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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第1章 異世界召喚

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84. 工房見学

 テリオス商会でソフィアから仕事内容の説明を聞いた後、工房の見学をさせてもらった。


 工房の作業場へ案内されると、そこには年を取った男性と若い2人の女性が作業を行っていた。

「この工房の半分を占める場所がここで、薬品作りに一番重要な場所になります。特にポーション製作に必要な作業で、錬金術師と薬師達が聖水と薬草を混ぜて魔力を注ぎ込む場所の為、魔力が外に漏れないよう結界が張られています。」

 先程から感じていたのは結界が張られているせいだとだ分かった。特にこの作業場は強い結界が張られている様だ。それ程秘密にしなければならないのは理解できる。それに見た事が無い道具が沢山あるが、作業自体はシノから教わって自分なりに作成した方法と同じように見受けられた。

 ただ隣で見ているタカは、興味があるのか真剣な表情で見入っていた。

 ソフィアの説明を一通り聞くと、次の作業場の部屋に移動した。

 先ほどの作業場とは趣きが違い、落ち着きがある部屋に案内されたが人の姿はなかった。

「この部屋は魔道具を作る場所で、依頼がある時に使用します。」

 隣にも同じ部屋が何部屋かあり、個人個人で必要に応じて使用するらしい。

 その他の場所として、薬草類の材料を保管する倉庫と完成品を保管する倉庫があり、どちらの部屋も劣化防止の付与魔法が掛けれらている。最後はガラス瓶を作る工房を見せてもらったが、部屋の中が異常に熱く、覗くだけですぐに退出した。

「工房の全容は以上です。」

 案内が終わると、また最初の客間の部屋に戻ってソファーに座わって待っているように言われ、ソフィアは部屋から出て行った。


 暫らく待っている間、タカと2人で各部屋の感想を話し合った。

 当然アイテムバックにいる、シノとラン達とも共有済みだ。


 席を外していたソフィアが老婆のマーロンと一緒に現れた。

 マーロンはゆっくりソファーに座ると目を閉じたままじっとしていたが、目を開けると話しかけて来た。

「すまないね~年を取ると話すのも一苦労なんじゃ~」

 そういう割には目つきが鋭いし、たぶん魔力チェックをしていたんじゃないかと思わせる。

「工房の見学はどうだったかい!」

「素晴らしい工房です。設備も充実していますし、外部からの保護対策も完璧でした。」

「満足してもらえたようだね~どうだいここで働く気はないかね?」

 マーロンの誘いに少し考えてから、返事をした。

「お誘いは大変有難く思います。ただ我々にはやらねばならない使命がありまして、ここにとどまる訳には行かない事情があります。」

「お前さんを見ていると、昔の自分を思い出すのう~」

 マーロンは仲間と一緒に魔王討伐の使命を受けて、奮闘していた事を思い出していた。

「命を懸けてやり遂げる使命があるのなら、無理強いはしない。」

 マーロンはあっさりと受け入れてくれたが、隣に立っているソフィアが声を掛けてきた。

「貴方方に使命があるのは理解しましたが、その使命を果たす為にもここの仕事をこなす事で近づく事は出来ないでしょうか?」

「具体的には?」

 ソフィアは俺達に何を求めているのか、ここでは分からなかった。

「何事も使命を果たすには、それ相応の実力と念入りな準備が必要です。大変失礼な言い方ですが、私が見るにはお2人ともまだまだ実力不足ではないでしょうか?」

「おっしゃる通りです。これから仲間とレベルを上げて目標に近づけるつもりです。」

「ここに滞在している間だけでも、仲間の皆さんと一緒に商会の依頼を受けていけば自然に目標に近づくのではないでしょうか?」

「おっしゃる意味は解りますが、それでは好きな時に好きな依頼だけ受けるわがままな従業員になりますよ!」

「商会としては何ら問題はありません!この工房も貴方方が好きな時に自由に使ってもらって構いません。」

「それでは迷惑が掛かります!」

 ソフィアの言葉に戸惑いを隠せずに2人で顔を見合わせていると、マーロンが声を掛けてきた。

「気にするでない~目的達成の為にここを利用して近道になるなら、利用すべきじゃ!」

「マーロン様もあ~おしゃっておられます!グラッサの町で活動する時は是非利用して下さい。」

「そこまで待遇を良くしてくれる理由は何ですか?」

 あまりにも我々に都合が良すぎるので、反対に何か裏があるのではと疑ってしまう。

「ポーションや魔道具の価値は知っておるかい?」

 マーロンが静かに話す。

「はい~ポーション類は傷を負った人々を助ける薬と、魔道具は人々の役に立つ道具だと認識しています。」

「昔はポーションも魔道具も作れる錬金術師が多く存在し、欠損部位を再生させるエリクサーやどんな病気も治せる万能薬を造れる上級者達が居たんだが、今は殆どいないのが現状じゃ~」

