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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
王立図書館編

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サブラス王国王立図書館

ニコラの案内により僕は1人図書館で調べ物に時間をかけることにした。


王立図書館はすごく大きい場所だった。


この世界の全ての知識の集まる場所だ。


これくらいの大きさは普通だろう。


ただ大きすぎることが問題ではあるだろう。


そのサイズ、一国の城サイズだ。


城に付属してる施設、とかではなく独立した図書館がこのサイズだ。


この国ではこれが普通なのだろうか⋯というか、傍から見たら図書館と城で二重に城があるようにも見える。


ああ。


そういえばニコラがチラッと王立図書館は戦争時は砦として運用され、敵を心理的に追い詰めるためにこの大きさになった経緯もあると言っていたな。


城攻めは城がふたつある、なんて状況に直面したらきっとかなり困難になるのだろう。


もっともサブラス王国はこの世界でいちばん大きな国らしく、その強さを誇示するための大きさ、というのもあるのだろう。


あとは純粋に図書館の貯蔵量がこれだけの大きさがないとダメな程ある、とかだろうか。


さて、大きさに少し足がすくんだが、いよいよ門をくぐろう。


ここで足踏みしていては、後に繋がらない。


もっとも、元の世界に帰りたい、という訳でもないが、帰りたくないという訳でもない。


方法さえあれば、帰る道を僕は選ぶだろう。


⋯ちょっとでもその可能性を模索するためにも、やはりここには足を運んだ方がいいのだろう。


さて、少し緊張しながらも足を通す。入口は大きく、ますで要塞だ。


中に入ると、壁一面に並んだ本棚にビッシリと図書が詰まっている。


改めて、大きいだけの図書館では無いのだと伝わってくる。


要塞としての役割も遂行できるようにするためかあちこちに戦時中に役立ちそうな武装などが散りばめられているがあくまでも守るため、を強調するためか。


あまり堂々と並んでいるわけではない。


城攻めなんてした日にはかなり骨を折るだろう大きさな上に、ここまでの設備が整っているならば相手は攻略を断念し撤退せざるを得ないだろう。


さて、図書館とはいえ異世界のもの。


文字は何となくしか読めないし僕の元いた世界と比べて、本の整列がしっかりしているためか、目的のものを探すのにかなり苦労しそうだ。



そもそも、特殊能力の本ってどこをどう探せばいいんだ?


そんなふうに本棚の前で立ち尽くしていると、案内人と思われる人物に声をかけられた。


「お探しの本はどんな種類の?」


「ああ、昔の人が特別な力を使えると聞いたので。その辺の本を少し」


目的の種類の本を説明すると、丁寧に案内された。


案内された先の本棚も、かなりビッシリ詰まっていてこれでもかというほど綺麗に整頓されている。


まずは、軽いものから⋯とも思ったが一冊一冊がかなりの分厚さで、これはとてもじゃないが一日で調べるのは大変だろう。


結論から言おう。


この力について分かることはほとんど無かった。


様々な文献を1週間ほど読み漁ったが、記憶が読める、なんて能力の詳細は全くなかった。


魔法や超能力に近いものの記録は残っているが、それまでだ。


使い方など詳しく書いてある本もあったが、力の詳細は依然として分からなかった。


のだがーー一つだけ、気になる文献を見つけた。この世界における神話のようなものだろう。そこに、このような記載があった。


「世界滅びを迎えようとする時、異世界より使者が現れる。その使者は、世界で一番必要な力を持つだろう」


という記事だ。


異世界からの使者⋯というのは間違いなく僕のことだろう。


だが、一番必要な能力、という部分で引っかかる。


もし、記憶を覗ける能力が必要な力なのだとしたら、この力で何をすればいいのだろう?記憶を覗くだけ。何の役にも立たない気がする。


仮にこの力が必要になったとして、信用してもらえるのだろうか?


一端の人間の戯言、として記憶を見たものを伝えても扱われるだろう。


信頼というのは人と人の間に生まれるものであって、特別な力など関係は無い。


いや、まあ能力があったりしたら関係はあるが⋯


そうして途方に暮れていると、少し違和感があった。


知識が脳に記録されればされるほど、先程の少女の記憶が押し出されるような感覚を覚えた。


そして、ある程度の知識を得たところで、それは起きた。


コロン、と音を立てて何がが落ちた。


「これは⋯?」


綺麗な宝石、のようなものに見えるが⋯


だが、その疑問はすぐに解決した。


石に触れた瞬間だった。


記憶が流れ込んできたのだ。


それは、先程まで見ていた少女のもので間違いないだろう。


だとしたら、記憶が押し出されて排出された⋯ということになるのだろうか?


