表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆走! 玉座ドリフト・プリンセス ~巻き添えにされた男子高校生、地上最速の王女とランデブー!~ 【玉座レース編】  作者: 正座回転ドリフト王子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

6・5 おまけ2(謁見その2『このド畜生がぁ!』)

 ヒロシとメイド長は、むだに広い謁見の間に来ていた。

 再びこんな場所に来られるなんて、夢のようだった。

 というのはウソで、内心、ヒロシは面倒くさいと思っているようだ。


 なにかやらかした?

 ベルティーナ王女の替え玉事件で呼び出されたとか?

 ヒロシは不安に苛まれながらも、城内の華やかな景色に目を奪われていた。

 というのもウソっぱちで、はやく帰りたいと思っている……らしい。


「ピロシ、よく来てくれた」


 考えごとをしていたヒロシに、ハミデール国王が言葉をかけた。

 国王は、無駄な装備を搭載した玉座に鎮座する。

 ひじ掛けに装着されたバックミラーで、クルっとしたヒゲを整える。


 王族は後退などしないとかなんとか、ベルティーナ王女の言葉を、ヒロシは思い出していた。


 あいもかわらず、ヒロシは小粒の宝石を大量にデコレーションした、和風のヨロイを身にまとっている。

 ついでに、ピンクの兜を被っている。フルフェイスのため、ヒロシの顔は良く見えない。


 メイド長の装いも、ヒロシに負けてはいなかった。

 V字サスペンダー型変態水着+エプロンx2という服装に、目出し帽。

 帽子の上から『2002』という、変なメガネを装着するという徹底ぶり。

 例えるなら、『要らないのに変なテンションでお土産を買った変態メガネイド』だ。


 変態メガネイドは、不安そうな面持ちで国王の様子を窺う。


 替え玉の件、いや、正確には逃走した件でこっぴどく叱られると思っているのか、ヒロシは俯いたまま黙り込んでいる。


 ヒロシに変わって、変態メガネイドが言葉を発しようとした時だ。


 ハミデール国王が、先に口を開いた。


「勇者ピロシ。娘が世話になった。いろいろな意味でな!」


 国王の表情は、どこか穏やかだ。


「その変態……いえ、王女さまの姿が見えないようですが……金髪ドリルで穴でも掘っているのでしょうか?」


 安堵した様子の変態メガネイドが、ヒロシに代わって返答した。


「新型玉座の改造をすると言ってな、自室に籠りっぱなしだ」

「新型ベルティーナ・スレイヤーを試したかったのですが、残念です……」


 変態メガネイドは、『ベルティーナ・スレイヤー・マークⅢ(アダマンタイト製)』を開発していたのだ。


「ベルティーナ・スレイヤーと言ったかな?」


 国王は不安そうな表情で、変態メガネイドを見やる。


「聞き間違いです。ベルマーク・スゴイナーです!」

「いや、ベルティーナ・スレイヤー……」

「言ってません……」


 変態メガネイドが、かぶせ気味で否定。


「いや、ベル……」

「そんなことより、国王陛下。イヤな予感しかしません。ベルティーナ王女のことです……陛下の玉座のように、“変な装備をてんこ盛り”にしないといいのですが……」


 玉座の変な装備に目をやる変態メイド。


 首がヘロヘロと動く、どこかの大統領を模した微妙にこわい人形。

 ひじ掛けについている、変なボタン類……。


 変態メガネイドは、異彩をはなつ『ESC』と記されたボタンを押したそうな顔をしている。

 “緊急脱出用”のボタンらしい。


「押すでないぞ、ゼッタイ押すでないぞ?」


 前振りだろうか。国王が慌てて注意を促す。


「ええ、脱出用は押してはいけません……ゼッタイ押してはいけませんともっ!」


 そう言いながら、変態メガネイドは不敵な笑みを浮かべる。


「どうしたピロシ?」


 ヒロシが無反応なことに、国王は違和感を覚えたようだ。黙りこくっているヒロシの顔を、細めた目で見ている。


「ヒロシさまは、お疲れのようです……って、アレ?」


 ヒロシの顔を覗き込んだ変態メガネイドは、異変に気付いたらしい。

 ヒロシと思っていた人物は“人魚”だった……。


「国王は気づいてないようです……」


 人魚が耳打ちをする。


「人魚姫。ヒロシさまは、いまどこで何をしているのです?」

「光る泥ダンゴ・フェスティボー(祭り)に顔を出すから、あとはヨロシク! って……」

「あのド畜生がぁ!」

「メイド長、どうします? この状況……二人で土下座します? ブラック柳徹子さんのマネで……」

「しばらく国王陛下を泳がせてみましょう。面白そうなんで」


 変態メガネイドの親指を立てる。


 変態メガネイドの提案に、人魚が無言で大きくうなずいた。


 ヒロシを近くで確認したいのだろう。

 ハミデール国王が動き出した。

 赤い絨毯の張りついた十段ある階段を、ガッタンゴットンと玉座ごと下りてくる。

 地面に到達した国王は、巨大な宝石がくっついた杖で床をコンと突く。


「ピロシ。来てもらったのは、ほかでもない――」


 声を出すとバレしてしまうため、偽ヒロシ(人魚)は一言も発しない。


「お断りします!」


 変態メガネイドが、ヒロシの言いそうな返答をする。


 咳払いをすると、国王が繰り返す。


「来てもらったのは――」

「だが断る!」


 人魚は思いきり声をだしてしまった。


「ピロシ……声が高くないか……」

「ブラック柳徹子さんのマネです……」


 人魚は、ふたたび声をだしてしまった。


「似てねぇっての!」


 変態メガネイドが、新型ベルティーナ・スレイヤーで人魚の後頭部を思い切りド突く。

 吹き飛ぶ兜。

 露出する、人魚の長い髪。


 ハミデール国王が、人魚(偽ヒロシ)の顔を二度見する。


「って、人魚やないかいっ!」


 ハミデール国王は、やっと替え玉に気付くのだった。


「痛いの痛いの、飛んでいけやっ!」


 変態メガネイドが、光の速さで『緊急脱出ボタン』を押下。

 天高く打ちあがる国王。 勢いそのままに、天井にぶっ刺さる。


「撤収っ!」


 変態メガネイドの号令で、人魚も動き出す。


 転移魔法が使えない変態メガネイドは、時速80キロでダッシュ。

 変態メガネイドが、逃走に成功したのは言うまでもない。


 人魚にいたっては、硬い床でのバタフライ。

 進まない体。顔面強打……。

 全力を出しているようだが、人魚の時速は1キロ。


「このド畜生がぁ!」


 取り残された人魚が、咆哮する。

 彼女の顔面は、試合終了直後のカンガルーっぽいボクサーのようだ。


「ピロシ! おまたすぅ~!」


 騒ぎを聞きつけたベルティーナが、床を頭でぶち破って現れた。

 ダウンジング(ヒロシの探索)を開始するベルティーナ。

 自身の金髪ドリルを『↑↑←→(上上左左)』と顔を動かし、人の気配がないか確認する。


「まだ下を見てなかったのよさっ!」


 ベルティーナは、金髪ドリルを下に向け、地面に視線を落とす……。

 逃げ遅れた人魚とバッチリ目が合ったベルティーナは、いつものように雄叫びをあげた。


「って、半漁人はおったんかぁーーーい!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