 マーロンの目が遠くを見つめているとソフィアが話しの続きを話す。

「上級職の錬金術師は現在存在致しませんので、エリクサーや万能薬はこの世界には存在しません。中級職の錬金術師もマーロン様の他に数える人数しか存在しておりません。」

「何故、錬金術師が廃れてしまったのですか?」

「魔族との戦争で、魔族側が脅威となる錬金術師を皆殺しにしたんじゃ!私の夫も魔族に殺され息子も行方知れずのままでのう~」

「マーロン様の夫も息子さんも錬金術師だったのですか?」

「そうじゃ~夫は上級錬金術師で、息子は中級だったがいずれ上級錬金術師になれる実力があった為に標的にされてしまった。現在の中級錬金術師達はその子孫で、わし見たいに歳を取って寿命が残り僅かな者達ばかりじゃ~」

「生き残った子孫の子供達がいるのに、何故上級錬金術師が居なくなったのですか?」

「上級職の遺伝は第一子だけに引き継がれていく。先の戦争で第一子らは全て殺されてしまい、今いる子孫は第一子以外の孫達だ。」

「第一子とそれ以外の遺伝の違いは何なんですか?」

「魔力量の違いじゃな~上級職が作れる物は特殊な材料の他に膨大な魔力が無いと作れない物ばかりじゃ!何十年か努力をすれば中級職まではなれるかも知れないが、以て生まれた魔力が少ないと上級職にはなれないのじゃ。」

 一子相伝ではないが、魔力の器は第一子の子供だけに引き継がれるという事だな。

「先ほど工房にいた錬金術師達は?」

「彼はその子孫で、初級錬金術師です。そして2人の女性は彼の娘で薬師です。」

 ソフィアが説明してくれた。

「工房の従業員は初級錬金術師が2人に薬師が5人在籍しています。中級錬金術師はマーロン様お一人だけです。」

「其方は薬師なので薬作りは問題なくこなせると思うが、彼女は僧侶にしては魔力の器が大きいがまだ経験不足じゃ~しかし実践を摘めば僧侶の領域を超えるかもしれないように見受けられるのう~」

 マーロンの言葉に驚いていると、ソフィアからもそれらしき言葉が出て来た。

「コウ殿の周りには、私達が求めている人材が集まって来られるようですわ~特に彼女には期待を持ってしまいます。」

「生産系の人材は成り手が少ないからの~それに伸びしろのある人材は手元に置いておきたいのが本音じゃ~悪く思わないでおくれ~」

 2人から体の奥を探られている様な感じがしたのは気のせいなのか、アイテムバックにいるシノも緊張しているのが手に取るように伝わってくる。

 魔力量は遺伝だという事は、我々の魔力量は特別になる。バレてる気もしたがここは話題を変えてこの場をやり過ごすとしよう。

「薬作りは我々【黄金の大地】パーティーには欠かせない技術なので、お言葉に甘えてここで雇ってもらえればこちらも助かります。」

「エェ~こちらこそよろしくお願いしますわ。先程の魔道具を作成する個室を専用部屋に致しますので、何時でも御自由に使用して下さい。」

 

 こうしてテリオス商会で仕事を請け負う事になった俺と彼女は、若干のリスクはあるが元の世界へ帰れるヒントを見つけた気がしていた。


■ここまで読んで下さって有難うございます。

 記念すべく第1話を2023年11月25日に投稿して以来、暇を見つけてコツコツと書き続けました。

 PV数は非常に少ないですが、1人でも読んで下さる方がいればこれからも書き続けていきます。

 第1章はここで一旦終了です。

 次回からは第2章を書き始めます。

 今後の内容に興味がある方、また面白いと思ったらフォローとご評価をお願いします。

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