第十三章73 【覇王杯/オーバーロード・カップ/レリア・ニア・トゥルーヴェリティチーム】21/【代用事象】22
【イビーリ】と【主任】はそれでも【新兵器】の開発を止める訳にはいかない。
止めれば【非国民】として、処罰されるからである。
【非国民】は生きる権利を奪われる。
酷い拷問の末、殺される事が解っている。
だから、誰も表立っては戦争が間違っているとは言えない。
そう言う雰囲気なのだ。
言えば命が奪われる。
だから言えない。
死んだら意味がない。
生きて、その間違った考えを正す時を待つしかない。
その時が来た時、声を上げて、
「戦争は間違っている」
「戦争を止めよう」
「平和的解決をしよう」
「不毛な争いは止めよう」
などと叫ぼう。
今はその時をじっと待つ。
生きている間にそれが来なくても次の世代にその秘めたる思いを伝えよう。
どんな理由を付けようと、戦争は間違っている。
その真実を次の世代に伝えて、いつしか・・・
それを夢見て、今日も罪を犯す。
戦争のための新兵器を開発していく。
人を殺める道具だと解っていても、滅ぼされる訳にはいかないから、相手を圧倒するための兵器を必要としているのだ。
それは他の2軍もやっているから。
だけど、それでは戦争は終わらない。
誰かが止めなければならないのにそれでは終わらないのだ。
その行為は非常に愚かだと思う。
思っていてもやめられない。
それが出来ないのが人の弱さである。
勇気が欲しい。
戦争を止めるための勇気が欲しい。
戦時下に居る愚かな人達は切に願う。
戦争を止めたい・・・
でもそれを口に出来るほど、事態はまだ好転していない。
でも、それが肯定されるときを夢見て、今日も必死で生きている。
死にたくない。
生きていたい。
今はその当たり前の事も脅かされる事態になっている。
戦争で私腹を肥やす者にはそれがどれだけ罪深いか解っていない。
だから、愚行を繰り返す。
独裁者達はそうやって生まれるのである。
結論から言おう。
それでも戦争は終わらない。
悲劇はなおも続くのだった。




