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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
アニュラス王国中立戦争

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逃げ道。合流。

僕たちは逃げた。


ひたすらに逃げた。


その先に何が待っているか分からないけど、そうするしかないからだ。


逃げて、逃げて、逃げ続けて守るしかないし、殺される訳には行かない。


だからといって僕に力は無い。


ハーティ達はかなり奮戦している。


休む暇もなく、戦い続けている。


槍を振り、魔法を使い、忍びのように。


だが、それでもやつらの追っては払えない。


彼らにも次第に疲れが見え始める。


それはそうだらかるく2時間ほど戦い続けているんだから。


僕はひたすらに王様を連れて、門の近くに逃げるしかない。


だが、それでも僕は一般人、王様だってこういうことはあまりしないだろう。


息が上がり、足が痛み、次第に呼吸が荒くなる。


僕の傍はじいさんがひたすらに守っているが、じいさんも疲れが見え始める。


このままでは、ジリ貧だ。


奴らは多勢に無勢、機械兵とヒトガタ兵がかなりの数僕たちを狙っている。


それは、国民たちがビビって道を譲るほどかなりの熱量だ。


汗で前が見えないし息が上がって呼吸が苦しい。


それでも、もう少しだ。


もう少しで目的の場所に着く。


「ハーティ!もう少しです!」


「テオ殿!援軍はあと数分との事!」


「時間稼ぎは任せました!」


門が見えている。


あそこまでいけば、サブラスとスベラルの援軍がーー


「何故、何故だ⋯」


その場に着いた時、戦慄した。援軍は、既に戦闘中だったのだ。


戦い疲れの僕たちに待ち受けていたのはそんな事実だった。


「これはどういう⋯」


「テオ殿!状況が悪い、一先ず戦闘中でも合流するしか!」


「でも、どうやって!?」


「あの戦闘の中心にはエルメロス殿が!」


ああそうか、合流すればなんとかなる、のか?


でも今できることは限られている。


あの中心にいくのは怖いが、三人の護衛があればなんとかたどり着けるだろう。


エルメロスと合流さえできれば、状況は理解できる。


今はそれに賭けるしかない。


切迫して緊張感の走るこの場において、僕の判断力はかなり鈍っている。


それこそセネガさんやハーティの声が聞こえると、やっと正気になるほどだ。


混乱に次ぐ混乱で頭がいっぱいいっぱいだ。


こんな状況だとは思わなかったし、そこまで推進派が本気だとも思っていなかった⋯!


いつからだ、いつから彼らはこの状況にするために動いていた!?


敵の兵士達をかき分け死なないように注意しつつ、戦場のど真ん中へ。


僕たちが飛び込んだ戦場の中心で、なんとかエルメロスとギルメイに合流できた。


だが油断を許さぬ状況の為、なんとか今目の前にいる兵士たちを倒さなければいけない状況だった。


僕たちを追っていた兵士たちと違い、こちらの援軍の足止めは全て機械兵だった。


しかし、耐久戦に持ち込んだらやつらの有利でありここは、弱点を見つけて手早く終わらせるしかない。


だけど、機械の弱点なんて分かるはずがない。


何か出来ることがないか、元の世界での知識を引っ張り出す。


足止めすれば、時間が稼げればひとまずは休むことが出来る。


ならば、完全に壊す必要はない。


やつらが攻撃できないようにすればいいんだ。


なら、どこを狙うべきだ⋯?


「やつらの装甲は真正面からは無理だ!」


「⋯装甲⋯あっ!関節!関節を狙ってください!」


「関節⋯?なるほど、そういうことか!」


機械は関節には硬い部品は使わない。


それは、硬すぎると動きが硬くなるし、基本的に関節狙いはされない想定だからだ。


近づくことがそもそも難しいし、真正面からは絶対負けない。


それ故に、やわい部分は関節一択で肘の当たりと膝のあたりだ。


そこを狙えば腕と足が両方とったも同然、動きを確実に止められるはずだ。


「ハーティ、やれるか!?」


「任せてください!」


ギルメイがヘイトを稼ぎつつ、ハーティが素早い動きで機械の関節を狙って次々と腕と足を落としていく。


エルメロスはハーティの落としきれなかった物を。


セネガさんとじいさんはハーティが狙いやすいように動きを止めるのを中心的に。


誰かが欠けてもダメだろう。これは、もはや集団行動前提だ。


全員の動きは素早かった。


機械兵の数は50ほど。


その全ての関節を狙うのは骨が折れたろうに、ハーティは完遂してくれた。


一体残らず、全て行動不能にしてくれたのだ。


また、セネガさんは機械兵達から武器を押収し僕たちが休んでる時間を使って、人間が扱えるようにならないか見てくれた。


「セネガ、悪いな」


「エルメロスさん、これくらいならお任せ下さい」


「しかし、関節狙いとは。頭にありませんでした」


それぞれが緊張感は落とさずに、体力の回復に務めた。


幸いにも援軍が食料などは持ってきてくれていた為、体力の回復だけならば時間が許す限り約束されるだろう。


僕たちはひとまず安全地帯を見つけだしそこに簡易キャンプを設置し、休むことにした。


さて、まずは状況整理だ。


無事にエルメロスやギルメイと合流出来たとは言っても状況はかなり悪い。


推進派の追っ手をなんとか追い払って安息地を獲得しただけであり、その状況が良くなったわけではない。


だが、ここからは旧サブラス3戦力揃い踏みだし力的にはこちらが上と思ってもいい。


また、機械の効率的な倒し方もさっきの戦闘でわかった。


あいつらの兵隊は関節が弱い。


というのも、元々人類の歴史において関節を完全に防御するのは不可能とされている。


それは、関節をガチガチに固めてしまうと逆に関節を圧迫してしまい、関節の動きをかなり制限することになるからだ。


戦場でそれは命取りだ。


自殺行為であるけど、それは機械も変わらない。


機械だって関節があるから動けるわけで、関節は動きを良くするために油をしいたりする。


それはつまり油をしくほど隙間がある、ということでもある。


ならば必然的に関節狙いは効率的にもいいことになる。


僕たちは、あいつらと戦うための知識をひとつ得たことになる。


「状況は最悪です。やつらは暗殺が成功しないと踏んで真っ向から潰しに来ました」


「ふむ⋯テオの存在、がか?」


「⋯実は、スーベルニカ防衛隊のヘルタという男と接触しました」


「なに⋯!?ヘルタだと!?」


「ま、待ってください!ヘルタがスーベルニカの防衛隊!?」


その場はヘルタという名前を聞いて大混乱になった。


理由は単純。


ヘルタという男は数年前突如サブラスから姿を消し、どこかへ失踪した。


その後足取りはずっと掴めずにいて、サブラス国内でも探し回って手配書まで出たほどだったのだが、見つからなかった。


まるで綺麗な雲隠れのようなうでまえと言わしめるほど、巧妙に自分の行方をくらませていたのだ。


ヘルタはサブラス最高戦力の一角であり、エルメロスはヘルタの後任ということらしい。


もっとも、エルメロスは元々表立って活動できなかった為、戦力として表向きには数えられてないと言った方がいいか。


だが、ヘルタの捜索が困難と判断されると、国としては力の一角を失うことになる。


だからこそ、同じくらいの実力者のエルメロスを戦力として数えるようにすることで、国としての均衡と安全を保つ保身に走ったのだと。


その戦力も今は分散してしまっているためサブラス的にはあまり良くはないが、それでもヘルタという男がサブラスの戦力だったことに変わりはない。

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