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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第2章 異世界生活

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92. ナダル鉱山②

 ランの魔法デビューは、水魔法のウォーターアロー(水の矢)だった。


「コウ様!」「コウ!」

 2人共俺を見るが、俺ではない!

 そもそもウォーターアロの魔法は中級クラスの魔法で、俺の水魔法はまだ初級だ!

「いや~俺ではなく・・・」

 俺の反応に気が付き、両手で顔をふさぎ込んでるランを見た。

「もしかして~今の魔法ランちゃんなの?」

 レイナの問い掛けに、必死に謝るラン!

「すごい!すごいよランちゃん!!」

 ランに駆け寄り両手を握り、自分の様に喜ぶココ!

「初めての魔法でウォーターアローを放てるなんて~ランちゃんは天才かもしれないね!」

 いやいや・・・初めての魔法~それもレベル1で中級魔法を放つ時点でおかしいだろう!

「ホント凄いですわ!ウォーターアローの魔法を目の前で見たのは初めてですわ!」

 レイナも褒めているが、この2人~何の疑問も持たないようだ!

「ランちゃん大丈夫?足元がふらふらしているわ!初めての魔法で体に負担がかかったのではないかしら?」

 ランの様子を見て、タカが心配そうに呟く。

「ランが落ち着くまで、一旦休憩しよう!レイナ様とココはまだ魔物がいないか確認してくれますか。」

 レイナが前方、ココがクロとシロを連れて左右の茂みを確認しにこの場を離れる。

「ラン~大丈夫か?いきなり中級魔法を放ったので、身体に負担が掛かった様だな!」

「ごめんなさい。」

 ランが今にも泣きそうな表情で謝る。

「ご主人様大変申し訳ありません!ランはまだ自分で制御出来なかったようです。」

 シノも一緒に謝る。

「コウ~怒らないでね、ランちゃんは魔法を使うには初めてだから。」

 タカもランを庇うように話すが、別に俺は怒ってはいない。

「俺は怒ってはいないよ~むしろ中級魔法を使えるランは凄いと思っている。」

「でもコウの表情は怒っているように見えるよ!」

「それは誤解だ!ランが中級魔法のウォーターアロが使えるのがわかっただけでも凄い収穫だ!」

「それならランちゃんを褒めてあげてもいいのじゃないの~」

「タカの言う通りだな~ここは褒めるところだな。」

 俺はランの頭をなでて褒めた。

 ランは嬉しそうな表情を見せたが、すぐにシノが愚見を述べる。

「ご主人様の指示を守れず申し訳ありません。いきなりの中級魔法はまだ制御が出来ない未熟さ故に、ランにはきつく言っておきます。ご主人様の指示があるまでは中級魔法は禁止とし、回数制限付きの初級魔法のみを使うように指導致します。」

「シノがわかってくれているなら問題はないよ~ランを責めない様に!」

 シノとランが頭を下げながら、後方に下がる。

「そういう事なのね~でも威力のある攻撃魔法があるのは助かるじゃないの?」

「レイナとココは問題ないが、ランの存在が他の冒険者にバレると問題になる~人目に付かない様にしないと、それに君も同じだよ!」

「えっ!私もランちゃんと同じなの?」

「聖魔法を使える時点で異常だから!人目があるところでは僧侶の魔法だけにしないと聖女だとバレてしまうよ!」

「私は聖魔法と僧侶の魔法の違いが判らないわ!」

「聖女様の魔法はランとは違い、基本レベルが上がらなければ使用できませんが、魔力量が他の冒険者とはけた違いに多くレベルの低い魔法は魔力切れを起こさない為、長時間使用されると疑問を持たれるかも知れませんがあまり気にされる事は無いと思います。」

「ランは神獣だから、人間とはレベルが比べられない!人族である彼女が覚えた魔法ならレベル相応なので何の問題はないが、魔力量の設定が必要という事だな。」 

「ご主人様のおっしゃる通りです。聖女様の力が発揮されるのは、大きな魔力を必要とされる高レベルの魔法と付与魔法や物作りです。低レベルの魔法使用では疑似操作が必要です。」

 召喚者である俺と彼女の魔力量は超膨大ため魔力切れを起こす事は無い~それ故に疑問に持たれる可能性があるから注意が必要だな!

