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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第2章 異世界生活

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86. 指名依頼

 いつものように【迷える子羊亭】の食堂に【黄金の大地】のメンバーが揃って賑やかな食事が始まる。

 

 今日の出来事や情報を皆で共有しながら楽しい食事がある程度終わり、一息付くためのお茶を飲みながらレイナからの報告を皆に話した。

「ギルドからの指名依頼~なぜ私達のパーティーに指名依頼がくるの?」

 一番に反応したのはココだった。

「依頼内容はセシール村のギルドで聞かないと不明ですが、Eランクのパーティーでは対処できないトラブルが発生した可能性がありますわ!」

「私達もまだEランクだよ!」

「私達の実力はすでにEランク以上ですわ!」

「他の冒険者で解決できないのを私達に依頼するのは怪しいよ!」 

「私達の実力が認められているから当然の事ですわ!」

 レイナとココのいいあいに口を挟む。

「2人共落ち着いて~俺の話しを聞いてほしい!」

 俺が話かけると2人は直ぐに大人しくなり俺を見つめる。

 そのやり取りを見てクスクスと笑うタカに表情を崩さないシノ、ポカーンとしているランの姿がある。


「今回の指名依頼はテリオス商会からギルドを仲介してのパーティーへの依頼だと思う。」

「テリオス商会の依頼であれば、直接コウに言えばいいんじゃないの?」

 レイナとココがまだ俺を見つめたままなので、タカが代わりに尋ねる。

「ギルドからの依頼で達成するとパーティーの実績になるというソフィアの話だが、彼女の意図がわからないから戸惑いがある。」

「ギルドから報酬とポイントが入るのなら、一石二鳥で何か問題があるの?」

 タカがいう事はごもっともだ!

「確かにパーティーのレベルが上がるのは嬉しいが、ソフィアの狙いはパーティーのレベルを早く上げさせて何かをさせようとしている気がするんだ!」

「何かとは?」

「それは分からない!・・・レベルが上がったらその時にわかるかも知れないけど~」

 これ以上詮索しても今の時点では見当もつかない。

 俺とタカの会話を黙って聞いていたレイナがボソッと呟く。

「いやな依頼は断ればいいことですわ!」

「レイナさんの言う通りだよ!コウがやりたい仕事だけ受ければいいだけだよ!」

 ココもレイナに同調する。

「レイナさんもココさんも、コウが判断した事は絶対なんですね!」

「私達のリーダーはコウ様です~コウ様が決めた事には従いますわ!」

「私もコウに従うよ!」

 レイナとココの意見は一致している。

 タカはそんな2人を微笑ましく思え、優しい口調で答える。

「パーティーリーダーの彼を信じるのは分るけど、彼も人間よ、間違いはすると思うの~彼の判断がおかしいと感じたら、ただ従うだけでなく意見をいう事も大事だと思うわ!」

「今までコウ様は間違った判断はしていませんわ!」

「コウの決断はいつも正しいよ!」

 2人の意見は同じく一致している。

 2人の真剣な言葉に彼女は微笑み、暫らく考えてから話す。

「今までの彼の判断は間違ってなかったと思うわ~でもそれは貴方達2の意見やその他周りの人達からの情報が有ってこそ正しい判断が出来たと思うのよネ。だから彼が正しい判断が出来るように些細な事でも疑問を持つ事は大事ですよ~心の中にしまい込まないで相手に話したうえで、自分が納得して行動するのであれば問題ないわ!」

「彼女の言う通りだ。常に正しい判断が出来ていたとは思っていない!俺の判断ミスを皆がカバーしてくれた結果です。情報にはお金の何倍もの価値があります~特にレイナ様の情報には随分と助けられました。これからも皆で頑張りましょう!」

 俺の言葉に、レイナが顔を真っ赤にして照れている。

「はい!コウ様に一生ついて行きますわ!」

「レイナさん抜け駆けはダメだよ~ココもコウから離れないからね!」

 レイナとココがまた同じ事で張りあい出した。

「私もお二人に参加してもいいですか?」

 タカの真顔の言葉に、レイナとココに俺も暫らく彼女を見て固まったいた。

 彼女は俺の方に近づき、手をに握ってほほ笑んだ。

「彼女達同様~私の事もよろしくね!」

「はっはっはっ~またまたご冗談を~」

「私ではご不満かしら?」 

 彼女の笑顔に目が笑っていない! 

