異世界アイドルの私が全世界ライブの一週間前にスキル「地獄歌」を手に入れてしまった
短編です。
拙いですが宜しくお願いします。
私は川口美咲二十七歳。異名「声色の魔術師」を持つ歌い手です。
十六歳の時にいじめられ、引きこもりになってそのまま卒業しました。
そして、その時に動画サイトに「歌ってみた」を投稿したのがはじまり。
声色が評価され、一気に有名になり、事務所にも所属し、顔出しをしない歌い手として有名に。
そして、いよいよ明日は世界一大きいドームでの顔出し無しライブ。
浮かれた気分で外を歩いていると。
キィー…ドンッ
あれ…もしかして、私…轢かれた…?
えぇ…何…聞こえないよ…
もしかして、死んじゃう?
「おーい…お…おき…お…て…起きてー…」
あれ?もしかして、生きてますか。ここ病院ですかね。
まあ、顔出しはしないんだから最悪ここでもう歌え…
辺りを見回して、絶望。
周りめっちゃ神々しい。ていうか目の前に明らかに神がいる。
こんな状況で絶望する人、なかなかいないよね…ははっ。
いや、まだ可能性はある!そういう医者で、そういう病院で…
「君、死んだの。あ、僕、神ね。」
一気にぶち壊された。もう無理だ。こんな医者とかいるわけない。
あれ、なんか涙が…
「私…本当に死んじゃったのかぁ…」
別に死んだことに後悔はない。どうせいつか死ぬし。親孝行したかったくらいで。
だけど。
明日はライブだった。動画を投稿し始めて、みんなに褒められて、嬉しくて。
世界一大きいドームで。みんなと歌を歌うことが。
私にとっての、恩返しだったから…
「あーストップストップ。流石にかわいそうすぎたから、君を転生させることにしたんだ。」
零れそうになっていた涙が止まる。え…
「ほんとう…ですか」
「うん。だからね、今の後悔を異世界で、全てやってきて。それが君を転生させる条件だから。」
そんなことで転生させてくれるなら。
私は、異世界で。
最強の歌い手になる。
そう思った瞬間、視界が光輝き、何も見えなくなる…
気が付いたら、私はベビーベットに寝ていた。
あれ、これってもしかして…赤ちゃんからってことですかね…
とりあえず、なってしまったものはしょうがない。
私は、状況を確認することにした。
まずは、顔、顔っと♪
この世は結局顔だからな~☆(個人的感想です)
壁に鏡がかかっていたので確認する。
ふむふむ。
…めっちゃ美人じゃん!?!?!?
もちもちのほっぺ、それでいて小顔な輪郭。
水色とか緑が混ざった綺麗で、大きい瞳。
小さな鼻に、ぷるぷるのくちびる。
こんなかわいい子、見たことない。
これは…天下ぐらい簡単に取れるんじゃね??
あ、ちなみに。
私がなぜいじめられていたか。私がなぜ顔出しをしない歌い手になったのか。
それは…
顔が恐ろしくブスだったから。
性格がよくてブスな子もいるよ??(失礼)
だけど私は、恐ろしくブス、ほんとに。
神さまありがとうございます…
そんなことを思っていると、お母さんらしき人が来て、ミルクを飲ませてくれた。
粉ミルクっぽいけど、赤ちゃんってこんなふうに感じるんだなぁ…
全てが新しいことだらけだ。
そして、私は神さまの話を思い出した。
「今の後悔を異世界で、全てやってきて」
ということは歌い手になって、世界一のライブをしなきゃいけない。
歌い手か…でも、こんな顔なんだから、顔出ししてアイドルになってもいいよね?
さぁ、歌の練習は今からやったほうがいいに決まってる。
お母さんらしき人が去ったのを見てから、前世の大人気曲を口ずさむ。
「…ステータスオープン♪」
最後はこんな感じだっけ…確か、ウェブ小説で人気になったアニメの、テーマソングだった気がする。
ってあれ?なんかが開いてる。もしかして。異世界だから、「ステータスオープン」で開くのかな。
ステータスが。
表示された板みたいなのを見てみる。
名前 ミサキ=フレウ
年齢 2
固有スキル 音(様々な音を出すことができる)
おお!!これがスキル!!
様々な音?えーと…じゃあ…
「コッケコッコー!!!」
おぉ!!すごい!!めっちゃ似…
「誰よ今の声…!近所迷惑ねぇ…」
やばっ…お母さんがこっち来てしまった!
