89. 情報収集
ダンセット遺跡のギルド出張所に新たに出来た雑貨屋で、レイナの行動に困ってしまい逃げるように店の外に飛び出してしまった。
レイナの行動にはビックリしたが、さっきの下着が目に焼き付いており暫くは消えないだろう!
「コウ様!お待ちになって下さい~」
暫くするとレイナが店から追いかけて来た。
「レイナ様!早く皆と合流して、ナダル鉱山にいる魔物討伐の打ち合わせをしましょう!」
レイナはもう少し2人きりでいたかったが、彼の言葉に従った。
「ココさんは隣の食堂に居ると思いますわ~タカさん達は広場の中央にある休憩所で休んでいると言われてましたわ!」
レイナの話しを聞いて、隣の食堂に向かった。
新たに出来た食堂の店内は3方向が吹き抜けになっており、正面のカウンターで注文して料理を受け取るセルフサービス方式を採用している。
店内には自由に出入りができ、広場で宿泊している冒険者達で賑わっていた。
足を踏み入れると厨房の方から食欲をそそる好い匂いがしてくる。
匂いに釣られて歩くと、見た事のある動物が大人しく座って居た。
「クロにシロ!」
俺の言葉に振り向き近寄って来た。
「よしよし~お前達の主は何処にいったんだ?」
俺の足にまとわりつくクロとシロの頭を撫でながら、ココの姿を探した。
「コウ様!ココさんがいましたわ!」
中央のテーブルで、他の冒険者と飲み食いをしているココの姿をレイナが見つけた。
「ココ~美味しく食べている所すまないが、依頼討伐に出かける準備をするぞ!」
俺の言葉に反応して、ココと同じテーブルで2人の男がエールを片手に飲み食いしながら声を掛けて来た。
「お前がこのお嬢さんの彼氏か?」
「いや彼氏ではないが同じパーティーのリーダーだ!」
「このお嬢さんがよ~俺達にエールをおごるからナダル鉱山の事を教えてくれと言ってよ~事情を聞けば彼氏の役に立ちたいと言うんじゃないか!つい嬉しくなってよ~けなげなお嬢さんに俺達が知っている情報を話していたところだ!」
「こんな可愛らしい猫人の娘がいるのに、隣にはもう一人美人騎士を連れてどんだけ女を垂らし込んでいるんだ!お前さんはそんなに凄いのか?・・・俺よりは・・・男前だな!」
2人共少し酔いが回っている様だが、根は優しいんだろう!
「色々為になる情報を教えてくれてありがとう!彼氏が迎えに来たので帰ります!」
ココの言葉に、笑顔で見送る2人の冒険者をしり目にその場を離れた。
「ココさん!いつコウ様が彼氏になったの!」
レイナの声が響く!
「言葉のあやですよ~レイナさん怖いです~」
ココは自分の分を全て食べあげてからその場を離れており、レイナの言葉を軽く受け流していた。
「コウの役に立つ情報を仕入れたからね!」
ココなりに情報収集をしていたので、怒るわけにはいかない。
「タカ達は見なかったか?」
「タカさん達は、広場にテントを張って活動している冒険者さんから情報を集めると言ってたよ!」
以前より冒険者の数が増えたのだろう~テントがズラリと並んでいる。
中央の広場には冒険者がチラホラいるが、一か所だけ人だまりが出来ている。
それも何故か女性の冒険者ばかりで、その中心にタカの姿があった。
俺が近くづくと女性冒険者達は一斉にその場を離れた。
「俺は嫌われているのか?」
明らかに俺の顔を見て逃げるようにいなくなった。
何人かの女性はタカの手を握りお礼を言ってすぐにその場から消えていた。
「何をしていたんですか?」
「彼女達の悩み事を聞いていただけですよ。」
「何でそんな事を始めたの?」
「そんなつもりはなかったのよ~冒険者の活動を調べるつもりで尋ねたいたら、女性特有の悩み事が多く反対に質問されたので、私なりにアドバイスをしたらあっとゆう間に広まってしまったの!」
「女性特有の悩み事とは?」
「私達の世界では当たり前の事でコウは知っていると思うけど、男女の体の違いや女性特有の症状の対処方法、それに美容やお洒落についての相談を聞いていただけだよ!」
確かに俺達は知っていても、こちらの人達はまだ知らない事が沢山ある。
人体構造や病気の種類、食べ物から衛生用品や美容用品といくらでもある。
知識だけでもチート能力なのに、規格外の魔力も備わっている。
だから目を付けられる可能性が高く危険な事に巻き込まれる可能性がある。
「ここは人目に付きます。取り敢えずギルドに戻り情報を共有しましょう!」
皆で一旦ギルドに戻り、部屋の端にあるテーブルに腰を落ち着かせた。
シノとランが果汁水をテーブルに配り終えると、全員がゆっくりと静かに飲み物を口に入れた。
「美味しい~」「落ち着くね~」「ふっ~」
自然と声が漏れた。
飲み物を口に入れるといつになく落ち着く。
この世界では飲み物は貴重だ~安全に飲める水は無いと言ってよいだろう!
生活魔法が使える人は魔法で水は出せるが、なまぬるく美味しいとは言えないし、井戸水は病原菌がありそのまま飲むと下痢や腹痛を起こす為もっぱら生活用水にしか使用できない。
貴族や上流階級の人達は高級なお酒や紅茶を好んで飲むが、一般庶民の飲み物と言えばエールと果汁水が定番だ。
「今回の依頼の件で皆で情報を共有しておこう!」
「ココが一番に話すね!」
俺の言葉にココが元気よく反応した。
「鉱山で魔物の討伐をした冒険者から話を聞いたよ!」
「ココさん凄いですわ!・・ただお腹が空いて食べていただけではなかったのですね!」
レイナは自分の不純な行動が恥ずかしくなり、改めてココを見直していた。
「お腹が空いたのは嘘ではないけど(声は小さかった)・・・鉱山の中にスライムが大量に発生したそうだよ!ココは見た事はないけど冒険者の話しではドロドロの液状で目や口はなく、剣で切っても分裂するだけで槍も弓矢も効かなくて被害が多く出てるらしいよ!」
「私も魔物は見た事がありませんけど書物によると、スライムの中に小さな核があり其の核を壊せば倒せると記述がありましたが、小さな核を壊すには高ランクの剣士でも非常に難しいとの事で、私の剣が通用するかはわかりません。」
レイナの説明を聞いて、ゲームに出てくるスライムとは大きく違うと感じた。
「それにね~スライムは酸の液を吹きかけてくると言ってたよ!」
ココの言葉にタカが興味を示した。
「酸の液とは興味深いですね!・・・物を溶かす酸性の液体であれば硫酸の可能性が高い可能性があるかも!硫酸は皮膚に触れると重度の火傷を負いますのでかなり危険な攻撃ですね。」
「酸の攻撃を私の盾で防ぐ事は可能かしら?」
レイナの疑問に俺が答える。
「硫酸の濃度によるけど、レイナの盾は鉄製だろう~鉄製品や革製品の防具も同じで溶けると考えた方がいいだろう!」
俺の言葉にレイナとココの表情は凍り付き、暫らく無言になった。
「硫酸に溶けない金属と言えば金か白金だけど、高額な盾になるわね!」
「濃度が低ければ銅でも少しは持つが、高濃度であれば溶けてしまうだろうし、当然木製や革製品は発熱して燃えるかも知れないな!」
俺とタカの会話に唖然としているレイナとココ。
学校の授業で習っただけのうろ覚えの知識だが、俺と彼女の知識はこの世界の住人には驚く事ばかりだろう!