ああ、考えても分からない。


記憶を覗く、だけでは無かったということだろうか?


この石は、間違いなく僕のからだから落ちたものだ。それが、こうして形を保って手元に残った。


そして、触れたら記憶も見れる⋯


だとすると、僕の持つ力というのは記憶を覗き、そしてこうして石のような形で保存することなのだろうか?


わからない。


それをしてどうなると言うのだろう。


とにかく、必要な知識はある程度得た。


あとは、ニコラのところで少し情報を整理しよう。


そして、あわよくばニコラにこの記憶を覗き、排出する力を試させてもらおう。


もっとも、文献通りならこの力は異世界からやってきた僕の独自のもの、ということになるだろう。


そして、それは今この世界が一番求めている力ということになるだろう。


確定要素では無いものが多すぎるが、少しずつ情報を整理していこう。


今はそうしてできる限りの情報を辿っていき何をすればいいか、を明確化するべきだ。


暫く考え事をした後、図書館を後にして、ニコラの元へ帰ることにした。


能力の検討は少しだけ付いたが、まだ確証が持てるわけではない。


だけど、ニコラに試させてもらってもしそれが実現できたのであればそれが力なのだと受け入れるべきだろう。


もっとも、発動条件とかもろもろは何となくでしかないからまだ触る、ということでしか発動できないのだけど。


宿に帰ると、何やら慌ただしかった。


衛兵のような人達が宿でなにやら揉めているようだった。


「どうしたんですか?」


「ああ、それがーー」


話によると、サブラス王国への侵攻を示唆した手紙が王様の元へ届いたのだと言う。


手紙の宛名は「王立錬金研究所」とだけ書いてあったらしい。


この世界における錬金研究所は、二つほど山を超えた先の「スベラル王国」の特務機関らしく、おそらくスベラル王国からの宣戦布告なのだろう、という。


話だけ聞くと何も関係ないように見えるが、少し困ったことがある。


「ああ、戻ってたか」


「ニコラ、話の方は?」


「聞いてるよ。ちょっと困ったな」


ニコラ曰く、この状況ではすぐに他の国にも侵攻の知らせが行くために国を横断して安全地区に逃げ込む、というのが少し難しくなるのだと言う。


また、そのような状況になってる理由は、ヒトガタとモドキの争いが起きているため、ヒトガタ同士とはいえかなり警戒心が高くなっていて信頼できる。


と向こうに思われない限り国に入ることが許されなくなるのだと言う。


つまるところ⋯


「この国で侵攻を待つ、しかないと?」


「俺は間違いなく駆り出されるな。曲がりなりにも元ギルドメンバーだ。戻ってきてるってのが知れ渡れば俺だって戦力の一人だ」


困った。


そうなると、ニコラに色々教えて貰いながらこの世界を見て歩くことが出来なくなってしまう。


そうなれば、何を為せばいいのか、何をしたら帰れるのかが分からなくなってしまう。


僕一人だとなんの力もない一般人と同格だ。とてもじゃないが国をぬけて旅なんて無理だ。


事情を知っているニコラなら多少融通が効くのだが、もし他の人を頼ってとなるとそうも言えなくなる。


仮に戦場になったとしても、逃げ場が限られている状況だ。


争うのを事前に止めるか、無事に生き残れるかを祈るしか無くなるがーー


「ニコラ、急ぎで確かめたいことがあるんだけど」

「ああ、話してみろ」


僕はそう言うと、一連の流れを説明した後、力のことについてニコラに包み隠さず話した。


もちろん、ニコラは力の実験には協力してくれるというし、分からないことがあれば手を貸すと言ってくれた。


この世界に置いて僕は産まれたての赤子同然だ。


こうしてニコラのような人間が近くに居てくれなければ、何も出来ないだろう。


ニコラにはより信用できる情報として渡すために、先程手にした記憶が覗ける石を渡した。


ニコラは少し頭が痛いと言ったあと、落ち着いてから僕を前に記憶について口にした。

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