詰めていこう。
えっと、今までの主人公の設定って何があったっけ?
・実は主人公は魔王
・魂に邪神が封印されている
・世界を変革する第三魔法の、世界で一人の使い手
いや、酷いな。何これw
第10回の投稿時間を見ればわかるんだけど(2/10の午前1時)、実はこれ投稿したとき、次の日休みってことでアルコール入ってたんだよね。何だよ第三魔法って。
第三魔法は意味がわからないので、無視するとして……。
邪神が封印ってのは何か使える気がする。
自分の中に強大な存在がいるってありがちだよね。右手とか右目が疼いたりするしね。
ナルトに封印されてる尾獣とか、ARMSのジャバウォックとか、覚醒系ではおなじみのやつだ。
さてと……、一行上とこの行、書いている時間が1日空いている。その間、設定を考えていた。
こんな感じだ。
・主人公とシャドウは魂に神を封じている魔王の一族
・シャドウは魔王直系。主人公は分家の人間。
・ところが次期魔王として選ばれたのは、主人公
(主人公の方が潜在魔法能力が強かったため)
・魔王継承の儀式で、シャドウが反乱を起こす。継承の儀式が暴走
・周りの人間が、命を賭けて何とか暴走を押さえ込み継承が成功する
・その際に、シャドウは転移魔法で遠くに飛ばされる。(主人公vsシャドウの決着はついてない)
・儀式暴走の結果として、魔王の一族は主人公とシャドウを残して滅ぶ
これが喪失。
主人公は、「自分の能力のせいで争いが起きた。こんな能力なければよかったのに」と考え、自分の力を否定する。
一方、シャドウは「自分に能力がもっとあれば、こんなことにならなかったのに」と考え、力を求めるようになる。
これが抑圧だ。
で、トリガーは前述の通り、「第二幕のトリガーは、過去の喪失を浮き上がらせるきっかけにする」。
喪失時と同じように、仲間に危険が及ぶ事件が起きる。
まあ、シャドウが全面戦争を仕掛けてくる、でいいかな。もっと近づけるなら、シャドウが全面戦争を仕掛けることによって、封じられていた神の封印が解けてしまう、というところまでやっても良いだろう。
抑圧の解放は、過去の継承の儀式を思い出す。
過去の事件→自分の力の否定を思い出すってことね。
ところが、今回の事件は、自分の力を否定しても何も解決しない。つまり、長所が長所としての機能を果たさなくなって、犠牲のみが発生する。そこで、今までの抑圧・行動規範から解放される。
(抑圧は「喪失を思い出すだけ」でも解放されるらしい)
このシーンが覚醒シーンになり、カタルシスを生むところになるだろう。
ついでに、今まで何度か話題に出てきた、「主人公が果たさなければいけない使命」について設定した。
魔王の一族はいつか封印された神と和解し、神の封印を解き、天に返すことを使命としている。
一族は滅んだが、その悲願を達成しようと主人公は考えている。
主人公が果たすべき使命を「シャドウへの復讐」にしてしまうのは、ちょっと違う気がしたので、新たに設定してみた。
さて、方程式に当てはめよう。(スペースの関係で新要素だけ)
「(3-L)因果:過去の魔王継承儀式の事故」
「(3-xL)ヒーローの喪失と抑圧:力があったせいで一族の仲間を失う」
「(3-yL)シャドウの喪失と抑圧:力がなかったせいで一族の仲間を失う」
「(3-2t)トリガー:継承儀式の事故の再現 →仲間の危機」
「(3-2c:S)抑圧の解放(象徴):主人公が隠していた自分の力を発揮する」
「(3-2c:M)抑圧の解放(心):主人公が隠していた自分の力を発揮する」
(3-2c:S)と(3-2c:M)に同じものを割り当てている。
なんか、象徴/心、どちらにも当てはまる気がしたので。
うーん、なんか「死にたがり」というメインテーマからちょっとずれた気もする。
ま、いっか。
次回は「第三幕の対立関係:スペシャルワールドから出るかどうかの対立」。