「そんな事ありません!大変ありがたいです~こちらこそよろしくお願いします!」

 レイナとココの視線を強く感じながら、笑ってごまかした。


 そんなやり取りがあって、彼女達3人の仲が悪くなるのではと危惧したが、俺の取り越し苦労だった。

 言葉の遊びだったのか、3人はその後も仲良く話をしておりもてあそばれた感覚に陥っていた。


「明日セシール村へ出発しましょう!」

 俺は気を取り直して、指名依頼を受ける為セシール村へ向かう話をした。

「そうですね~今受けているギルドの依頼を今日中に終わらせてきます。」

 レイナとココが早速ギルドへ向かった。

「私達も工房の片付けに行きましょう!」

「そうですね~ソフィアさんとマーロンさんにも説明しておきたいですね。」

 この先セシール村の工房でポーションの作成が出来るよう、少し材料を分けてもらうつもりでいた。


 この後テリオス商会に出向きソフィアとマーロンに事情を説明すると、快く承諾してもらいポーションの材料も思っていたより分けてもらった。

「ポーションが多く作れたら、こちらの商会に送っておくれ!代金はギルドより上乗せするつもりじゃ!」

 マーロンがニコニコしながら手配の指示を出し、その間に工房内の仕事を綺麗に片づけてテリオス商会を後にした。

 

 今日の仕事が終わり、「迷える子羊亭」でいつものように夕食を食べ、暫くは入れない温泉に浸かり早めの就寝とした。

 レイナとココがギルドよりセシール村への護衛依頼を受けてきており、移動手段の確保とギルドポイントとの一石二鳥と言いながら張り切っていた。

 

 翌朝早めに準備を済ませ中央広場の乗り合い場所に集合した俺達は、2台の馬車に乗り込み護衛の任務をこなしながらセシール村まで5日間の移動を終えた。

 道中、何回か魔物と遭遇したが、乗客が不安になるような事態は全く皆無で高評価をもらった。


 乗合馬車の乗客が全員降り解散すると依頼完了となり、ギルドに報告に向かう事になる。

 セシール村からグラッサの町へ出かけてまだそんなに日にちは経っていないが、ギルドの建物を見るととても懐かしく感じられた。

 ギルドの中に入ると、以前より人が多く活気があふれているのに少々驚いていたが、聞きなれた女性の声が耳に入ってきた。

「コウさん~お帰り!」

 カウンタ越しにエリスが声を掛けて来た。

「エリスさん~只今戻りました。これは護衛依頼の完了証明書です。」

「お疲れ様です~長い間留守にしていて寂しかったですよ!」

 エリスは証明書を確認すると、報酬金をカウンターに並べる。

「これが報酬のお金と、貴方達のギルドカードを更新しますのでお預かりします。」

 エリスに全員のギルドカードを預け報酬金を受け取ると、エリスがニコニコしながら俺を見つめる。

「コウさん~パーティーメンバーにまた綺麗な女性がいますね~」

「えっ~と・・・彼女達は俺と同じ村の出身で・・深い事情がありまして・・一緒に行動する事で・・」

 エリスからの急な問いに慌ててしまい、説明がしどろもどろになってしまった。

 そんな姿に気付いたタカが、ランと手を繋いだまま俺の隣に立ちエリスに説明をする。

「妻のタカと申します。夫が大変お世話になっております。この子は娘のランです。今後もどうぞよろしくお願いいたします。」

 突然の言葉にエリスだけでなく俺も、そしてレイナやココも驚いている。

 何を考えての発言なのか?彼女の言葉に俺の心臓は破裂しそうになっていた。







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