三人目:侍女サーシャ
カインに引き続き、弟のギルバートからも話を聞くことができた。
お次はギルバートの元愛人、サーシャだが…
◯登場人物
サトリーヌ王妃
25歳。たこ焼き大好き。サスペンス大好きで好奇心旺盛。
セシリア
32歳。サトリーヌの専属女官。
カイン国王
30歳。異世界転移してきたサトリーヌの美貌とその才覚に惚れ、求婚し、めでたく正妻として迎えた。
ギルバート王弟
27歳。元々サトリーヌと婚約していたものの、他の女性にうつつを抜かしていたため、結局独り身。兄に多額の借金をしている
サーシャ
26歳。数年前に、ギルバートを誘惑し、サトリーヌとの婚約を破棄させた元凶。王城の炊事などを担当している侍女。
「ご飯を挟まないんやったら、もう一切れタルト食べよ〜」
「はいはい、そうしてくださいね。あ、集中力を高めるために、ハーブティーをいれさせましょうか。ローズマリーティーに、レモンを搾ってもらいましょう」
手早くセシリアが、ドアの外で待機していた侍女に指示を出す。
「セッちゃんってホンマしっかりしてるやんね。んーと、次の面会はサーやんやったかな」
と言ってるうちに、ノックがして、サーシャが入ってくる。
「お久しぶりでございます、サトリーヌ殿下」
「ハロー、サーやん。ごめんな、色々仕事忙しくなる時に」
「いえ、大丈夫でございます。このあと夕食の支度がありますが、私一人ではないので問題はありません」
このサーシャが、前回登場したギルバートの元愛人だ。元と言ったのは、以前はそうであったが、負債まみれのギルバートをサーシャは一度見放している。
「あれ、なんか久しぶりなんもあるけど、前とちょっとキャラ変わってない?」
「いえ、そんなことはありません。で、ご用件は…?」
サトリーヌのかわりにセシリアが話す。
「サーシャ、事前にも聞いてると思うが、ベイルーン王国の王家の秘宝が昨晩消失した。今それを調べているところだ。お前が知っていることを聞かせてくれないか」
元侍女の後輩と言うこともあり、セシリアのサーシャに対する話し方は少しだけ偉そうだ。
「はい、セシリア様。昨晩私は、食事の支度を済ませたあと、ギルバート様の夕食のお世話をさせていただき、そのあと自室に戻りました」
うんうん、ギルバートが言っていたことと話の矛盾はないようだね。
「そうか。今回の秘宝消失だが、関係するかもと思われる人物の名前を今から言うが、お前が思うこと、感じることを、よかったら聞かせてくれ。カイン国王陛下、ギルバート殿下、ロザミア、リディル、サトリーヌ様、そして私だ」
サーシャは一瞬何かに反応したが、すぐに口を開いた。
「そうですね…私が思うこと自体あまりアテにはならないかも知れませんが。私の知っている限り、王家の秘宝というのは王族の方々に取ってはあまり効果がないと聞き及んでおります。ですので、もしその力を手に入れたいと望む者の犯行だとしたら、王家の方を除く四名。セシリア様、ロザミア様、リディル様、そして私が怪しいことになります」
セシリアは少し驚いていた。ギルバートと共謀してサトリーヌを貶めようとまでしていたサーシャが、こうも素直に話すだろうかと。あと、自分もその容疑者の中に含める発言をわざわざするだろうか。
「まぁ、そのような考えもあるかもしれないな。私から聞きたいのは、ギルバート殿下の負債の件だが、お前の親族が絡んでいると聞いたが、それはホントなのか?」
「はい…もう数年前のことになりますが、ギルバート様はとても博打がお好きでして、私の親族が営むカジノに入り浸っておりました。もちろんそれは偶然なのですが、そこでたまたま知り合い、この王城の侍女として働かせていただくことになったのです」
サーシャが王城内の侍女になったキッカケはそれもあったんだね。
「うん、それは知っている。私が侍女として働いているところへお前がやってきたわけだからな。まぁそれはいいが、その博打で出来た負債を、陛下が肩代わりをしたということなんだな?」
「そう…です。もうしばらく前から博打も辞めて、少しずつではありますが、お金も返していると聞きました」
二人の話しているのを聞いて、サトリーヌは横から話した。
「サーやん、ウチも昔のこと、いつまでもウジウジしててもしゃーないし、これからは、これからの事を考えていったほうがナンボかええなって思ってるねん。やから、もし何か気づいたこととかあったらいつでも話してな」
「はい…あっ、全然関係ないかもしれませんが…王国の魔術師団長のリディル様なんですが。同級だったギルバート様のことを、その当時、恋仲になったか何かで、今も忘れられないでいるというような、話は聞いたことがあります」
え、なんかそんな話多くない?さっきもギルバートから、カインとロザミアが…とか言ってたよね。なんだか職場恋愛じゃないけど、王城恋愛ってそんなにあるの?
「なんや、ギルちゃんもようモテるんやんか〜。まぁそんなとこかな?ありがとうサーやん。色々嫌な話まで聞かせてくれてありがとうね。あ、アップルパイまだ余ってるし食べていきや〜」
「あっ、はい。ありがとうございます」
セシリアは、サーシャの変わりようというか、大人しすぎることに少し違和感を感じたが。だが、それも成長なのかなとも、思った。
少しずつ、情報が出揃ってきた。
ただ、秘宝の行方、あと怪しい人物に関しては、まだまだ謎に包まれたままだ。
今のままだと、誰が持っていてもおかしくないもんね。
さてさて、お次は王国騎士団長のロザミアに話を聞くぞ。




