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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
アニュラス王国中立戦争

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暗部部隊調査隊長。ハーティ、お暇をいただきます。

受付の方から紹介されたのはサブラス暗部部隊調査隊長の「セネガ=プロイト」。暗部部隊は各地を転々としてはいるが、毎回担当が変わっており、今回は隊長が点在していたらしい。というか、隊長ってエルメロスではないのか?


「エルメロスさんは暗部部隊特務総司令でござる」

「あ、そうなんだ」

「さて、要件は了承したでござるよ。エルメロスさんに取り合ってみるでござろう」

「セネガさんはどうするの?」

「ひとまずは暫くは陰ながらテオ殿の護衛に務めるでござるよ。エルメロスさんが合流したら表立って護衛に回りましょう」

「おお、頼もしい」


ござる。ござる口調だこの人。まさしく忍者。NINJA。日本人の僕にはとても馴染み深いNINJAだ。

彼は懐から連絡端末を取り出す。携帯のように見えるが。どういう仕組みなのだろう。


「む、見るのは初めてでござるか?」

「えっとまあ」

「暗部用連絡ツールのスマホでござる」

「何ができるの?」

「音声通信と伝聞通信でござるな」

「あ、電話とメール対応してるんだ」

「でん⋯め⋯?」

「あ、気にしないで」


どうやら推進派の使っている技術、という訳ではなく推進派きっかけで派生した技術の結晶らしい。この連絡ツールは一般には普及しておらず、否定派の間でも改良ができる技術班を募り、特務隊など国の護衛に回ることの多い役職の人間に配られるものらしい。


まあ一般でこんな技術卸されたらたまったもんではないので、それはそうだろう。それにしても、スマホをこちらで見ることのなるとは思わなかった。


しかも、略称ではなくスマホってまんまの名前らしい。これは恐らく異世界人であるどこかの世代の人間から得た技術で、スマホって略したものが一般で伝わったものだろう。


そこらへんはまあツッコミどころはないが。

護衛が増えたことは有難いし、表で見えない護衛、というのもありがたい。


「セネガさんが常に見張ってるってことはハーティと離れても安心できますか?」

「ふむ⋯そうか、ハーティ殿は付きっきりでござったか」

「ちゃんと依頼してるのがハーティだけなもので」

「ならば拙者から伝えよう。暗部というのは隠しつつ、サブラスからの援軍と伝えればよかろう」

「凄く助かります」

「ハーティ殿とバラバラで動けるようになることで行動の範囲が増えるでござるな?」

「ハーティも常に気張ってるので疲れてると思いますし」

「ふむ⋯一応、サブラスのギルド内でも各国にサブラスからの助っ人できるように配置されてるのは伝わってるのでご安心を」

「ああ、なら安心だ」


ーハーティ視点ー


「ハーティ殿」

「あ、はい。えっと?」

「サブラスからの助っ人でござる」

「あー!ギルドで聞いたことあります!サブラスほのの規模だと各国に助っ人出来るように戦力分散させてるって!」

「まさしく。そのうちの一人でござるな」


ござる⋯?とはいえ、サブラスからの援軍がこのタイミングで合流してくれたのは私としてはありがたい。常に気を張っていて、24時間フル稼働、という日もなくはなかったので、正直少し疲労が溜まりに溜まっている。


戦いの場においてコンディションが悪いというのは悪手であり、推奨されない行動であるのは私も理解していたが、テオの援軍要請の手紙が届くまでは正直気が抜けないと思っていた。


サブラスから派遣されてる人間がいるのはしりつつも、その事をすっかり忘れていたのでこれもテオのおかげかな?


