4年前の友人
ちはっす!!カツオです。ついに完成しました。企画に一ヶ月、作成二ヶ月の超大作(!?)自殺したい。死にたいとおもう人はぜひ読んでください。そして自分の心の中を見てください。心の奥に何かの思いがあるはずです。では小説を楽しんでください。以上カツオでした。
12月21日、私は開かずの踏切の前にいた。
私が待っている物、それは、この路線で一番速い車両、桜見号を待っていた。
なぜって?それはね、自殺するため。どーせなら一瞬で死んだ方がいいでしょ。
10分後、聞き慣れた音が耳の中に入った。
来た!!私の中に期待感が走る。
あの薄ピンク色のボディーに散る桜の花びら、まさしく桜耳号だ。
私はちょっと後ろに下がり、タイミングを見計らった。
なぜ私が自殺しようとしたか?
それはね、私の彼を麻奈美に取られたから、麻奈美は私より自分の方がかわいいってやけに私にライバル意識があるの。
だから私の彼も…。そう思うと腹が立つ。だから早く死んでやろうと思った。
今だ!!私は遮断機の棒をくぐろうとしたら、誰かにTシャツを引っ張られた。
「何すんの!!伸びるでしょ!!」
私がキレながら振り向くと、なんか見覚えがある顔。
「久しぶりだな。美樹。俺だよ、翔」
「ああっ!!翔だぁ!!久しぶりぃ!!!!」
翔は中学校時代の私の男友達の一人、男友達では一番仲が良かった。
「元気でいたか?」
「まぁ…ぼちぼちかなぁ…」
「そうか…」
「それよりも翔、かっこよくなったね」
「そうか?」
中学校時代の翔とは違い、男前になっていた。私の彼に、ちょっと似ていた。
そんな翔にも欠点がある。
それは忘れっぽい事。
中学校時代にテストの事を忘れて、その日の時間割を持ってくる程忘れっぽい。
「ところで翔はなんでこんな所に?」
「帰り道を忘れちまって…」
「…」
ひょっこり私の部屋に来た翔はやけに私の部屋を見回ってる。
「すげー、リングのビデオがない」
「当たり前でしょっ!!」
「でも呪怨はある」
「すぐに帰ってね!!」
なんか私、翔にだけにはいつもの私でいられる。なんか気が休まる。
「だから帰り道を忘れたんだよ」
「うっわぁ!!すげぇ料理だな」
「へへーん、どうだ」
って、なんで夕飯時までいるのよ!!
「うっわぁ!!うめぇ」
翔はうまそうに私の料理を食っている。なんかすごいうれしい。
「そういえばさ、なんで自殺しようとしたの?」
気づいたか。
「…実はね…麻奈美いるでしょ?」
「ああ、やけにおまえに対抗意識があった奴だろ。覚えてる」
「そいつに、私の彼を取られちゃった。なんかメールで私の方が上だね。とか来てさ。もうすごくムカついて、腹が立ってもう死んでやろうかと思っちゃって…」
私はなんか知らずにポロポロ涙を流していた。
まるでムカつくという感じを涙に変化してるのだろうか。一向に涙が止まらなかった。
「おまえ、今、楽しいか?」
「…えっ?」
「今楽しいか聞いてんだよ」
楽しい。入りたかったデザインの専門学校に入学出来た事、憧れのファッションデザイナーに弟子入り出来た事。どんどん夢へと近づいてるからすごい楽しい。私は涙ながらに語った。
「なら死ぬな。死んだらすべて消えるんだぞ。親、今自分が住んでいる部屋、憧れのファッションデザイナー、悲しみ、苦しみ、喜び、夢。すべて消えるんだぞ。そんな事を自分からする奴におまえがなってほしくない」
すべて消える。
そのために人は自殺をするのだろう。
翔がいなければ、私はそんな奴になっていたんだ…。そんなの…嫌だ。
「ありがとう、翔。なんか自殺がバカらしくなったよ」
「そうだ、それがおまえだ」
それがおまえだ。そう。私は私を持っている。世界に一つだけの私。
「なんか偉そうな事言っちゃってごめん」
ううん。今の翔。私と同じ年だとは思わなかったよ。もしかしたら翔は私の人生の薬なのかもしれない。
私は泣きすぎを通り過ぎるほど泣いていた。
だって涙は死ぬ限り消えない。
だから、私は泣けるのだからおもいっきり泣いちゃえ。そう思ったからだ。
…あれ?なんで私いつの間にかベッドにいるの?もしかしたら泣いたまま寝ちゃったってやつ!?あっ、学校は!?はぁよかった。
冬休みってやつだ。あれ?そういえば翔は?
