機械達の怖さ
本日中に、1000字に落としていた話数の統合整備を行う予定ですので、そちらも合わせてよろしくお願いします。
思考の差。
動きの差は人間が死ぬのに十分なほどの要素だ。
思考しない兵器だからマニュアル通りの動きをする。
無駄のない兵器だから、ノータイムで行動する。
動きに隙がないから、人間と接敵したら一方的に有利になる。
それは、初代サブラス王の記録からも明らかであり、その絶対的な差が縮まったことはない。
この世界の歴史において、スーベルニカの作り出した機械は圧倒的過ぎたのだ。
そして、モドキは元人間。元は同じ人間だったものを咄嗟に人は殺せるだろうか?
僕には難しい。
だって、その人は生き延びたら元に戻るかも、なんて淡い期待が生まれてしまうから。
その思考になってしまって、隙が生まれるから。
彼らは死なない兵隊だ。
記憶が意図的かはわからないが記憶の移植だけはずっと出来ないのが難しい部分だとスーベルニカの学者は言った。
⋯のだが、それはあくまで否定派を黙らすための口実だろう。
機械兵に記憶などいらない。
感情など要らない。
奴らは完璧であることに意味がある。
機械にすることで操り安くすることに価値がある。
人間は思考するから誰が悪で誰が正義かを感情と知ってる情報だけで判断する。
でも、それは機械には要らない要素であり、機械はインプットされている敵にひたすらに殲滅行動すればいいだけだ。
記憶を移植したい、なんてのは嘘だ。
スーベルニカの研究はとっくに終わってて、きっと機械兵を蓄えるまでに攻撃されるのを防ぐための口実だって、そう思えるくらいには彼らは賢い。
「奴らの切り札が起動すれば王様暗殺どころでは済まないだろうな」
「それは⋯どういう?」
「奴らはこの国を完全に乗っ取る気だ。
その意味、ここまでの話からわかるだろ?」
「⋯大量の一方的な虐殺」
「止めるには暗殺を止める他ない。王が健在なら、その事実は奴らに取り入る隙になる。きっかけになる」
今回推進派が仕掛けてきたのはきっとでかい勝負。
ここで全ての決着をつける、とまでは行かないだろうが、否定派の勢力を削ぐには十分なほどの戦果を得られるだろう。
中立国を落とし、手中に収める。
それだけで均衡というのは簡単に破れてしまう。中立を維持し続けた国を落とすだけの力を持っている、
その武力誇示だけでお釣りが十分な程に出てしまうのだ。
ならば、暗殺は絶対に止めなければダメだ。
これは世界の運命がかかってる⋯って程ではないだろうが、自分の安全のためにも絶対条件だ。
「その推進派の入り込んだ王宮内の人間、見当は?」
「ついてないな」
「でも、謁見は明日ですし⋯」
「そこが問題なんだよな。謁見が通ればこちらの謁見も通る。そこが、分岐点になる」
「ならどうすれば⋯」
状況はどんどん悪くなる。
だが、それをひっくり返すだけのカードがこちらにはない。
だからこそこの状況は非常にマズイし僕たちが何もしていないのに不利になり続けるこの状態、きっと奴らの思うつぼだろう。
既に推進派に僕たちがいることは知られているだろう。
なら、謁見することも周知の事実。
謁見が決まってる以上、その後に謁見して王様諸共僕たちを捕獲して捕虜にして、一気に他国まで落とす。
そういう算段なのであれば、他人事ですらないのだ。
ヘルタの話は一種の余命宣告である。
状況が好転するほどのきっかけがこちらに無い。
ならば、なるようにしかならない。
暗殺は成功するし、僕たちの捕獲も成功する。
そしてそれを交渉材料に一気に推進派以外の国を落とす。なんて、作戦を立てられててもおかしくない。
「正直、君たちだけの問題ならば君たちがこの国を出れば解決する」
「それは⋯なるべくならしたくないですね。本来の目的もあります」
