第十三章70 【覇王杯/オーバーロード・カップ/レリア・ニア・トゥルーヴェリティチーム】18/【代用事象】19
間違った考えを正しい考えを持つ者達を否定する事によって戦争は引き起こる。
戦争が終わって、その間違いを行った事に気付いたとしてももう遅いのだ。
結果は出てしまう。
家族を殺され、友人が死亡し、恋人が亡くなり、知り合いが消えていく。
そんな事実を目の当たりにした人間達が、それを行った者を許す事はなかなか出来る事ではない。
多くの場合が許せない。
だから戦後処理として、戦犯となった者が処刑されたりもするが、それでも悲劇の結果は変わらない。
誰かを殺しても失われた者は戻らない。
それこそ、人知を超える力でも無い限り。
だから、間違っていると平和な時は解るが、戦時下においては、人は誤った行動をとり続ける。
それこそ、取り返しの付かない状態になるまで。
徹底的に・・・
【ミカルエ】もそんな負のスパイラルの中に居た。
このまま、【魔機】や【仏機】を撃墜して行ってもなんの解決にもならない。
むしろ戦火は広がるだけだ。
一部の心ない者達の欲望から始まった戦争は、復讐が復讐を呼び、屍が屍を作り出す。
惨劇が惨劇を連れてきて、悲劇が悲劇で幕を閉じる。
・・・結論から言おう。
【ミカルエ】の時代では【最終戦争】は終わらなかった。
【ミカルエ】と【ユリーカ】の間に起きた出来事も【戦争】の中のただの一部に過ぎない。
この2名がどんなロマンスを展開して、どんな最期を迎えたか?
それは戦火の中に埋もれてしまい確認することが出来ない。
戦火はむしろ広まり、拡大していく。
多くの悲劇があり、多くの者が死んだ。
もっと生きたいと思っていても時代がそれを許してくれなかった。
「何であの子が死ななきゃならなかったんだ」
「出来れば代わってあげたかった」
「夢を叶えてあげたかった」
「もう一度生まれ変わったら平和な国で暮らしたい」
「あいつは絶対、殺してやる」
「許せない」
「何なのよ、この世界は」
時代を嘆く言葉は無数に人の口から語られた。
それでも悲劇は終わらない。
権力者は次の権力者に引き継がれ、悲劇の幕は次の悲劇の幕に移るだけだった。




