歴代の王。異世界人とは。
結論から言う。
歴代の王の記録は厳重に保管されていたのと同時に、大事なことが書かれていた。
それは、数世代に一人、異世界から誰かが来ることだ。
そして、その時は世界における危機が訪れるとき。
危機は様々だったが、ピンチになった時に異世界から来た人間は記憶を見て譲渡する力を持って召喚される。
それは、歴代王の記録から確実なものになった。
だが、同時にそれらの異世界人は無惨な死を遂げる。
悲しいほど無惨な死だ。その死の多くがスーベルニカが関わっていた。
それはもはやスーベルニカが異世界人を狙って殺してる、といっても差し支えないだろう。
その代の召喚者はスーベルニカに拉致され、知識を奪われた後、殺されている。
つまり、推進派の中枢はスーベルニカで確定、ということだ。
それはとても重要な情報であり、推進派に接触しうる重要情報だ。
⋯だが、なぜそんな情報を機密情報に?
スーベルニカが推進派の中枢、というのは各国に共有するべき情報では⋯?
そう思っていると、次のページに答えがあった。
スーベルニカは関わってはいけないと。あそこは色々な実験をし、事実を知った人間を拉致し、実験の後に殺すと。
ああ、そうか。
国民にこれが知られたらスーベルニカに実験道具にされた後に殺される。
そういうことだろう。
だから公表しようにもできない。
こうして歴代の王のみに情報を伝えていった。なるほど⋯話が見えてきた。
スーベルニカはその代召喚された異世界人から情報を抜き出すことで技術的進化を、発展を遂げてきた。
故に、異世界人は狙われやすく、歴代のサブラス国王が見つけ次第保護して守りやすくしていた。
今の国王もギルドからニコラ経由で僕のことを知ったからこそ、色々手厚くサポートするし守ろうと国の監視下に置いたということか。
歴代の異世界人は皆、そろって記憶を読み、譲渡する力を持っていたし、
その力は召喚される度に強くなっていった。僕の前の異世界人は数世代前に召喚され、自分の記憶を譲渡できたと言う。
その力は研鑽に研鑽を重ね、異世界人が努力して得たもの、だという。
記載はないが、能力が覚醒しているのはこぞってかなりたったあと。
召喚者が呼ばれてすぐの頃の資料には皆、力は弱いと書かれている。
僕の力が弱いのも、召喚直後ってのもあるが、コツを掴めてないから、ということだろう。
ならば、研鑽すれば召喚される事に強くなっていったこの力は、世界の記憶を読んだり、譲渡したり、自分の記憶の譲渡も可能だろう。
⋯もしかしたら無機物の記録も読み取れるかもしれない。
力のコツこそ書かれていないが、拡張の可能性が示唆されているだけでも大収穫だ。
この力を進化させ続けるのがきっと僕の役目だろう。
そして気になるのがスーベルニカだ。
きっと僕を狙う。そこに関してはエルメロスに秘策があるらしい。
「中枢の組織がわかった上で、お前の保護はサブラスが率先して行う。各国に刺客を送り、お前に何かあった際はそいつら経由でサブラスに情報が行くようにしておこう」
「でもそれで身の安全が保証されるんですか?」
「その為にハーティがいるって思えばいい」
ハーティは槍術使い。
リーチに長けた槍でその上で感覚が鋭く、殺意に特に敏感だと。
異変にも敏感で、対処しやすいだろうとのことだ。
それがわかっていたのでエルメロスはハーティが僕の護衛として一緒に旅することに反対しなかった、ということだ。
活躍できなくて気にしてた訳ではなかったのか⋯
「ハーティ、ギルメイ、そして俺の三人はギルド有数の実力者といっただろう」
「なら⋯安心していいんですか?」
「もちろん」
目標は決まった。
スーベルニカ。
そこに、全てがある。
異世界の知識で進化を遂げ続けてきたスーベルニカは推進派の中枢と言っても過言ではないだろう。
そこに忍び込むことが当面の目標ーーにしたかったが、エルメロスはこの知識を得たことで暗部を使って調査を始めると言う。
当代の王はまだ資料には目を通してない故に、スーベルニカのことは知らないが、エルメロスにちょうどいい機会だと資料を目に通すことを命令していたみたいだ。
今の代の暗部は強い。
だから返り討ちにあうとかは無いとエルメロスはいった。
そして、今回このことをスベラルに共有し、スベラルからも精鋭を派遣してもらって調査すると言う。
僕たちはスーベルニカに行くまでに力を確実につけ、対抗勢力として戦力になると確信した上で協力者としてまた声をかけさせてくれと言われた。
要するに、僕はもっと力を使いこなせるようになれ、ということだ。
旅をして、力を使う機会を増やす。
そして研鑽する。
感覚的に力を覚え、拡張していく。
そして、譲渡、世界の記録、自分の記憶の譲渡ーー今はできないそこをできるようになった時、本来のこの世界に来た意味を僕は果たすことが出来るのだろうと。
この世界に来た意味はずっと気になっていた。
何故、異世界に僕が来たのか。
何故、記憶を読めるのか。他の人ではダメだったのかと。
「お前の身の安全は確実に俺たちが守る。安心して旅にでろ」
「エルメロスはどうするんですか?」
「この国から暗部を使ってスーベルニカに少しでも近づく。もし叩けるなら叩く」
中枢の組織がわかった以上叩くことは可能だと。
だが、歴代の王が記録していたということはスーベルニカが危険だということは歴代でも共通した知識ということだ。
それほどまでにスーベルニカは力をつけているし、強国になっているということ。
いくらサブラス暗部が実力者とはいえ、本当に大丈夫なのだろうか。
「スーベルニカは元々技術大国として有名だったが知識の源が不明だった。それは国が秘匿していたから、だが。その上でだ。俺達も来るべき推進派との本格的な潰し合いにそえなえければ行けない」
「そう、ですよね」
「⋯もしお前の力がモドキにも適応できるなら、やりようはあるかもしれない」
「えっ?」
それはモドキに人の記憶。
自分の身内や世界の記憶から本人の記憶を呼び冷ませば、戦力低下に繋がるかも、といものだ。
無機物への譲渡は不可能では無いかもしれないが、出来るのだろうか。
僕はまだメモリーストーンを作り出すことで精一杯だ。
とてもじゃないがここから力が成長するとは思えない。
だが、ここに歴代の異世界人の記録が力の成長を示している。
ならば、やるしかないだろう。
ひたすらに力を重ね、研鑽する。
そして推進派との争いを終わらせることが僕の役目、ということだ。
推進派はおよびスーベルニカとの争いは初代サブラス王の時代から続くものであり、もしかしたら僕はその長い因縁を終わらせるために呼ばれたのかもしれない。
それは、もしかすると元の世界に帰るのに繋がるかもしれない。
ならば答えはいえすだ。目的が同じなら断る理由はない。
僕はやるべき事をやり、エルメロスもやるべき事をやる。
それぞれがやるべき事をやり、その世界の争いの因果を断つ。あわよくばこの代でそれを終わらせる。
⋯壮大になってきたな。
だが、異世界に呼ばれた以上は何かを覚悟していた。
僕が戦える力をつける必要はないだろう。
もっとも、ハーティ達は小さい頃から戦いの知識を叩き込まれている。
僕の年齢的に今更叩き込んでも雀の涙程度だろう。
だから僕は力を研鑽することに全てを捧げよう。




