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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
スーベルニカの真実へ

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潜入、スーベルニカ。世界の真実。

ーテオ視点ー


スーベルニカに突入作戦は今、叶った。


突入の際に何かが起こったとかはなく、スムーズにことが運んだ。


正面からは戦闘部隊がどんどんとなだれ込んでいく。


それに対抗するのはスーベルニカ正面入口の防衛モドキ軍団。


だが、これらも僕たちが対抗策として持ってきた魔法部隊により完封。


まもなく、隙が生まれ僕たちスーベルニカ王保護隊が内部に侵入した。


侵入後はヘルタの記憶を頼りに、地下の尋問用牢獄へ急ぐ。


ここにスーベルニカ王が居てくれるのが1番いいのだが…


兎にも角にも、始まってしまった以上はしっかりとやり遂げる。


それが僕たち別働隊の役割だ。


「こっちだ」


ヘルタは元々はマダスカルではなく、「スーベルニカ王」の部下故に、各所に設置してあるセキュリティはまだヘルタのデータが生きており、特にこれといった問題なく地下牢へ向かえた。


「おそらくは、ここに…」


突入から1時間もかからず、スーベルニカ王のいると思われる地下牢の前にやってくる。


だが、その牢屋は…


「…空いてる?」


「ほう…ここに来るとは」


まるで全てを理解していたかのように、目の前の男が話し始める。


「私がおそらく君たちの目標だよ」


「スーベルニカ…王ですね」


「そうだとも。久々だね、ヘルタ」


ヘルタが膝をつき王に会釈すると、王はこの状況(理解してること、今のスーベルニカの置かれている状況を説明…の前に、大事な話を始める。


「内部でのゴタゴタとはいえ…ここまで潜入を許したんだ、マダスカルの失態と言えような」


「スーベルニカ王…あなたは捕まっていたのでは?」


「ああ、これか。ダミーだよ」


央いわく、牢獄に入っている方が都合が色々良かった為、自ら入ることを望んだと言う。


つまり、僕たちが助けなくても「いつでも出れた」という訳だ。


「さて…話すと長いからね。私の記憶を見せてあげよう」


そういうと王は僕とハーティの頭に手を当て、手を瞑り何やら始めた。


その直後、僕とハーティ、2人して存在していない、「王の記憶」が流れ始める。


おそらくセネガさんにやらなかったのは状況をすぐに理解できる、というある種の信頼のようなものからだろう。


僕とハーティは王の目標。


そして…世界の真実に触れることになる。


「…スーベルニカ王。マダスカルの目的は元々はあなたの理想から分離したものです」


「ふむ…それは私に責任を問う、ということかな?」


「あなた自身の目的が何であるかを判断する義務が僕にはあります」


「…異世界人だったな、テオ=ランドネルくんは」


「そうですが…」


王は僕の頭に再び手を乗せると、そこに僕にしか分からない情報を流し込む。


それは。僕の元いた世界の記憶である。


「どれくらい離れている」


「僕のいたのは令和です…彼のいたのは、昭和かと」


「それはどれくらい昔なんだい?」


「50年…くらい」


「ふむ…ではその間に技術はこんなにも進化したと」


「えっ!?」


「ヒグチの能力の応用でね。君から記憶を抜き取るのと譲渡を同時に行える」


それは完全に僕の上位互換だ。


というか、この力は極めればそこまでの力を得ることができるのか。


そもそも、何故この世界の人間であるスーベルニカ王にこの力を使いこなせるんだ?


「おかしい、という顔だね」


「そりゃそうさ。あなたはこの世界の人間。記憶に干渉出来るのは異世界人だけだろ」


「たしかにその反論は正しい。だが…ひとつ間違いがある」


ヒグチはそういうと、着ていた白衣を脱ぎ、そして下に来ていたシャツを二の腕の辺りまでまくって、その衝撃的な姿を僕たちに晒した。


「…これ程な知恵と技術があっても人という形である限り寿命という壁からは脱却できないんだよ」


「あ、あなたは何時からーー」


「そもそもの解釈が違う。ヒグチという男がこの世界に呼ばれたのは『130年前』なのだから」


聞いていた話とかなり食い違う…!?


スーベルニカが力をつけ台頭してきたのはここ数十年という話ではないのか!?


「ヒグチからもたらされた技術を発展させ生きながらえることができたがね…それもそろそろ限界が近いのだよ」


スーベルニカ王の目的はモドキに全人類移植させ、ひとつにまとめようと言う目的のはず…!


「私が死んだらどうなる…君はどう思う?」


「失礼ですがスーベルニカ王。貴方が死んでも世界は変わらないかと」


ヘルタ…!?そんなにはっきりと…


「そう。そうなのだよ、ヘルタ。世界は変わらない。だからこそ私が生きていることに意味がある」


スーベルニカ王が生きてることに意味がある…?


なんだ、何の話だ?


「では…話そうか。この世界の真実を」


「この世界の歴史…君はどこまで知ってるんだい?」


「それは…戦争が何度かって事くらいしか」


「ふむ…それは正しいね。機械の台頭と魔法の台頭…行ったり来たりを繰り返している」


王はそういうと、目の前にあったプロジェクターに手をかける。


そして、プロジェクターに映し出されるのはこの世界の戦争の映像だった。


「君はこの世界の戦争は必然だと思うかい?それとも…偶然だと思うかい?」


「そりゃあ、偶然じゃ…」


「普通はそう考えるだろうね。だが…もしそれが世界にそうすることが決められている必然だとしたら?」


戦争の惨い映像が繰り返し流れる。


その度に、違和感を覚えた。


なんだろう、戦争の映像を見て覚える違和感…これは一体…


「私は歴史上の人物がすごいとは思わない。彼らは世界の意志に動かされていたに過ぎないからね」


「その、さっきから言ってる世界の意思って言うのは?」


「世界の意思は世界の意思さ。この世界は生き物のように意志を持っている。そして…人類の進化をある程度の所でリセットをかけている」


「リセット…!?」


「戦争が起きるタイミングがこれまた妙でね…最初の一次魔法大戦は魔法が主流になり、当たり前になった結果機械に負け。2回目は機械が当たり前になり、魔法に負け…」


ああ、なんとなくわかった気がする。


スーベルニカ王の言う世界の意思と、先程感じた違和感。


それは=なんだ。


「行き過ぎた技術は世界によって戦争の流れに変えられ、そして衰退する。発展と衰退の歴史。そこに世界の意思があるのなら、今はどうだと思う?」


「…魔法の勝ち、ですかね」


「Exactly。だがね、同時にこうも思う。もしループを抜けた先に待つ世界を見れたら?と」


「あるんですか?抜け出す方法が」


あまりの会話の難易度に先程から三人は固まってしまっているし、世界のループが本当だとしたら…なんて考えてるのは見え見えか。


「結論からいえば私には人類を一つの個として確立させてループを抜け出す以外に考えつかなかった」


「では推進の本当の目的は…」


「魔法と機械の発展衰退の歴史…その先の世界へ私は向かうことがこの世界の真の安寧だと思っている」


マダスカルの掲げる推進とはまた違う、この人は正真正銘世界を救おうとしているんだ。


だが、やり方は少し問題がある。


それ以外はとてもじゃないが、この世界のために行動している彼を責める権利は、僕たちにあるのだろうか。

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