セネガさん、というらしい。セネガさん曰く、援軍到着までテオの護衛を引き継いでくれるらしい。とはいえ、私自身も身の安全はある程度確保したいので、目の届く範囲で行動するように、とは念を押された。主にギルド周りでの行動であれば特に問題はないらしい。


買い出しとか諸々を自由に出来るようになったのは正直かなりありがたい。


そういえば、着替えが足りてないんだっけ?テオとは前回サブラスでの大きな依頼でニコラから貰った報酬を折半しており、わたしもそれなりにお金は持っている。なので、ありがたく使わせてもらおう。


「手分けして依頼などする場合も、双方を監視する様に動くので問題ござらん」

「じゃあ、効率的に動けるようになりますね」

「もっとも、サブラスやスベラルからの援軍が来た際には大々的にサポートに回るので、しばしの我慢はしてもらわねばいけぬが」

「援軍、どれくらいで?」

「ふむ。先程連絡が行ったのでおそらくは数日以内には」

「速達便ですもんね」


援軍依頼が早ければ早いほど、王様との謁見が早まる。それは、暗殺で街中が混乱している今、かなり大事な部分だ。また、正確な目安の日数を提示してくれたことで、そこまでに英気を養う専念が出来るのはありがたい。


戦う、というのはなるべく避けたいけれど、何が起こるか分からない以上常に戦闘態勢に移行出来るようにするのが護衛としての最大限の勤めである、とたわしは考えている。


今日はこの後そのままセネガさんが護衛に回るということで、引き継いで私はゆっくりすることにした。


「では、護衛到着の際にはテオ殿とハーティ殿の元を訪れることにしましょう」

「そこまでにしっかり休まないとですね」

「護衛任務、しっかりと承った」


さて、暇になってしまった。何をしよう。やりたいことは沢山あるけれど、まずは服を見ようかな?服は大切だ。王様との謁見もある。あまりみすぼらしい格好は出来ない。だから、呉服屋で服を見よう。そうしよう。


今の私の服装は、動きやすい所謂軽装。故に、多少動きにくくてもある程度の身分だと分かるような格好が好ましいだろう。勝負服、というやつだ。


だとしたら何がいいかな⋯?ドレス?うーん、さすがにドレスだと⋯ショートパンツスタイルに動きやすいシャツに胸当てって感じに戦士って分かりやすく?


うーん、でもそれじゃあ今の格好とあまり差がない。どうせかうなら今よりはもっとオシャレにしてみたい。なら、ショートスカート?さすがにロングは戦闘時に困る。


でも、スカートだと動き回ったら見えちゃわないかな?そこも心配あるし、やはりショートパンツスタイルが好ましいか⋯


呉服屋で悩むこと30分ほど。見かねた店員さんが私にあったコーディネートをしてくれることになった。


色々試してくれたが、どれもしっくり来ない。


「動きやすい服装だと好ましいのですが⋯」

「うーん、でもショートパンツスタイルだとダメなんですよね?」

「そうですねぇ⋯」

「ああ、ならこちらを履くのは?」


店員さんが指を刺したのは下着の上から着用するパンちら防止をしつつ、防寒に優れるスパッツだった。


ああ、なるほど。オシャレに結構無頓着に近いので頭になかったが、たしかにスパッツを履けば動きやすさを重視しつつ、見える心配がなくなるか。


ある程度の見栄えを重視するならやはりショートパンツスタイルよりはスカートスタイルのがいいと思う。胸当て⋯そうだ、上も問題だなぁ。


「下はこのスカートと、このスパッツで 」

「上はどうします?」

「うーん、胸当ては付けたいのですが⋯王様と謁見する際に胸当てだと威圧的ではないですか?」

「ならばこちらはどうですか?」


今度は店員さんが差し出してきたのは内に仕込むタイプの軽い胸当て。胸当てというか、ブラジャーというか⋯しかし、最低限の防御力があればいいというのが理想的。耐久度のテストはしておくべきだが、一応そこは気にしておこう。


「この胸当だとどれ程の耐久度が?」

「こちら、アカルハイムより卸された品でして。最低でも二回ほどなら剣戟を受けても大丈夫なように中に金属が仕込まれております」

「なるほど⋯内側に着込むので見栄えには直接関わらないということですね」

「はい、左様でございます」


ふむ⋯ならば、これにしよう。

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