第十三章61 【覇王杯/オーバーロード・カップ/レリア・ニア・トゥルーヴェリティチーム】9/声遊4
【黒髪のレリア】は、【人形】の1体を指さして、
『これが、私達の護衛対象?』
と言った。
もちろんアドリブである。
それに対して、指を指された【人形】は、【ボディーガード】の姿となった。
と同時に近くの【人形】を指さしたので、その【人形】が小さな【少女】の姿となり、最初に指さした【人形】に対して、私【達】と言っていたので、もう1体、近くの【人形】も同じく【ボディーガード】の姿となった。
つまり、この【私達の護衛対象?】と言う言葉1つで【人形】3体を自陣のメンバーとする事に成功したのだ。
【緑髪のマリア】は、
『やるじゃない・・・
なら、私の方は・・・』
と言って、残った3体の【人形】の1体を指さし、続けて
『ボス、あれが我々のターゲットですね?』
と一言を添えた。
それにより、【ボス】と【我々】を足して、3体の【人形】が【緑髪のマリア】の手持ちになった。
これは【俳句】と似ているところがある。
【俳句】は5・7・5の17音に情景描写をしなくてはならないため、言葉選びが重要となる。
同じように、この【声遊】での言葉遊びも【少ない言葉】でどれだけ多くの表現が出来るか?が求められている。
つまり、指を指した【人形】以外にも複数の【人形】を巻き込んで情景描写をする事が求められる非常に知的な遊びなのだ。
そう言う意味では、【護衛対象】と【ボディーガード】2名を引き入れた、【黒髪のレリア】と【ヒットマン】2名と【ボス】を引き入れた【緑髪のマリア】の言葉のチョイスはベストと言っても良いだろう。
【黒髪のレリア】が【護衛対象】を言葉に入れたことで、これが【ボディーガード】と【ヒットマン】の攻防を描いた世界観だと言うのは感じ取れるのも上手いと言って良いだろう。
ただし、【ボディーガード】を選択した事で、言葉の攻防戦が、【守り側】になったのは少しいただけない。
先手必勝として、攻めを選択したかったら、【ヒットマン】の方を選択するべきだった。
遊びに使うのが6体だったので、上手く表現すれば、5対1の図式で筋書きを組み立てる事も可能だったはずである。
あくまでも3対3にこだわったため、そう言ったチョイスになったのだろう。
その後は、
『【ヒットマンA】はロボットでレーザー光線を放てる』
『【ボディガードA】は特定の条件下で敵の攻撃を無効化出来る』
『【ヒットマンB】は忍者の末裔で火遁の術を使った』
『【ボディーガードB】は、空気を遮断して火を防いだ』
『【ヒットマンA】は、変形して巨大化した』
『【ボディガードA】は、異能を使って、巨大化を食い止めた』
『【ヒットマンB】は、隠れ蓑で姿を消した』
『【ボディガードB】は不思議なキャンディを食べて奇跡を起こした』
などなど、今までの出来事の邪魔をしない範囲で、余り無茶な言葉を使わないと言うルールの下に攻防戦が行われ、最終的な決着は【ターゲットの少女】か【ボス】が殺されるまで続いた。




