77. 食事会
【迷える子羊亭】の宿に戻って来て、久々に賑やかな夕食のひと時を過ごした。
今日はグレン達に加えて、アデル達のパーティーメンバーであるニックとモーリスも一緒だ。
アデルの計らいだろう~今日の夕食はいつもより豪勢で、料理の数が物凄く多い!
「コウ殿には助けられたお礼が言いたかったんだ!」
アデル達3人は俺に感謝を述べる。
「気にしないで下さい~冒険者仲間であれば当然の事をしたまでですよ!それにグレンさん達の加勢があったからで、俺1人では助けられなかったですよ!」
「そうだな~グレン・・・有難うな!」
「命があった事に感謝して、今日は飲もう!」
アデル達3人は皆にお礼を言いながら、食事や飲み物を皆に次々と振舞う。
「アッ~私はその場に居ませんでしたので~申し訳ないです・・・」
アデルの勧めに戸惑っていた彼女!
「いやいや!コウ殿の彼女であれば、感謝の気持ちは同じだ!」
「そういう事は気にしないでいいんじゃないですか?」
戸惑っている彼女に声を掛け、ちゃかりと自分もおよばれしているガルテノ。
すぐにミエールから腕を引っ張られると、ユナとリナが口を挟む。
「タカ姉ちゃんはコウ兄ちゃんより凄いから、手を出したら痛い目に合うわよ~」
すぐにグレンが2人を手元に引き寄せる。
その光景を彼女も笑いながら見ている。
皆に受け入れられて嬉しそうな笑顔を見せる彼女をみて安心していた。
「コウ殿の彼女であればさぞ高レベルでしょうな!」
「彼女は今日冒険者登録をしたばかりの、レベル1の【僧侶】だ!・・・ただし彼女はコウ殿と同郷なので実力は計り知れない。」
俺の代わりにグレンが説明をした。
「ただ・・・彼らの実力が知れ渡ると、問題事になるかも知れない。俺は仲間として守ってやりたい!だから詮索はしないでほしいんだ・・・アデル、俺が言いたい事はわかるだろう!」
「グレンさん・・・」
「スマンスマン~グレン!悪気はないんだ!余りにも綺麗な彼女なので、つい意地悪を言っただけだ!」
アデルはグレンの肩に腕を回して謝る。
「コウ殿もスマン!貴方達の事は言いふらすつもりはないから、安心してくれ!それより何か困ったことがあれば頼ってくれ~頭数ぐらいにはなるはずだ。」
「アデルさん!有難うございます~頼りにしています。」
アデル達に頭を下げお礼を言った。
お酒が少し回ってきているのか、上機嫌で料理を勧める。
楽しい雰囲気はとても気持ちが良い。
この場にいるのは紛れもない冒険者仲間だ!それぞれお喋りも進んでいる。
「今回は大騒動になりそうな予感がするんだ・・・それだけで済めばいいんだが~当然我々のレベルでは参加は難しいが冒険者として少しでも役に立ちたい!」
グレンが何故か深刻な表情で熱く語る。
「そうだ!魔物がこの町を襲う事を防がなければならない!この【迷える子羊亭】は我々の家だ!」
グレンと肩を組んでいるアデルも熱く語る。
「嬉しい事を言ってくれるね~これはおばさんからのサービスだよ!」
女将さんが料理をテーブルの上に運んで笑顔で言う。
「貴方達に一言言っておくよ!無茶はしないでおくれ~家より命が一番大事だからね!」
女将さんがグレンとアデルの手を握り、わが子を見守る様な目を向けている。
「おばさん~グレン兄ちゃんは私達がいるから大丈夫だよ!心配しないで~」
女将の横に寄ってきたリナとルナを、優しく頭をなでる。
「おかみさん~我々のレベルでは参加できませんよ。」
「そうだな~だがせめて後方支援でもいいから討伐の役に立てれば後々ギルデでの評価に繋がるからな!」
アデル達の言葉は冒険者として生計を立てるのであれば当然だろう!