「うわぁぁぁん!!」
必殺・泣いてるフリ!
「あーごめんね! 怖かったね!」
ふぅ…何とか凌げた…
よし、他の声も試してみよう。
こうして毎日を送った私は。
一瞬のように月日が過ぎ。
十歳になった。
小学校にも行って、小学四年生になった。
それから、いろいろなことが分かった。
お母さんの名前はユウカ=フレウ。
お父さんの名前はシュウト=フレウ。
この世界のお金の単位はネマ。
あと、周りに獣人とかエルフとかいるけど同じように普通に暮らしてる。そういう種族っぽい。
因みにこの世界にはネットもアイドルもあって、地球とあまり変わらなかった。
アイドルになるにはダンスも必要だと思って、ダンス教室にも行った。
私にはどうやら素質があったらしい。
スキル「踊り子」(内容は要約するとダンスがめっちゃうまくなる)を一瞬で手に入れることができた。
小学校四年生になって始めて、学校に行った日に自己紹介をした。
「ミサキ=フレウです。得意なことは歌とアイドルダンスです。宜しくお願いします」
すると、周りから「歌いながらアイドルダンスして」とか言われた。
「…何の曲がいいんですか」
「「「ずっきゅーん☆ばっきゅーん☆きみにキュン♡」」」
何でこいつらそんな大人びてんだよ。そういえば流行ってるけど。
「…じゃあ、やります」
なんか音楽流してくれた。先生も何でそんなノリノリなの。
「ずっきゅーん、ばっきゅーん、きみにキュン」
最初の音を出した時から圧巻だった。
ダンスだって自由自在だ。
私はこんなに歌って、踊れたのか…。
最後に鉄砲でバンってやるポーズをしたら、みんながめちゃくちゃ大きい拍手をしてくれた。
なんか…私も意外とノっちゃってるな。
初めてアイドルダンスと歌が本気で楽しいって思えた日はこの日だ。
それから、中高一貫に入れて、中学校でも同じ自己紹介をした。
「『黙れこの野郎!!!』歌って」
「ダンス付きでね」
また言われた。いつものちょっとかわいめの声はやめてかっこいい感じの声にするか…
「「「「黙れこの野郎ーっ!!!」」」」
最後のところはめっちゃ爽快そうに一緒に歌ってくれた。
「アリガトウゴザイマシタ」
緊張しすぎてカチコチになってしまった。
そこから中高一貫で内部進学して、高校になってから内部進学した友達にめっちゃカラオケ誘われた気がする。
それで、ついに二十歳になった。
「ミサキ、もう働ける年になったわけだけど、働く? 一人暮らしなら資金援助ぐらいはしてあげるわよ」
「働きたい!!」
お母さんに言われて、即答した。
それから、お母さんとお父さんに資金援助してもらって、マンションに住んでいる。
それで、バイトをしながら動画投稿サイトに「歌ってみた」を載せている。
初めて載せたのはもちろん「ずっきゅーん☆ばっきゅーん☆きみにキュン♡」だ。
次は「黙れこの野郎!!!」。
事務所所属までに一年かかった。
あれ? これ結構速いペースなのでは??
前世では16から始めて二十歳に事務所所属…
事務所に初めて入った日。
「あの、こんにちは…ミサキ=フレウです」
「こんにちは。私シズク=ピタルです」
隣の子に話しかけると、返事をしてくれた。
もう一人の隣の子にも話しかけようとした。
「こんにちは!私はミドリ=ルミエル!よろしくね~」
勝手に話しかけてくれた。
「よろしく…ミサキ=フレウです…」
それから二人とは友達になった。
シズクはピアノを弾いているらしい。
ミサキはギターを弾いてロック的なことをやっているそうだ。
私はアイドルダンスと伝えると、二人ともすごいねと言ってくれた。
事務所所属から、テレビ出演も多くなった。
初めて出たのは「アイドルなのです!!」だった気がする。
新人アイドルを発掘する内容らしい。
そして、その番組の司会から、
「せっかくだからアイドルダンスで歌うたってよ」
と言われた。
「ずっきゅーん☆ばっきゅーん☆きみにキュン♡」を歌いますと言ったら音楽が流れた。
結構思い出だな。これ。あの時リクエストしてくれた男の子には感謝だ。
「ずっきゅーん☆ばっきゅーん☆きみにキュン♡」
最後の鉄砲も忘れない。
結構やり切ったけどどうかな…
視界のほうをちらりと見ると、少し震えていた。
「せ、席にお戻りください…」
どうしたんだろう…
それから。私の知らないところでネットニュースになっていたらしい。
1名無しさん
あのアイドルダンス上手すぎんか??
