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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
国渡編

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許されざる者。改造の末。

「旦那さんは今はどちらに?」


「今は集会所ですね。最近は街の男はみんな集会所に集まるんです」


「それはいつ頃から?」


「さあ……?少なくとも数ヶ月前程からだと思います」


おそらくは改造されて帰ってきてからだろう。


数ヶ月前というのも合致する。


集会所というのは名目上の言い方で、おそらくはスーベルニカの使者かなにかがそこでプログラムの更新等を行っている可能性が高い。


ならば、そこに行けばスーベルニカの足を掴めるかもしれない。


勝手にチャンスが向こうから到来してくれたんだ。


「集会所の場所はわかりますか?」


「ええ、はい。確かこの辺の……」


奥さんに集会所の場所を教えてもらったが、人気の少ない大きな倉庫のような場所だと言う。


そこにスーベルニカの機材などが置いてあり、プログラムの更新に必要なものが揃ってるという感じだろうか?


兎にも角にも、訪れたチャンスをみすみす逃すようなことは出来ないし、向こうが今ここにいるのならばとっ捕まえてスーベルニカの事を聞き出すチャンスである。


「今はそちらにいるんですね」


「ええ、はい」


「……一応、僕は記憶屋というものでして」


奥さんから記憶を預かり、メモリーストーンを持ってその倉庫に押しかけることにする。


もちろん現場でのトラブルは二人がいるので問題ない。


戦闘になっても二人は強い、安心だろう。


「ハーティ、セネガさん」


「御意」


二人を連れて倉庫の方へ向かう。


ー30分後ー


倉庫には特段特別な様子はないが、奥さんの話通なら絶賛更新中だ。


今、現場に突撃するのがおそらく一番効果的だろう。


「そこまでだ!」


倉庫の扉を蹴破り突入するも……


「な、なんだこれ……」


機械たちが何か作業をしているのは分かったが、全くなんの作業をしているかわからない。


僕たちのことを捉えてか、奥からおそらくは責任者と思われる男が顔を出す。


「き、君たちなんだね!?」


「あなたは?」


「こ、ここの倉庫の責任者だよ!」


「倉庫……で何をしてるんですか?」


「お、お前たちに言う権利はないだろ!」


頑なに黙秘権を貫くつもりならば、こちらにも考えはある。


元々こちらは半戦闘態勢。


向こうがその気はなくても十分こちらにはその気はある。


「ここで何をしてたか答えてもらいますよ」


「お、お前たちみたいな怪しいヤツらなんて怖くないぞ!」


男がそういうと、モドキと思われる人達が一斉にこちらを向く。


無機質な殺意が沢山……たしかにこれは一般人から見ると怖い。


血が通ってない機械だからこそ、怖いものは怖いのである。


「スーベルニカの人間がここでモドキの諸々を管理してるのはバレてる。大人しく色々話してもらうぞ」


「お、お前たち!やってしまえ!」


なんという小物感。


男がそういうとモドキたちが一斉にこちらに襲いかかる。


「テオ殿!」


「壊しちゃダメです!抑える程度でお願いします!」


「難しい注文!!!」


二人が次々と襲いかかってくるモドキ達を動けなくしていくのをよそ目に、僕は男により接近する。


「あなたのことを話してもらいますよ」


「く、くそ!」


だが、そこで一つ気付く。


この男、本当にスーベルニカの人間か?


それにしてはなにか違和感があるような。


「わ、わかった!降参!降参する!」


「分かればいいです」


男は直ぐに降参した。


そして、ここで何をしていたのかを洗いざらい吐いてもらう。


「私はこの街の自治体の長だよ……」


「えっ……?でもこの街の男はみなモドキに……」


「何故それを……幸いにもわたしは逃れることができてな」


「逃れた……?スーベルニカからですか?」


「わたしにもスーベルニカからの徴兵令は出てたよ。だがね、たまたまその時怪我をしてたんだ」


そういうと男は悲しそうな顔で、モドキ達を見つめながら詳細を事細かに話し始める。


「毎日この場所にモドキ達を集まるようにプログラムを埋め込んだのはわたしなんだ」


「何故そのようなことを?」


そういうと、男はひとつの機械を取り出した。


「これはね、スーベルニカからの発信機だ」


「発信機?」


「それを通じてやつらは街の様子を監視していてね」


男の目的はどうやらこの発信機を取り除き、モドキ達をスーベルニカの監視下から遠ざけることが目的だったらしい。


だが、それにしてはなぜこんな分かりにくい……


「あなたは別にモドキを通してなにかをしよう、ってことでは無いんですね?」


「も、もちろんだ。彼らとてこの街の重要な人間だからね」


「発信機はスーベルニカに繋がってるんですか?」


「あ、ああ。おそらく逆探知も可能だろう」


「なるほど……」


貴重なスーベルニカの手がかり、これがもし手に入ればかなりデカいだろう。


この街の長である男は、長として少しでも彼らをスーベルニカの支配から逃れさせるために発信機だったり命令受信機を少しずつ取り除いているのだと言う。


「でも何故機械の扱いが出来るんですか?モドキってスーベルニカの最高機密とかでは?」


「違うんだ。モドキは一般でもメンテナンス出来るように希望者に仕様書を配っていてね」


仕様書を読み込めば自ずとどこに何があり、それがどういう役割なのかがわかるのだと言う。


男は仕様書のデータを元にモドキ達から諸々取り除くのに尽力している、と……


もしモドキがスーベルニカのプログラムなどから逃れたとしたら、どうなってしまうんだろう。


感情や考えて行動することが出来ない彼らにとってそれは死を意味するのではないのか?


モドキにされてしまったのはとても悲しいことだ。


だけど、モドキとしての役割を遂行するための物を取り除いてしまうのは、彼らを二度殺しているようなものでは無いのか?


「プログラムは上書き出来ないんですよね?」


「あ、ああ。生憎そこまでの技術を持つものは居なくてな……」


技術……上書き……


「自分で考え、自分で行動する。モドキにされた人にとってそれが出来たらさぞ楽だろうに」


男の言葉には心から街の人々を心配する心境が伺えた。


自分だけ逃れてしまった罪悪感だろうか。


「テオ、少しいいですか?」


「え?うん」


ここでハーティからお呼び出しだ。


セネガさんは多少は機械に詳しいため、町長さんと一緒にモドキを診てもらうことにした。


「この街の女性や子供は正常なんですよね?」


「おそらくはモドキにはされてないだろうね」


「この街で試してみませんか?記憶を譲渡してモドキを人間に限りなく近い状態に出来るかを」


それはモドキに本人に限りなく近い記憶を刻み込み、人間のように自分で考え、自分で行動できるようにしてみないか、という提案だった。


「成功したらそれでいいですし……失敗しても少なくとも彼らを殺す、ということにはならないでしょう?」


「まあ確かにそうだね」


一理はある。


この街のモドキにされる前の男たちと関係の深い人間から記憶を預けてもらい、それをこのモドキにされてしまった人達に刻み込む。


だが、それだけで正常化、基人間に近づく可能性は低い気もする。


本人の記憶ではない、というのがこの場合引っかかるポイントだからね。

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