「コウ殿はどうされる?」
アデルの問いに少し間を置いて答えた。
「我々のパーティーも冒険者として後方支援でお役に立ちたいと考えています。それに俺は【薬師】です。役に立つ薬を作りたいです。」
「コウ殿が作るポーションは、さど効果が良いだろう!」
アデルの言葉にグレンも頷く。
「タカさんはポーション作りはしないの?」
ミエールが飲み物のお代わりを彼女に注ぎながら尋ねる。
「作った事は無いけど、物作りには興味はあります~彼が作るのならお手伝いはしたいわ!」
「2人で作ると、とんでもない薬が出来たりして~!」
ミエールの嬉しそうな話に、リナとユナも加わる。
「上級ポーションは勿論、万能薬やエリクサーも出来たりして!それとは別に綺麗になる薬や惚れ薬も出来るかもしれないよ~!」
「今は初級ポーションしか作れないけど、いずれは上級ポーションや他の薬には挑戦するよ!」
「私がもし作るんのなら、化粧品か香水の類いかしら!」
彼女の言葉に女性陣は大喜びしている。
「そういえばテリオス商会から声を掛けられていたようだが?」
グレンはリナとユナの甘える態度を、適当にあしらいながら話す。
「今後の為に薬作りのノウハウを知っておきたいと思い、一度テリオス商会のお店を訪ねたんです。」
「それでか!・・・テリオス商会の魔導士に目を付けられたようだな!」
グレンの言葉に苦笑いしたが、こうして声を掛けて来た所を見ると当初の計画は成功かな?
「実績もないのに、薬作りの現場をみられるのはチャンスかもしれない。」
「ではテリオス商会で働くのか?」
グレンは少し不安そに顔をしていると、アデルも同じ表情で話す。
「テリオス商会の魔導士には気おつけた方がいい!あまりよい噂は聞かないからな!」
「噂は聞いていましたので事前にお店を訪ねましたが、皆さんが心配するような人達ではなかったですよ。」
「コウ殿がそう言うのなら心配はしないが、彼女はどうされるのかな?」
「もちろん一緒に行きます。どちらかと言えば彼女の方が気に入られるのではと少し心配しています。」
俺の言葉に彼女は、疑問がありそうな表情をしている。
「もしテリオス商会で働く事になったら、皆さんのお役に立てるかも知れません!」
「確かに店の評判は別として、扱っている商品は一級品だ!」
「コウ兄ちゃん~暫く会えないけど、タカ姉ちゃんと仲良く喧嘩はしちゃダメだからね!」
「それよりコウ兄ちゃんが他の女性に引っかからない様にしっかり見張っておかないと!」
ユナの言葉リナが付け足す。
「コウ殿は大丈夫だ!」
「あんあり男を縛ると逃げたくなるから、ほどほどにしておいて方がいい時もあるぜ!」
今度はグレンの言葉にアデルが付け足す。
「アデルの娼館通いは特定の女から逃げる為か?」
「女遊びをほどほどにな!そのうち痛い目に遭うぜ!」
ニックとモーリスの突っ込みで皆が大笑いをした。
彼女が誤解したらマズイと思い彼女の方を見たが、何も気にしていない様なのでホッとした。
「彼女達は好きで娼婦をしているんじゃないんだ!奴隷として働かされている女もいる。俺は運よく孤児院で拾われ生きて来れたのも、今冒険者としてお金を稼ぐ事ができるのも、心優しい人達に恵まれたからだ!俺が出来る事は、余ったお金を困った人に使う事だ!・・・まあ~自己満足だがな!」
アデルの言葉に女将さんがアデルのグラスにお酒を注ぐ。
「アデルはね~孤児院にも寄付をして、この宿屋にも沢山お金を落としてくれているのよ!」
「俺はわかっている。」
グレンがアデルの方を叩く。
全ての冒険者がアデルような考えをもっていない事は知っている。
でもここにいる仲間は、みな同じ気持ちをもっている冒険者達だ!
今日は心ゆくまで飲んで、食べてこの時間を楽しもう!




