第十三章71 【覇王杯/オーバーロード・カップ/レリア・ニア・トゥルーヴェリティチーム】19/【代用事象】20
時は早送りで進む。
次は、【黒髪のレリア】がベットした【仏機の軍】を覗いてみよう。
【ミカルエ】の時代から3469年後の未来。
【仏機の軍】では、【シャクリ】と言う男性【パイロット】が居た。
彼は天性の才能を持っていたが、【撃墜】した【神機】と【魔機】の数は共に0である。
なぜならば、彼は【戦争】が嫌いであり、誰も殺したくなかったのだった。
そのため、
「ちっ、なんだ【シャクリ】。
てめぇ、また1機も落とせなかったのかよ。
訓練校ではトップの成績を収めていたのに、実戦だとてんで駄目だな、お前。
俺なんか、【魔機】3機、【神機】4機も落としたぜ。
訓練校の様な遊びとは違うって事だな」
と言う同期の【キセ】に対して、
「人を殺して、それを自慢したくない。
それだけだ・・・」
と答えた。
「何が殺したくないだ。
てめぇはびびってるだけなんだよ。
人を殺して英雄視される。
最高の環境じゃねぇか。
ムカツク敵をぶっ殺して褒められるんだぜ?
こんな良いことあるかよ」
「お前は狂ってる。
人を殺して良い事なんて無い。
戦争だから許されると言うのは間違っている。
俺はお前の様に、喜べない」
「何言ってんだ、お前よぉ~?
これは戦争なんだぜ?
やらなきゃやられるんだよ。
殺される前に殺す。
常識じゃねぇか。
だから、【臆病者】なんて言われるんだよ」
「【臆病者】で済むならいくらでも逃げるよ。
言っても解らないだろうが、お前は一部の上層部の人間の欲望に利用されているだけだ。
それが理解出来た時、お前の残りの人生は地獄になる。
【戦争】から逃げた。
俺はそれを実行する。
それだけだ」
「その考えは危険だ。
お前を殺さないと行けない。
軍の指揮に関わる」
「殺したければ殺せ。
俺は殺すより殺される方がマシだ。
お前はずっと苦しむことになるだろう」
「黙れっ」
と言って、【キセ】は【シャクリ】を射殺した。
【キセ】はその後、【悪夢】に悩まされ、自決する事になる。
同期を撃った。
その事が彼を苦しめたのだ。
彼の中にも少しだけ良心が残っていたと言う事である。
戦争の悲劇はそれでも終わらない。
更に戦争は続くのだった。