「シノ~疑問に思う事なんだが、教会には聖女がいるじゃないか?彼女達は物作りをしているのか?」

「いえ~魔法を使った物作りは薬師と錬金術師、それと聖女様だけです。故に教会にいる彼女達は物作りは出来ません!正確に言えば彼女達は聖女ではなく高ランクの僧侶か司祭職の方々です。」

「エッ~聖女ではない!・・・でも皆が聖女だと言うし、凄い治療もこなしている!」

「高ランクであれば治癒魔法は当たり前です。聖女だと触れ込めば特別扱いにされ、高額の治療費が貰えるから教会がそう呼んでいるだけで、彼女達は付与魔法もポーションや魔道具を作る事は出来ません。現時点でこの世界に居るのはタカ様が唯一の聖女様です。」

 シノの説明に驚いたが、俺も彼女もこの世界の事情を少し理解した。


 4人だけで話をしていると、レイナが戻って来た。

「コウ様~この先には魔物の存在はありませんわ!」

「レイナ様有難うございます。あれ~ココはどうされました?」

「ココさんはクロとシロを伴って鉱山の入り口まで先に行かれましたわ!」

「そうですか~ランも落ち着きましたので、我々も行きましょか!」

 レイナを先頭に鉱山の入り口を目指して出発した。

 俺は魔力の調整のフリをする為ロキを自分の影に戻し、名目上魔力の温存の形で召喚を中止した事にしてレイナのすぐ後に続いた。

 レイナは真後ろに俺がいるのが気になるのか、何回もチラ見するので速度がとても遅かった。


「コウ~ここだよ!」

 鉱山の入り口と思われる場所でココが手を振っている。

「やっと着いたわ~結構歩いたわね!」

 タカは息を切らしながら喋ったが、体力はあるように見受けられた。

 当然シノとランは平気な顔をしている。

「鉱山の様子は?」

 俺は息を整えながら平然を装いながらココに尋ねる。

「入口の回りには魔物はいなかったし、ちょっと中を覗いたけど鉱山の奥は薄暗くて静かだよ!」

「明かりは点いていないのはまずいな!」

 猫人族のココや従魔は薄暗くても見えるが、人族には真っ暗で危険だ!

「鉱山の洞窟内はランタンが設置されているはずですが?」

 レイナが首を傾げている。

「多分魔物との戦闘で壊れた可能性があるな~」

「僧侶職であるタカさんはライトの魔法は使えますか?」

 貴族であり教会で過ごしていたレイナの知識はいつもながら感心させられる。

「レイナさん~生活魔法のライトなら使えますが~皆さんも生活魔法は使えるのでは?」

 レイナの質問に彼女は戸惑った。

「生活魔法は自分自身を中心に使用出来る範囲が限られます。広範囲にそれも他の人達にも恩恵を与えるには専門職の魔法しかありません。物理的に暗闇を照らすのであれば松明やランタンですが、光魔法のライトは術者を中心に直線的に広範囲を照らす事が出来るそうです。」

「それは非常に助かる魔法だ!早速試してみよう!」

 俺達は鉱山の入り口から外の光が届かなくなる手前で立ち止まった。

「ここから先は暗くて見えませんわ!」

「タカ~ライトの魔法を使って見て!」

 彼女は言われた通り魔法を唱えた。

「凄い~洞窟の先まで見えるよ!」「周りが外にいる時と同じ明るさですわ!」

 ココとレイナが喜んでいる。

「これなら道に迷う事もなく、安心して進めるな!」

 彼女はシノの耳元でコッソリと尋ねた。

「この魔法は切れる事は無いのかしら?」

「洞窟内で一度唱えると、外に出ない限り持続可能で魔力も減りません。」

 シノの説明を聞いて緊張していた表情は消えていた。

「ここから先は魔物がいるはずだから、慎重に進もう!」

 俺の号令で、ナダル鉱山の奥に進み始めた。


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