2名無しだってばよ!!
歌もうますぎだろ…
3名無し之介
スキル持ちに決まってんだろwww
4名無しなのであーります
>3
スキルでもめっちゃうまいとかいうスキルは無理だからな…
天才だろ…
5寝耳に名無し
>3
乙www
こんな感じで。
そして、オリジナル曲も頼んで作ってもらった。
私の声色は何でも歌えるから、どの人に頼んでも完璧だ。
「信じてたのに」みたいな悲しい系。
「みんなめろめろ!!」みたいなかわいい系。
「天才ですけど」みたいなかっこいい系。
それから、私のことは結構知られて行き。
遂に一回目のライブが開催された。
「みんなありがとう~っ!!!」
結果は全席が埋まった。
というか一時間ぐらいで完売した。
二回目のライブも全席埋まった。
一万席ぐらいあったんだけどな…
もっと言えば三十分で完売した。
そんな感じで五回ぐらいライブが開催された。
五回目はわずか十分で完売したらしい。
転売の人たちが追い付かなかったとか…。
うん、我ながら恐ろしいな。
天下とれそうですよ~、神さま。
ある日、事務所でダンスの練習に向かっていると。
「あのさ、ミサキちゃん」
事務所の人に声をかけられた。
「ハイナンデショウカ」
「そんな固まらなくていいから。実は、全世界に魔法で届ける全世界ライブやろうと思ってるんだけどどう? やる?」
「あーはいはいいいですよ~ってええええええ!?!?!?」
めちゃくちゃ大きい声出してしまった。恥ずかしい。
全世界ライブ…といえば私の夢だ。
前世には魔法がないから魔法で届けはしないけどね。
まあ、テレビみたいな物らしいけど。端末で魔法を受信してみるんだからテレビと同じか。
違うのはスマホとかタブレットとかアプリを入れたら見れること…
「うわ、びっくりした! 何、やらないの?」
「いえ、やります! 前世からの夢だったんです!」
あ、やべ。つい口が滑って…
「そのぐらい待ち望んでるなら成功させてね。じゃあ、一か月後だから」
「は、はい!」
そう言って事務所の人は離れていった。
ふう。危なかった。どうやらジョークだと思ってくれたみたい。
でも…全世界ライブ一か月後か。成功させなきゃいけないし…
お客さんにも最高の歌やダンスを届けてあげたい。
「そのためには…」
たくさん、歌とダンスの練習だ!
一か月後に備えて歌とダンスの練習をし、毎日を楽しく過ごした。
そして、ライブの一週間前。
いつものように事務所で歌を歌っていると脳内で何かの声がした。
「スキル、地獄歌を手に入れました」
ん…?なんだか不穏な…
「ステータスオープン」
名前 ミサキ=フレウ
年齢 23
固有スキル 音(様々な音を出すことができる)
進化スキル 地獄歌(聞いたものを死に至らせる歌を歌える)☆
はああああああ!?!?!?!?!?!?
効いたものを死に至らせる…!?
これじゃあ私、ライブに行った人を全員死に至らせた大極悪犯になっちゃうじゃん!!
どうしよう!!!
「あ、シズクさん!ミドリちゃん!」
一応シズクさんは24歳だ。
「何ですか」
「あ、ミサキ~!何~?」
「実は…スキルを手に入れちゃって…それが…聞いたものを…死に至らせる歌という…」
「…それは」
「ええ!?しかも、この前話してたけどミサキっち全世界ライブじゃなかった!?」
「ステータス見せてくれる?」
私はステータスを二人だけに見せるように念じた。
「これは不味い…」
「これは今すぐ訓練を始めなくちゃ…」
ここで私は疑問を口にする。
「魔法解除ってできないの?」
「☆マークが付いていると解除は出来ない仕組みよ。何故かは知らないけれど。」
「えぇ!?じゃあどうやってー…」
今度は変わりにミドリちゃんが答えてくれる。
「実は、☆マークはレベルがあってね。レベル7になると『無効』が使えるようになるの。これを使うと魔法のチカラをなくせるんだ。」
じゃあレベル7に一週間でならないと!
