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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
アニュラス王国中立戦争

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小さな少女の小さな願い。幼い少女の夢。

ハーティに連れてこられたのは、スラムだった。この街の負の面。


だが、スラムは国から見捨てられたわけではない。


金銭的だったり親がいなかったり様々な事情のある子供たちを一つの集落のような形にすることで、何とか治安を維持してる、というわけだ。


最低限の資金援助はされており、食べたりするのには困らない。


そんな子供たちが、僕になんの用だろう。


「テオ、この子です」


「あっと、こんにちは」


「こ、こんにちは」


すごく怖がられてる。


ハーティの後ろに隠れられてしまった。


僕、まだ何もしてないし、小さい子には興味は無いのだが⋯とはいえ、こんな子が記憶屋を?


という疑問はある。


それに、依頼では無いと言っていた。


「彼女たちは依頼を委託する為の金銭面の余裕があったりする訳では無いので、タダ働きにはなってしまいますが⋯

それでも、小さい子が困ってるなら私は何とかしてあげたいです」


なるほど。


ハーティは子供が好きだと、いいでしょう、話を聞きましょう。


小さい子は依頼を経由しないことに少し後ろめたさを覚えつつも僕は大丈夫だよ、と慰めると依頼の内容について話してくれた。


内容は簡潔にいうと、親探しを手伝って欲しいというもの。


この子達は赤ちゃんの時に捨てられたわけではない。


ある程度育った時に、色々な事情で捨てられたのだ。


国は流石に全ての子供が救える訳では無いし、誰か一人を助けたら、他の子に妬ましく思われてしまう。


嫉妬されてしまう。


そう手を焼いていた時、このような形で身寄りのない子供たちを集めた集落もどきを作ることで平等に支援するという政策を実行した。


その政策は成功。


スラムの子供たちは食べ物欲しさに犯罪はしないし、ある程度自由に暮らせているらしい。


だが、まだ小さい子供の集まりだ。


生活するために仕方なく色々覚えていたりしたとしても、やはり親が恋しいのだろう。


彼女の依頼はそんな願いもこもってるのだろう。


泣きそうになりながら、おとうさん、おかあさんと探してと頼まれてしまった。


こんな小さい子にせがまれたら断る理由はないし、多分断ってもハーティが隠れてコソコソ助けようとするだろう。


その間、護衛から外れることになるので、僕は自由のフリーマンになる。


それは、自分としても裂けたい。ということで、どちらにせよハーティに連れてこられた時点で断る理由は一ミリも無いのである。


それに、当初の目的的にも能力を使い続けてコツを掴むのも早い方がいい。経験値を稼ぐんだ。


記憶をさっそく見よう。


この子の親を探すにしても、記憶のなかの親の顔は重要だ。


それに、メモリーストーンがあるので、ハーティにも顔は共有できる。


少しずつ力の方も慣れてきており、本人が思い出せなくても、脳内に深層心理的に覚えてるものでも引き出せるようになっていた。


その辺をどんどん積み重ねていくと、おそらく覚醒できるであろうから、近場の記憶を読むよりより深い記憶を見る練度をあげた方がいいだろう。


女の子の話では、捨てられたのは三年前。


父親は推進派との戦争で命を落として母親は精神的にダメになってしまった為、育て続けることが難しいということで捨てられたようだ。


そのような経緯だと、彼女を母親に合わせるのが正解なのかはわからない。


でも、子供は親に頼りたいものだ。


それに、彼女くらいの年齢は親の愛を知らないで育つ方が後々に様々な問題を抱えることになるだろう。


ならば、会わないよりは会った方がいいかもしれない。


記憶を読み続ける。親の顔を探してみるのだ。


より深いところの記憶を漁っていく。


どんどん奥へ、奥へーー彼女の思い出せない所へ突入する。


様々な記憶。


まだ、両親に愛されて育った時の記憶で彼女もまた、普通の子供でありたい。


だけど、生きていくには大人ができることをやるしかない。


そんな事情が伝わってくるほど、彼女の記憶は悲しいものだった。


彼女の最後に見た父親の顔は、どこか寂しく。母親は戦争に行かなければ行けない夫を泣きながら見送っていた。


当時の彼女は何が起きてるのかわからない。だから、母親におとうさんはどこに行くの?


と純粋な疑問をぶつけてその言葉で、母親の涙は抑えていたものが爆発した。


周りの大人に必死に夫が行かないように引き止めるのを止められている。


ああ、そうか。


子供からしたら戦争なんてどうでもいいんだ。


親に愛され、親とすごし、親との思い出が何より大事なんだ。


「⋯よし、ありがとう」


「テオ、親の顔は?」


「バッチリ。でも、彼女の記憶は結構悲しい事実が突きつけられるので、ハーティが見る時は気をつけて」


「気を使ってますか?ふふ、ありがとうございます」


ハーティにも親の顔の記憶を共有した所で、親探しが始まる。


母親は精神的にダメになったと言っていたので、ひとまずは医療関係の施設を当たるのがいいだろう。


それに、この場所を知ってる大人は親の顔はわかるはずだしまずは、聞き込みから行こう。


少女の親を探すのは結構時間がかかった。


ギルドや街で聞き込みをして、探すも情報はない。


もう街に居ないのか?


とも思ったが、基本的に街を出たら死ぬような状態だろう。


それは無理だ。


彼女の精神状態はとても悪く、一人で旅をして国を移動する、なんて芸当ができるわけが無い。


だからもう少し聞き込みを続けてきっと探し出してみせる。


あの女の子は悲しい顔をしていたのならば、それは記憶屋の仕事だ。


人の笑顔を守りつつ、治安を守る。


これも立派な記憶屋の仕事で名声は要らない代わりに、街でやりやすくさせてもらう。


そうすればきっと、やつらに近づける。


近づいて、目的を吐かせる。


そうして、きっと未来で役に立つようなことをさせる。悪いことばかりは良くはない。


見つけて、改心させて⋯世界のためになってもらう。


それくらいなら許されるだろう。


だが、推進派の思想は強火だ。


その程度で何とかできるとは思わない。


彼らは自分たちの思想が全てだと言い張っている。


ならば、改心させるにはそれなりのものが必要だ。


今、手元に切れるカードはない。


だから、旅をして少しずつ手札を蓄えていずれ来るやつらとの決戦に備えて。


まあ、それはいずれ。


今は人探しに全力を出そう。


医療機関は当たってみたが、いい反応は得られなかったがギルドの聞き込みでもあまりいい答えは得られなかった。


もう無理かと諦めた時、一人の男が声を掛けてきた。


彼は、数年前に精神的に病んだ人を数人とある場所に紹介したと言う。


とある場所⋯?


それはどこだろうと男に事情を話し、案内してもらう。


そこは⋯王国の裏側だった。医療ですらダメな人間を匿っている。そんなお人好しが居るというのだ。


どうやら推進派から技術提供を受けて研究しているらしく、今の医療では無理でもいずれ回復させるとその信念のものに数人預かっていると。


そんなマッドな人間、王国が放っておかないだろう。


ようは無免許医師。


良くはないが、推進派との縁が切れるのも王国的には痛手だ。手を出せないで困っていたらしい。


精神的なものであれば、きっとあの子に会えば何か変わるかもしれない。


そんな期待を胸に、僕はその裏医療設備のある医者のもとを訪れた。


彼は、マッドだ。


研究材料として人を扱い、そして様々な実験をする。ダメになるような実験はしないが、薬の治験のようなものだ。


国に卸すはずの推進派の技術を流す前に試す場所でそういう所なのだろう。


まあ、闇医者だが。

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