ふと天井から部屋を見てみると、翔はテレビを見ながらトーストと目玉焼きとシーザーサラダを食べていた。
シーザーサラダ?
「って!!あんた料理できるじゃん!!」
「よぉ。起きたか」
12月22日、翔が料理してくれるそうだ。それまで寝ていいらしい。
翔は私の財布を掲げながら『すっげえの作るからなぁ』って言ってたから相当すごいのだろう。
それから私は翔のために台所の食器を洗った。本当はこれも翔にやってほしかった。
それからはもうダラダラしまくった。
今考えてみると、4年間も会ってないから顔も変わってるのに、よく分かったなと私は思った。
でも友達に変わってないって言われたから変わんないのかぁ。
12時頃に翔が帰ってきて、さっそく調理を始めた。
まずは米釜に米を入れて水を入れて放置して、カレーを作ってそのまま放置。
一時間後米を研いで炊飯し、カルパッチョを作って、鳥と豚の唐揚げを作って、バンバンジーを作って完成。すっっごいごちそうだ。
「うっわぁすご!!いただきます」
私はバンバンジーの鶏肉を食べた。うわぁ…なんか懐かしい感じ、給食みたい。
「翔すごいじゃん。おいしいよ」
「ありがとう」
「もしかして給食のおじさんになったの?」
「ちげーよ!!バカ」
翔が机を叩いて、打ち所が悪くて腕を痛めたのを見て私は爆笑した。
「はあ、やっぱり翔はおもろい!!」
思えば、中学に始めて入学した時。
友達が出来ずに寂しかった時に声をかけてくれたのが翔だった。
翔も同じ小学校の人がいなかったからか、私と翔は気が合って仲良くなったのだ。
「そいやさ、翔は今なにしてるんよ?」
「友達と美容院を作った」
「へぇ、誰と?」
「塚田…」
「えっ!!塚田君!?」
なんで自分の仕事場の場所を忘れるんだよとつっこみたかったが、そこは抑えて食いついた。
塚田君は私が中学になって始めての片思いだった人。
翔とすごく仲良かったから翔に好きな食べ物を聞いてそれを手作りしてプレゼントした事もある。
「ねえ、塚田君元気?」
「ああ、元気だよ…………ああっ!!!!!!」
「!!何よ!?」
「やべーやべー、手紙渡すの忘れてた」
すると翔はポケットからくしゃくしゃの手紙を出した。私が開いてみると、こう書いてあった。
『華原さん。入学時から好きでした。もしこんな俺でもよかったらつきあってください。お願いします。塚田』
ガーン。私の心の中のガラスが何枚も割れたような感じになった。何で塚田君も翔なんかに渡すのよ。翔が忘れっぽいの一番知ってるのに…。
私は崩れた。
「ごめん!!ごめんなさい!!すいません!!」
「ふざけんなよっ!!あんたの欠点で私の恋愛をぶち壊すんじゃねーよ!!塚田君なんて言ったんだよ!?」
そこらへんにあったクッションで翔を叩きながら私は聞いた。
「…はぁ…オレ、振られちゃったなって言ってた」
「ふざけんじゃねーよ!!ったくよ!!」
「ほんとごめんなさい!!すいませんでした!!」
「はぁ。もういいや」
私は翔を見損ないながら、メチャうまい翔の手料理を食べていた。
「あっ!!」
「今度は何!?」
「明日、同窓会だ」
「はぁ!?葉書もらってないよ」
私が焦りながら探していると、一枚の葉書が出てきた。そこには同窓会についての通知だった。
「あった」
「なぁ、ついでだから一緒に行こうぜ」
「でも私出席する連絡してないよ」
「何言ってるん?代表は俺だぞ!!」
「まじで?」
12月23日。3―1の同窓会の日。集合は午後7時に池袋の貸切レストランだ。
午後5時半。
「翔!!早く!!電車に遅れちゃう!!」
「わぁってるわい!!いい服が見つかん…あったどー!!」
「いいからさっさとしろよ!!」
「へいへい!!お待たせ」
午後5時40分。私と翔は出発した。
みんなどうしてるかな?和香とか、かおるとか愛とか。
塚田君とか。あと麻奈美。あいつも来るのか…。
「なぁ、麻奈美とか来たらやだよなぁ」
翔が私の心を読みとってるかのように言った。
「うん。あいつクラスの集まりとかいつも来てたからね」
「まあ来たら俺がなんとかしてやるよ」
「翔ほんとありがとぅ。ほんと感謝してるょ」
私は、別に翔でもいいかなって思い始めた。
てか学生時代から内面的にすごくモテてたからなぁ。
池袋に着いた。
翔がいけふくろうならパクれるって駅構内で言ったら事務室まで連れられてしまいマジ焦った。
