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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
アニュラス王国中立戦争

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アニュラス領内へ。されど足止め。

夜のシチューは美味しかった。


ハーティが腕によりをかけて、僕の世界に近い味のシチューを作ってくれたこともあり、すごく安心して寝れた。


懐かしの味、そして暖かいシチューによる体温の上昇。


野営地というかキャンプ地は風通りが良く、周りは森が近いので、蒸し暑さとかそういうのは一切なく、とても快適に過ごせた森、凄いです。


現代日本では都会ほど森の恩恵を感じにくい傾向にあるが、自然の緑はいい。


熱を吸収し、涼しい空気を出してくれる。


あ、グリーンカーテン的な植物をカーテンにして夏を凌ぐって知恵もあるんだっけか。


ともかく、森の近くを選んだのは正解だ。


寝る直前に魔物よけタイプお香を炊いてその日は久しぶりに快適に寝た。


次の朝。いきなりトラブルから始まった。魔物よけのお香が寝てる間に消されていたのだ。


朝一番に目が覚めた馬車引きさんがそれはもう青ざめた顔で僕たちを叩き起した。


魔物避けが何者かに消されている、と必死に訴えていた。


調べたら確かに誰かが意図的に消した痕跡があり、直ぐに周りを警戒して探すも手がかりはゼロ。


幸いにも魔物に襲われること自体はなかったが、明らかに僕たちをよしとしない何者かによる妨害だ。


でも、僕たちは恨みを買うようなことはしていない。誰がこんなことをするのか見当がつかないのだ。


ハーティは先程からめちゃくちゃ警戒モード。


普段の僕と一緒の時が緩めの警戒モード1くらいだとすると、今は警戒モード30くらいある。


馬車引きさん曰く、この辺は元々魔物自体あまり湧かないため、念の為の魔物避けだったことが幸いしたらしい。


馬が逃げなかったのは幸いだ。


こんな場所で馬が逃げて残りは徒歩です。


とか言われたら多分熱にやられてた。


今この世界だとちょうど四季的には春と夏の間らしく、日に日に太陽の熱が過ごしにくい感じになってきてた。


故に、馬車引きさんが魔物と出くわしにくい森の近くを選んだ訳だが。


ここはアニュラス領内に既に入っているため、サブラスで僕たちを狙っていたスパイの仕業というのは考えにくい。


既にエルメロス達の管轄からも外れている為、助けを求めるのも難しいだろう。


あくまでエルメロスはサブラス周辺の警戒のためもあるが指揮官なのでめったに表に出ない。


つまり、僕たちで何とか切り抜けるしかないのである。


戦力を振り返ろう。


筋肉ムキムキ最高戦力のハーティ。


そして役に立たない僕と、非力どころか戦闘要員ですらない馬車引きさん。


そして、馬車引いてくれてた子だ。


もし、命狙われてるとしたらハーティから狙う、はやらないだろう。


「ハーティだとしたらどちらから狙いますか?」


「うーん、目的にもよりますかね。テオが狙いならいきなりテオを取る、とは考えにくいです」


「それはどうして?」


「いきなり首狙って失敗したら警戒されるので。だったら私なら馬車引きさんを先にやってしまって警戒心MAXにした上で油断したところを一気に、ですかね」


なるほど。


役たたずを人質にして強者を欺くというのは知識だけだが聞いたことがある。


足でまといを囮にすることで動きやすくする、というやつだ。


抵抗できないから、意のままになるしかないし、仲間側も抵抗できない上に命を預かってるので下手なことが出来ない。


だから足手まといから狙う。


なるほど。


「じゃあ、馬車引きさんを守る、って方針でいいですか?」


「うーん、でも馬を狙われるのも結構痛いですね」


「足が無くなるのは致命的ですか」


「馬車引きさんだけなら最悪見捨てることが可能です。ですが、馬を狙われてしまうと機動力を削がれるので痛いですね」


しれっと馬車引きさんはどうでもいいと言い切った。やだこの子怖い。


とはいえ戦闘経験豊富なハーティの判断は間違ってないだろう。


馬と馬車引きさんならば馬車の方が守る優先度が高い。


馬が無事なら逃げれるから、という理由だ。


この場で完全に足手まといになるのが馬車引きさんってことに少し可哀想になるが、とはいえ命狙われてる可能性がある、となると流石に犠牲を考えなければ行けないのか⋯?


「犠牲はゼロで切り抜けます。テオがトラウマになって使い物にならなくなっても困りますし」


「それは励ましてるの⋯?」


「えっ、落ち込んでました?」


いつもの天然だったらしい。


能力的に僕が今国にとっても大事な立場である以上、それを守るのは道理であり、彼女の騎士道精神的には絶対にやらなければいけないものらしい。


移動中だと狙われた時に反応が鈍る、ということでこの場を動けなくなってしまった。


うーむ、困ったな。


食料はたまたま現地調達出来たのでしばらくは困らないのだが、警戒によるストレスが溜まっていく方が問題だ。


警戒のしすぎ、ストレスの溜まりすぎで警戒心がにぶりきったところを一気にぐさ、なんてこともありえるので、狙いは多分それだ。


一気に場所を変えて動き回ってしまうのも一つの手ではあるらしいのだが、結局のところどこから狙われてるか分からない以上、下手に行動して全滅を考えるよりは少しでも死ぬ可能性を潰した方がいいとのこと。


こういう時のハーティはすごく頼りになるな、流石にサブラス最高戦力の一角だ。


とはいえ、彼女もずっと警戒モードだと疲れが保って疲労がすごいだろう。


どうしたものか。


こういう時にお香の記憶を読み取れれば犯人の目星がつくのか⋯?


そう思いながらお香に触れてみるが、ビクリともしない。


ハーティには可能性があると伝えて能力使用中に狙われないように警戒してもらったが、ダメだ。


全くと言っていいほど感覚が分からない。


人間と無機物で何が違うのだろうか。


「いっそのこと警戒しないってのはどうですか?」


「死にたいんです?」


「あ、ごめんなさい⋯」


ダメらしい。警戒を緩めてわざと油断させておびき出す、という作戦では敵の人数がわからないので分からない以上ハーティ一人で守り切れる保証がないとの事。


普段もこれくらい冷静だったら助かるんだけどなぁ⋯とはいえこの状況をずっと続ける訳には行かない。僕も僕で試せることは全部試してみる。


念の為、馬車引きさんの記憶を見て、馬車引きさんは無実であることは確認した。


馬の方も記憶を見たが、流石に馬も睡眠中の記憶はね。


目撃者が居ない以上、やはり誰がやったか見当はつかない。


すごく焦れったいな。やれることがないってこんなに辛いんだな。


馬車引きさんは先程から震えきっており、馬は暴れはしないものの、かなり警戒している様子だった。


馬にもわかるんだな、この状況。


「感覚、掴めませんか?」


「何度かやってるんですが」


「うーん、普段テオはどうやって記憶を覗いてますか?」


「完全に感覚なので意識したことなかったです」


「なら、今やってみればいいんです。意識してみて」


なるほど。


人間に試して見て無機物の時と何が違うのか感覚を擦り合わせていき、できない理由を探して改善する。その方法は全然考えてなかった。


というか、必要以上に記憶を覗いてしまおうという考えがなかった。


この場合誰の記憶を見ても変わらないので、適当な魔物捕まえてきてーーもいいが、流石に手間だ。


記憶を見るあいだはお互い無防備なので、ハーティには頼れない。


ということは、必然的に馬車引きさんを頼ることになるか⋯


僕のせいで、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

ここまで見て下さりありがとうございます。

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