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機械の技術が発展した異世界に召喚された僕が記憶屋として成功するまで  作者: 凪笠シメジ
スベラル王国編

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記憶屋初依頼。怪しい依頼。

あの後話し合ってお互いのいい着地点を見つけ、ハーティは命は優先するが、僕の命には変えられない。


だから、もし何かあればハーティの記憶を持ち出しサブラスに救援を求める、ということで決着が着いた。


もちろんそれでハーティが確実に助かるわけではない。


場所によってはハーティがかなり頑張らないと行けないだろう。それでも、彼女の忠誠心は無下には出来ない。


「って、なんでそこまで忠誠心高いの?」


「あー、それですか。似てるんです、テオが」


「誰に?」


「兄に」


ハーティは兄について教えてくれた。


「ニュクス=スペルベット」


サブラス王宮所属の護衛騎士で、屈指の実力者だった。


彼はサブラスと協定を結ぶ友好国、「アカルハイム」にて任務に行った末、死体となって戻ってきたと言う。


死因は仲間の裏切り。任務中アカルハイムで魔物と戦闘になった際、部下に背後から刺されたと。


そして、動けなくなったところに魔物の攻撃が入り、致命傷になった。


⋯と、ここまではハーティが受けた報告であり、彼女はその報告を信用していなかった。


その理由は彼女の独自に調べたアカルハイムの現状にて発覚したと言う。


アカルハイムは推進派の息のかかった推進派の共和国となった。


そしてそれは現在全ての国に共有されている。


のだが、何故かサブラスにだけはその真実が隠蔽された。


理由は色々誤魔化されたと言う。


ハーティが少しだけエルメロスにあまりいい反応を示さなかった理由がわかった気がする。


兄の死を隠蔽した国に信用するべきか悩んでいるのだ。


もっともエルメロスの事を誤解していた、とエルメロスがスベラルで献身的に国に尽くす姿を見て確信したと言う。


まあ、エルメロスはエルメロスで事情があるのだが⋯


それは僕の口から言うことでは無いだろう。


アカルハイムはいずれ訪れることになるだろう。だが推進派とわかった以上警戒して望まねばならない。


また、彼女はスーベルニカの真実を知った時、アカルハイム以外にも同じような状態の国があるのではと考えたと言う。


そういった人間に、真実の記憶を見せ、推進派から引き剥がしたい。それが彼女の狙いだった。


改めてまとめると、推進派は機械化を推進こそしてるものの、表向きだけであり、その実態は無理やり各国で人さらいをし、機械化の発展のための実験道具にしているーーと、噂では聞いた。


だがスパイの男の話を聞いて、それは少し確信になった。


ニコラの過去の話では、モドキは記憶を引き継がないと言っていた。


なら、今スーベルニカが一番求めている技術、それは記憶の保存だろう。


そして、異世界人だけを狙った過去の事件。


それは全て彼らの力を解明すれば記憶の保存が可能になる、そう狙ったスーベルニカの技術職達によるものだろう。


だが実現してないあたりおそらくは歴代の異世界人の抵抗であり、最後の忠告だ。危険な力は放棄し、実験をやめろと。


永遠の命は確かに魅力的だ。


だが、その機械化した先に待つのはなんだろうか?


破壊の限りを尽くす?


新国家設立?


少なくとも機械化してしまえば何者かに管理されることになる。


絶対服従の人形。


そうすれば他国を滅ぼす平気になる。そして記憶はない。


感情もない。


罪意識などそこにはないだろう。


悪意と善意の区別がつかなくなった人類は、果たして人としての体を保てるのだろうか?


そこら辺はこの世界の各国がずっと疑問にだし、答えを求め続けている部分だ。


記憶を持たない彼らは、果たして人なのか。その結論も出ていない。


だからこそ滅ぼすまでいかない。


決心できない。


心が鈍る。


記憶はないが彼らは元人間であり、人として性を全うしていたのであれば、それは人として尊重しなければ行けないのではないか。


そんな考えの元、板挟みになってしまっているのだ。


悪いことをしてる自覚はある。


だが、それは今そこを攻めてしまえば問答の答えは出ない。


だから手を出せないし戦争はしない。


王たちが求めているのはその答えだから彼らは人なのから彼らは人類なのかそれとも同胞なのか。


そこが大切な要素であり、魔物と違う部分だ。


魔物は所詮は異種族。


彼らを狩って生きながらえているのも事実だ。


だから多少の罪からは意識が遠のいていく中知ってても知らないふりをできる。


だが罪もない機械化した人間がヒトガタを蹂躙してしまった時、それはきっと倫理的には許されない行為だ。


罪意識と向き合うため、彼らの存在を許容するため、きっといずれスーベルニカは戦争を仕掛ける。


自分たちの尊厳をかけてだ。


だがその時、王たちは出ない答えを求め続けている中で彼らと戦えるだろうか。


「考えても仕方ないか。ハーティ、ちょっと付き合ってください」


「もちろん!お供しますよ」


僕はハーティと一緒に気晴らしにギルドに行くことにした。


訪れたギルドでは、なんだか懐かしい気がしたがスベラルでの出来事は一週間ほど。


その間ギルドに行ってなかっただけで、こうも安心感があるのだろうか。


と、そうじゃなかった。


依頼のこともあるが、ギルドには定期的に確認しなければいけないこともあるしまずはそちらからだ。


「あ、テオさん、それにハーティさん。本日のご要件は?」


「あの、ニコラ。まだ見つかりませんか?」


「そうですね⋯友好国各国と連携して捜索はしてるのですが⋯」


「そうですか⋯」


ニコラは謎が多い。


旅をしていた期間がちょうどスーベルニカの技術発展が進む時期と一致している、と報告を受けたこともあり、少し怪しいと睨んでいる。


あ、この報告はエルメロスが暗部を使い調査した所判明したことだ。


暗部にはスーベルニカには直接居ないものの、情報が入りやすい場所によって配置している人員も居るらしく、その人物の証言とニコラが放浪していた時期。


まあギルドに顔を出していない時期、と言うべきか。


綺麗に近い期間にあるらしい。


スパイのこともあるし彼がスーベルニカのスパイ、という可能性も十分あるだろう。


「あ、そういえばテオさん。こちらご覧ください」


「これは?」


「依頼の一覧ですよ」


「えっ?ギルドのではなく?」


「はい!さっそくテオさんの噂を聞き付けて記憶を関連させた困った案件が投げられてますね」


「ありがとうございます。向こうでハーティと依頼を厳選しますね」


「依頼を受注の際はお声掛けください。依頼主と取り次ぎます」


「丁寧にどうも」


もう少しかかると思われていた僕たちへの依頼は意外と早く来たらしい。


依頼の数はざっと十件程度だがどれも人探しなどが中心だ。


その中にひとつだけ気になる依頼があった。


「ハーティ、この依頼、どう思う?」


「これは⋯」


『依頼内容⋯ギルドの機密情報の受け取り』


見るからに怪しいのがあった。


というか、ギルド側でこの依頼について何か言われたりしなかったのだろうか。


依頼主の名前はN。


明らかに偽名である。


いや怪しすぎるし、さすがにこの依頼はハーティも怪しんでーー


「ギルドがスルーしなかった依頼です。きっと意図はあるはずです」


あ、ダメだこれ。


ハーティ、妙に天然な部分があり、怪しいとか思ってないやつだこれ。


とはいえ、ギルドの機密情報。


機密情報か。


うーん、なんだろう。


これ、受付の人に相談した方がいいやつかな?


いやきっと相談した方がいいやつだ。

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