「ふざけんじゃねーよ。クソマッポ!!パクれるって言っただけで事務室まで拉致るんじゃねーよ。遅れそうじゃん」
「あんたならやりかねないでしょ!!」
そうこうしてるうちに七時になってしまった。
私はピンチになってあたふたしてしまった。
「翔!!もう七時だよ…」
私が交差点の真ん中で言った時、翔はいなかった。
私はコンビニでも行ったんかなぁと思って立ち止まってたら、クラクションが聞こえて、赤だと気づき走った。
やっと貸切レストランについた。レストランの前に二十人ぐらいの人が集まっている。
私が近づこうとした時、『おおっ!!!!美樹!!』と聞こえたので走っていった。
「美樹、久しぶりだねぇ。全然変わってない」
「愛も全然変わってない。人ってそんなに変わらないんだね」
「うん」
「あっ、でも翔はすげ変わったよ」
「…えっ?美樹、翔に会ったの?」
急に愛がマジ顔になってしまった。周りの人もみんな静かになって私を見た。
「うん…。なんか帰り道忘れたんだって。あいつ本当にバカだよねぇ」
「ねぇ美樹、本当に翔と会ったの?」
「ええっ!?信じてよ。すげぇ料理上手かったよ」
すると、塚田君がやってきた。塚田君も変わってなくかっこよかった。
「おー!!塚田君、変わってないね」
「マジで会ったん?翔と…?」
「そうだよ。さっきまで一緒に行ってたんだから…」
みんなずっと静まり返っている。
車が走ってる音と近くのデパートの放送しか聞こえない。
「美樹、実はね…」
「…えっ?」
実は翔は事故に遭いそうな子供を助けて死んでしまったのだ。
しかもそれは私が翔を最後に見たあの交差点で、塚田君と始めた美容院も池袋にあり、翔はそこで住み込みで働こうとして出かけてたときに起きた事故だった。
それならば仕事の場所も帰り道も途中までしか知らないのだ。
「うそ…」
私は崩れた。
幽霊を家に入れて、幽霊にご飯を作って、幽霊が作ったご飯を食べていた。
そんなことじゃなく、私は生きる事を学んだ。
その教師が私の友達であり死んでいる。
なのにすごく説得力があった。
本当は自分だってこれから楽しい事があるのに全て消えてしまったんだ。
子供のために自分から車道を飛び越して。
それを子供を助けてくれたヒーローというのだが、ヒーローだって実際は自殺みたいなものだ。
自分から特殊な機能を持った怪獣に立ち向かい覚悟を決めて怪獣に立ち向かう。
これもある意味自殺なんだ。
翔というヒーローは立ち向かったんだ。
子供を守るために車という怪獣に。
そのために全て消えた。
翔は自分を捨てた。
もう苦しむ事も喜ぶ事も悲しむ事もできない空間に自分を捨てたのだ。なのになんで、私だけに…?
それは第二の自分を作らせないため。
自分から車に立ち向かって死んだ自分なんかに私やほかの人たちになって欲しくなかった。全てを捨てて欲しくなかった。
「そういえば、昨日、翔が夢に出てきたんだ。俺を見た瞬間に土下座してきて、『遅れてすまん。今渡してきた』って。実は翔も美樹の事が好きだったんだろうな」
「翔…翔…」
私は泣きまくった。
翔の分まで泣きまくった。
永遠に出せない涙を今ここで私が出してあげたいと思ったから。
同窓会が終わってから塚田君の美容院に行った。
そこの二階に翔の住むはずだった部屋があった。
その部屋は翔の荷物が端に置いてあって、窓際に翔の遺影があった。
私はそこに座って、拝んだ。
とゆうか祈った。翔、助けてくれてありがとうと、これからもよろしくと。
12月24日。
今日はクリスマス。
私は今、踏切の前でクリスマスは誰と過ごそうか悩んでいる。
そのとき、桜見号が見えてきた。
私は、遮断機をくぐろうとしたが、やめた。
またくぐろうとしたら翔に会えるかなって思ったりして。
でももういい。私は翔に学んだのだから生きる事を。
私はため息をついた。
「かおるでも呼ぶか」
私は遮断機が上るのを待った。翔を休ませるために。
どうでしたか。心の中の何かを見つけたことはできましたか。自殺は犯罪よりも罪が重いと思います。色々な苦労をかけ、色々な思いがつまってできた自分の命。それを無駄にするのはどうかと思います。死にたいと思うなら、自分の生活をよく見直してみましょう。その奥にどんなに小さくても楽しい事はあるはずです。ぜひ、それを自分から無くすような人にはなってほしくないです。以上、カツオでした。