「今すぐ始めよう!」
「OK。ちょっと耳栓取ってくる」
耳栓を入れてさっそく誰もいない森に行く。
「歌って」とさらさらと紙に書いてシズクさんが見せる。
「ララララ~♪」
適当に思いつかなかったので、音階だけで歌う。
これを十分ほど続けると…
「レベルが2になりました。地獄歌の効果に『痺れ』が追加されました」
シズクさんとミドリちゃんに紙に書いた「上がった」の文字を見せる。
すると、二人は耳栓をとって話し出した。
「じゃあ、今日はここで帰りましょう」
「え、もっとやらないの?」
「レベルは一日に一回しか上がらないんだよ~」
ミドリちゃんが答えてくれる。
「あと、帰る途中とか人がいるときに絶対歌うと駄目よ。」
シズクさんが注意した。う。確かに…やりそう。
「じゃあ、次は魔物退治ね。ダンジョンに潜りましょうか。」
次の日。私たちはそう話してD級ダンジョンの一階層に入った。
すると、スライムがちょこちょこと出てきて、私たちを溶かそうとしてくる。
「ミサキ、今よ」
二人は耳栓をはめた。
「倒れろ、マジ消えろ、溶かさないで、歌で死滅して」
適当に思いついた言葉でメロディを作ると、スライムは倒れた。
少し経つとスライムは消えた。
シズクさんは「二階層」と書かれた紙を私に見せた。
私はうなずくと次の階層に向かう。
途中でスライムが五匹と、馬の魔物が一匹と、骨の魔物に出会った。
私はそれを全員さっきの歌でなぎ倒して二階層につながる階段を下った。
途中にアクセサリーを見つけて「これは何」と紙に書いて聞いたら、普通のネックレスと言われた。
後で聞いた話だが、このダンジョンはアクセサリーがよく見つかる女性人気のダンジョンらしい。
何ここ。
二階層に着くと、疾走鳥が恐ろしい速さでビュンビュンとかく乱して攻撃のチャンスを狙っていた。
だが、この歌は関係ない。聞いたものは誰でも死に至るんだから。
「速さとか関係ない、早く消えろ」
この歌で疾走鳥は死に至って、ぽとりと落ちてきた。
それから、次に三階層に行き、大きな敵を狙った。
「小鬼の群れ」
ミドリちゃんが紙に書いて伝えた。
「怖い、早く、消えて消えて消えて~♪」
だが、この歌で小鬼は消えずに、私に襲い掛かってきた。
「!?」
だが、小鬼の攻撃は遅い。私はよけながら歌を歌った。
「ほんとに、私死んじゃうから。まじで、早く、消えて」
この歌でだんだんとゆっくり倒れていき、小鬼の群れは全員消えた。
すると、脳内に再び声が聞こえた。
「レベルが3になりました。地獄歌の効果に『眠り』が追加されました」
「上がった」が書いてある紙を見せると、二人は耳栓を外して「帰ろう」と言った。
次の日は、追加された効果を使う特訓だった。私は「眠り」の効果をオンにした。
「三階層に行こう」耳栓を付けた二人は、また紙にその文字を書いて見せた。
三階層に着くと、かぼちゃがケタケタと笑って口から炎を吐いてきた。
「おばけかぼちゃだね」とミドリはまたも紙を私に見せた。
「おばけか、悪魔か、はっきりしろや!! 炎熱いじゃんやめろよ!!」
因みに、超可愛い甘々ボイスである。
炎をよけながら歌い続けて疑問を感じた。
おばけかぼちゃって、耳あるのかな。
ずっと歌い続けた。本当に三十分は歌ったと思う。
すると、「レベルが4になりました。地獄歌の効果に『感歌」が追加されました」と脳内で声がした。
感歌とは、耳がなかったり聞こえなかったりする敵にも地獄歌が通用するという効果らしい。だけど、耳が聞こえなくても聞こうとしていない人、つまりミドリやシズクは聞こえないままだそうだ。
神タイミング!!