「援軍は確定か?」
「来るのはそうでしょう。ただ、足止めは確実かと」
「こういう時、無力なのが惜しいな」
そういえば、おじさんの占いの結果は僕たちが何をした未来なのだろう。
それにおじさんの素性もわからない。ヘルタに聞いても分からないだろう⋯
「今日、宿に戻る前不思議な人に会いました」
「不思議な?」
「占いで未来が見えるって」
「⋯ちょっとまて、その人は老人か?」
「え?はい。歳のいったおじいさんだったかと」
「その人、どこにいた?」
「えっと、確かこの宿から少し出た先の、子供たちのスラムの入口付近だったかと」
ヘルタはそれを聞いて少し考え込んだ。
まさかな、としきりに繰り返し、そしてひとつの可能性を僕に提示した。
「そのじいさん、まだ居るか?」
「多分」
「そのじいさんにすぐに会いに行くことは出来るか?」
「今からですか?」
「もし俺の推測が正しければ⋯この状況をひっくり返せるかもしれない」
ヘルタのその一言はすごく衝撃的だった。
だって、あのじいさんどこにでも居そうな見た目だったし、怪しくはあったけど、変哲のないじいさんだったはずだし。
いやでも、未来を見れるあたり普通ではない⋯?
いや、どちらにせよヘルタのこの慌てよう、尋常じゃない。
この世界には謎に満ちている要素こそあれど、世界の移り変わりで失われたものも沢山ある。
魔法の消失だがそれは、今の推進派の元である機械派が台頭した頃に失われたものだ。
人々はその便利さから魔法の存在を次第に忘れていった。
だが、一部の国ではそれをよく思わなかった。
魔法というのは神秘に近いものだ。
故に、神秘の消失は神と人間のコネクションが無くなることを意味する。
だから、否定派の元は魔法の保全派だったらしい。
だが次第に機械派の力が強まり、保全派の人々の記憶からもある日を境に魔法が消えてしまい、今では資料に痕跡が残っている程度になってしまったと言う。
だが、ヘルタは言った。
「もし、もしもだ。保全派の思想を密かに受け継ぎ続けた人々が生き延びてるとしたら?」
「⋯魔法はまだ死んでない?」
「余地なんて魔法の領分だ。なら、魔法が生きてることにも合点がいく」
確かに、未来予知とか占いは元を辿れば魔法の領分だろう。ならば、あのじいさんはもしかするとーー
「僕も一緒に行く。聞きたいことがあるのでな」
僕はヘルタを案内しつつ、じいさんと出会った場所に再び戻った。
だが、そこにじいさんの姿はなかった。
既に退去した後だったのだ。
じいさんこそが切り札であったかもしれないというのに⋯
だが、ヘルタは僕に伝える情報があると地面のまだ暖かい温もりを感じながら言った。
「推進派の極秘資料に書いてあったものだ。これは、世界の記憶を見るに至るコツ、みたいなものだと思ってくれ」
「⋯!」
「異世界人達は召喚される度にその力を強く後続に継承として残したらしい。
そして、君の3つほど前の世代で、世界の記憶を見る方法が確約された。それを推進派は見逃すはずがなかったがな」
コツとは名ばかりに、感覚派の僕には少し難しい要求をヘルタはした。
「深く、その場の空気を感じるんだ。そして、世界の意志と自分の意思を重ねていく。そうして彼らは世界の記憶を見たらしい」
「でも、僕は見てしまったらメモリーストーンになってしまいます」
「壊せばいいんだ」
「え、壊していいんですか!?」
「そりゃな。記憶が消える訳でもないし」
確かに、壊すって発想は無かったな⋯
とはいえ、この場で成功される以外の方法は今残されていない。
この場で、土壇場で、成功される以外の方法はないんだ。
成功を強いられるのは少し責任が重いが⋯やるしかないんだ。
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