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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
アニュラス王国中立戦争

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闇医者の男。廃人の母。

闇医者の男は色々な被検体が居ることを話しつつ、僕たちの探している人物の特徴から精神的にボロボロの女の人の元へ案内された。


彼女は虚ろな目をしていてじっとこちらを見ている。


警戒しているめだろう。


そして、僕たちが話をしようとした時に暴れた。


医者は懐から鎮静剤のようなものを取り出し、彼女に使ったのはまだ実験中の薬品らしい。


所謂鬱病と呼ばれる状態らしいのだが、彼女は特に酷い。


あの子の記憶を見た限り、かなり夫に依存しているようだった。


少し荒っぽいが、無理やりでも彼女の記憶を見て、状況を整理しよう。


そうすれば、彼女が娘をどんな気持ちで捨てたかとかもわかる。


そうすれば、彼女に会わせていいか判断も出来るだろう。


医者に接触をしていいか聞いたが、快くOKを貰えた。


彼女の額に手を当て、記憶を読み取り始める。


そうだな、数年前⋯女の子の記憶に近い場所から見ていこう。


女は、妊娠が発覚すると発狂した。


それは、夫からの愛が子供に向けられることへの嫉妬だろう。


女は精神的に不安定だった。


それは昔からであり、好きな男を作り、好きな男からの愛を受けることで症状が和らいでいたらしい。


妊娠が発覚するのと同時に、彼の徴兵令が知らされた。


おっとは、戦争にでなければいけないと。


女はまた発狂したが生死の分からない場所へ夫をどう送ればいいのかわからないから、自分一人で子供を育てなければいけないから。


依存が愛から憎悪へ変わる時、女は精神の歯車がおかしくなって言った。


とはいえ、夫の出兵から暫くは周りの助けを借りつつ、女の子を育てて行くことは出来ていたらしい。


もっとも、夫からの愛を受けられない彼女の事を疎ましく思ったりとかはなく、寧ろ夫が居ないことで愛を独り占め出来ることに喜んでいたとも言われている。


戦争は長引いた。


今回は推進派との戦争だ。


きっと、激しい戦いだったんだろう。


その戦いは、女の子が喋ったり立ち上がったり一人で出来るようになるくらいまで続いた。


そして、例の日が来た。夫が死んだと知らせが来たのだ。


女はひたすらに、暴れた。


一日中。


暴れて暴れて、国を恨む気持ちは次第に膨らみ、そして壊れた。糸がほつれていた彼女の精神は、完全に壊れた。


見かねた周りの人は、子供の女の子をスラムへ住まわせることを決めた。


こんな親に育てられるより、おなじみ寄りのないこたちと助け合った方がいいだろうと言うことだ。


⋯これは、重症だな。


推進派によって間接的に壊されてしまった彼女の人生は、とても悲しいと思う。


だけど、元々彼女には壊れてもおかしくない要素が沢山あったのだ。


故に、壊れたことについては何も思わない。


確かに、この状態の親を子供がみて育つのは酷だろう。


しかし、娘に向けていい感情、では無いな完全に。


彼女が立ち直るとしたら、娘が夫との愛の結晶であることを理解する他無いのだが、どうにも⋯


ハーティにもこの記憶を見せたが、ハーティは怒っていた。


親としての愛情を向けられないのなら、子供なんて作るなと最もなことを言っていた。


親なんて子供を盾にしてしまえば極論なんでも出来てしまう。


故に、子供を邪険にする彼女をハーティは許せなかったのだろう。


もっとも、ハーティも家族を失っている。その辛さは分かっているつもりだろう。


女の子の記憶は常に母親の心配ばかりだった。


離れてしまってからも、ずっとずっと親のことを心配し続けて生きてきた。


それが例え愛の存在しない親だとしても。親族という事実は変えられないのだから。


しかし、この状態の人間はほんとうに助けられるのだろうか。


闇医者いわく、鬱病は脳に衝撃を与えたら治る可能性があるらしいが、それはほんとうに治ったわけではないだろう。


心理的な部分が大きい病気だと思うし、仮に脳みそが関係してるとしても人道的とはいえない。


まあ、この人は放っておいても色々実験するだろうが。


脳の回路を無理やり刺激を与えて電気信号に頑張れ!頑張れ!とか送るんだろうか。


そんな事しても治る保証はないのに⋯


記憶は見せるべきなのだろうか。


治るものなのだろうか。


ハーティはこんなだし、頼れる人は居ないし⋯うーん、どうしよう。


「ストーンはありますか?」


「え、うん」


「触れさせてみてください」


「え、でも」


「もし変わらなかったらその時はその時です。先生、鎮痛剤はもう1回打っても平気なものですか?」


「まああと一回なら平気だと思うよォ」


「そうですか」


ハーティは無理やりにでも子供の思いを伝えた方がいいという意見だ。


一理はあるのだが⋯それで良くなるとはどうしても思えない。


もっとこう、彼女の核になる部分に刺激があるようなものでないとーーダメな気がする。


例えばそう、夫の最後の言葉とか。


ん⋯?夫の最後の言葉⋯?


あ、そうか、その手があったか。


まあ、一旦子供の記憶を見せてダメならこの方法を試してみよう。


結論から言おう。


女の子の記憶は効果が無かった。


それどころか、暴れだして大変だった。


故に、プランBに移行しようと思う。


プランBについてはハーティに説明した時、確かにそのてもあるかという反応だった。


可能性としてはなしでは無い、程度に思ってるのだろう。


さて、とはいえ男の知り合いがいるかはわからない。これは賭けだ。


最悪、僕は力を無理やり覚醒させなければいけないだろうが、ほんとに出来るだろうか。


不安はあるが、やらないよりやる方がいいだろう。


ハーティと共に一度闇医者のアジトから出て、さっそく捜索をする。


探すのは数年前の推進派との戦争の生き残り、かつあの女の人の夫だった男と同僚だった、というか死に様を見た男が必要だろう。


うまいこと見つかって欲しいが、うまくいきすぎるのもあまり好ましくはないというめんどくさい状況だ。


記憶を頼りにはできないのでここはギルドで聞き込みする方がいいだろうということで、ギルドで早速聞き込みを始める。


推進派との戦争に参加したメンバーは何人かいたが、この男は記憶にないという人がほとんどだった。


やはり、ピンポイントすぎるだろうか⋯いや、それでも諦める訳には行かない。


僕の力を慣れさせる意味でも重要な任務だ。諦める訳には行かない。


困っていると、ギルドの案内人さんが王宮の衛兵なら何か知ってる可能性があるということで、今度は城の方に行くことになった。


確かに、衛兵なら徴兵した人間の記録を持ってる人物を知っててもおかしくはないか。


さっそく、王宮の方へ行ってみよう。


王宮の方は、もう夕方近くということもあり、少し大人しかった。


門番のところに居る衛兵さんに事情を説明し、なんとかできないか取り合ってもらうことに成功した。


今は、衛兵さんが帰ってくる時間を待っている。


30分ほどたった時、戻ってきた。


どうやら戦争に参加した人達は密かに記録がされており、探せそうということだった。


名前を聞かれたが名前、知らないんだよな⋯何か手がかりはーー


「私、わかりますよ」


「えっ?」


「さっきの女の人、分かりやすいようにネームプレートつけてたんです」


「そうなのか、気づかなかった⋯」


そのネームプレートを元に男の身元を調べる。


女の名前はビルド=シュバルト。


つまり、シュバルトという名前の男を探せばいいわけだ。


衛兵さんには記録を見せてもらえることになり、今からその記録の保管されている資料室に行く。

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