これを使えば…
おばけかぼちゃは三分後ぐらいに死に至った。
「上がった」の紙を見せると二人は耳栓を外して、「帰ろう」と言った。
「ミサキ、レベル上がるの早いね。一度に上がるのはないか…」
「どういうこと? 一日に何個かは上がらないんじゃないの?」
私は疑問を口にした。
「いや、一度上がってからもう一度…みたいなことは無理なんだけど、同時に二つ、三つ上がるみたいなことはあるんだよ。」
シズクが答えてくれた。そうなんだ。
次の日、ダンジョンに行ったが何も上がらなかった。
九階層まで行っても無理で、十階層目は危険すぎたので行かなかった。
五日目も、C級ダンジョンに行っても上がれなかった。強敵が現れて、死にそうだったので退散した。
「ごめん…レベルを一気に上げすぎるとその後が上がりにくくなるんだ…」
ミドリは申し訳なさそうに呟いた。
六日目、修行に出かけようとすると持っているスマホに「王都の○○にS級の魔物が現れました。逃げてください。」というメッセージが入った。
って、ここじゃん!ミドリちゃんとシズクさんも見たらしく、「魔法使えるし向かおう」と言って、「あべこべかたつむり(とても速い乗り物)」に乗った。
そこに向かうと、S級魔物「神の犬」が暴れていた。
犬なのに手が十本ぐらいあって、周りがどす黒い黒だ。
目がいっぱいあって、そこからビームを発射してる。
「なんでここにいるの…!?」
シズクさんがとても驚いている。
って、戦わなきゃ!
私は、マイクで歌おうとした。って、これだとみんなも死んじゃうじゃん!!
すると、ミドリちゃんが頷いて何かを念じ、耳栓をばらまいた。
それをした瞬間、なぜか戦っている人たちや周りの人たちは耳栓を拾ってつけ、また戦い始めた。
「ちょっと魔法で手伝ったよ。さあ、頑張れ!」
ミドリちゃんはウィンクをして魔法の準備をした。
「私も歌わなきゃ!」
効果を死に至らせるほうに再びオンにした。
「仲間とヒーロー!!」
この歌が一番合ってるって思った。
歌い続けても、全然倒れてくれない…
それでも、歌い続けてる。
あ、今ちょっと揺らっとした。
倒れて、くれるかも…
私のほうを見ている…
…なんか…ビーム発射した?
あれ…こっちに向かってる…
もしかして、もう一度、死んじゃうのかな…
「ミサキ!!」
シズクさんが向かってきて…杖で…青い幕のようなものを張った。
すると、ビームが跳ね返される。あ、バリアか…
はっと目が覚めた。そうか、私は仲間と一緒に戦ってたんだ。
だから、私も恩返しに。
「みんなを助けたいの!!」
歌詞と気持ちが同じになった。
あれ…魔物、が…倒れて…消える…?
もしかして、私が倒したのかな…
歓声が上がっている。私のほうに戦っていた人たちが全員向かってきた。
私が倒したのか…
私は疲れて倒れた。
意識が消える直前に聞こえた声は。
「レベルが6になりました……『毒』…『爆発を…手に…」
気が付くと、ベッドの上で目覚めた。朝だった。シズクさんがその横の椅子で眠っている。
今日、全世界ライブか。七日目の朝か。
「…!ステータスオープン」
名前 ミサキ=フレウ
年齢 24
そっか、今日は誕生日か…
名前 ミサキ=フレウ
年齢 24
固有スキル 音(様々な音を出すことができる)
進化スキル 地獄歌(聞いたものを死に至らせる歌を歌える)☆レベル6
「レベル6…」
一つ、足りない。
あと五時間後ぐらいにはライブが始まっているのに。
「…事務所の人に事情を説明するか」
神さまが転生させてくれたのに。皮肉な…
最後に歌いたいと思って、森に行った。
「ずっきゅーん☆ばっきゅーん☆きみにキュン♡」も歌ったし、
「黙れこの野郎!!!」も歌った。
だけど、最後に歌ったのは
「世界最後の日のライブ」だ。
世界は終わらないけど、私にとっては終わった感じ。
「最後に歌うなら、君と一緒に歌いたかった」
最後の歌詞を歌い終えた。
あぁ。終わってしまった…
思わず、涙がこぼれる…
「レベルが7になりました。地獄歌の効果に『無効』が追加されました」
これ、夢じゃないよね…?
一瞬状況を理解できなかった。
ミドリとシズクさんが「やっといた!!」と言い、駆け寄ってくる。
「レベル、7になった…」
号泣しながら言うと、二人は「おめでとう!」「すごい!!」と言ってくれた。
これで…全世界ライブができるよ…
私は、全世界ライブで最高の歌を歌えた。
みんなが、ペンライトを振ってくれた。
直前に、死ぬこともなかった。
最後に「みんなありがとう!!最高の夢だったよ!!」と言うと、みんなも応援してくれた。
ミドリとシズクさんもいたらしい。
そのあと、ミドリもシズクさんも全世界ライブを開催して、私も見に行った。
私は、一人だけじゃない。
仲間と一緒に天下を取った。
読んで頂き有難うございましたm(_ _)m