75. ギルドへの報告
祝・30000PV達成!
偶然助けた2人の冒険者を診療所に送り届けてから、ギルドに今日の出来事の報告を行った。
「申し訳ないが魔物の名前がわからない。」
グレンが受付嬢のユリナに説明したが、うまく伝わらない。
「魔物図鑑を見せて下さい。それと他の冒険者からの情報はありますか?」
ユリナにお願いして、他国のギルドに報告があった情報を調べてもらった。
「ありました!」
ユリナが大急ぎで戻って来た。
「内容は?」
「隣国のギルド支店からの情報提供です。」
「我々が見たのと同じ魔物なのか?」
「トカゲの体に顔が鶏で尻尾が蛇の魔物が村を襲ったと記載があり、名前はバシリスクでSランクの魔物だそうです。」
シノが教えてくれた名前と一致する。
「姿形の特徴が一致しますね。それと毒による攻撃があるかどうかですね!」
「我々が遭遇した魔物と同じ魔物かどうかはわからないな!隣国では討伐は出来なかったのか?」
グレンがユリナに詳しい情報が無いか確認する。
「何組かのBランク冒険者達で討伐に向かったけど被害が酷く、村から追い出すのが精一杯だったそうです。」
「その魔物がこちらにやって来たという事か!」
ギルド職員が奥の部屋から追加の資料を持ってきた。
「バシリスクの情報資料です。」
ユリナは資料を広げて皆に見せながら説明を始めた。
「バシリスクは狂暴さゆえにAランクからSランクに格上げされており、低級種と上級種の2種類の存在が確認されています。低級種の体長は2メートル位で息や吐息には毒があるそうです。上級種は体長2メートルから3メートルあり息や吐息に毒がある他に、視線で相手を石化させる能力があると書かれています。」
「おいおい~化け物級だな!早急に逃げて正解だった。コウ殿の判断は間違っていなかった!」
事の重大さを理解しているギルド内に居る冒険者達は、神妙な表情で立ち尽くしている。
「犠牲者が出ている以上、ほっておいては危険ですね。」
「コウさん達の情報はギルドが確認しましたので、今後の対応はギルドが行います。また被害にあった冒険者の治療はギルドにお任せ下さい。」
ユリナは我々の情報をもって奥の部屋に走って去った。
その場にいた冒険者達が今の話しを聞いて、あちらこちらでざわめき始めた。
「あんたら~そんな化け物と遭遇して、よく無事に戻れたな!」
「貴方達のランクは?・・・エッ~Eランクなの!」
「遭遇した冒険者は食い殺されたとか、毒を浴びて意識不明で診療所に運ばれたとか聞いたぜ!」
「化け物はこの町を襲ったりしないわよね!」
「この町でAランク以上の冒険者はいないぜ!町は大丈夫なのか?」
ギルドの中に居た冒険者達が勝手に騒ぎ始めた。
暫くすると騒ぎに気付いたのか、1人の男が姿を現した。
「騒ぐではない!」
彼の一言で一気に静かになり、冒険者達の注目は彼に注がれた。
「私はグラッサ支部ギルド長のダグラスだ!」
体はグレンよりも大きく見えるし、筋肉もガッチリした容姿で迫力がある人物だ。
「報告によると、Sランクの魔物が隣国から我国・それもダリア辺境伯領に現れた。現在グラッサにいる最高ランクはBランクだが、迷宮に潜っている為帰途の連絡を出してある。それとは別に王都に滞在するAランクのパーティを派遣してもらう手はずも行っている。」
さすがはギルド長だ!手際が良いな。
「当ギルドからは魔物の追跡依頼と情報者には報酬を出す。討伐の準備が出来るまで皆気お付けてくれ!」
ギルド長の説明により皆安心した様子で、これ以上の混乱はなくなり通常のギルドに落ち着いた。
「それと冒険者を救出してくれたのは君達かね?」
ギルド長のダグラスは俺に視線を合わせて問いかけてきた。
「はい!となりに居ますグレンさん達と合同パーティを組んで討伐依頼を遂行中に遭遇しました。」
「君達は共にEランクパーティーで初めて見る魔物、それもSランク級の魔物に遭遇してよく冷静な判断が出来たな~大した冒険者だ!」
「1人では冷静な判断は出来なかったかもしれませんが、頼りになる仲間がいましたので切り抜け出来ました。」
「我々が無事だったのは、コウ殿のお陰だ!」
「ほう~そなたがリーダーなのか?」
「違います!さっきも言ったように合同パーティを組んでいましたので、グレンさんと共同です。」
「コウ殿は私らの師匠でもあるので必然的に頼ってしまうが、実力はAランクに匹敵する。」
「グレンさん買いかぶり過ぎですよ。俺はEランクのごく普通の冒険者ですよ。」
「謙遜するとは見所がありそうだな~冒険者は仲間からの信頼も実力がないと認めてもらえない世界だ!結果が物語っているのでは?」
グレンやリナ・ユナ、それにタカまでも頷いている。
ダグラスが納得したような表情でいると、隣から女性の声でダグラスに問いかけた。
「Sランク級の魔物討伐に必要なポーション類は確保できていらしゃるのですか?ダグラス様!」
女性の声にビックリした彼は、振り向き問いに答える。
「ソフィア殿か!いつここに?まあ良いが、ポーションに関しては初級・中級用回復ポーションは在庫がある。それに魔力回復は初級であれば問題ない数はある。」
「魔物はバシリスクと聞きましたが、毒消しや石化等の状態異常を治す治療薬は準備できていますか?」
「毒消し草は品薄だがセシール村から仕入れる手はずが済んでいるが、石化の治療薬は無い。」
「そうですね~状態異常・・・それも石化を治す治療薬は上級錬金術師でなければ作れませんし、現在では作れる錬金術師はいませんね。あとは状態異常の回復魔法を使える高レベルの僧侶か聖女様が居ないと困るのでは?」
思い出した!彼女はテリオス商会にいたエルフ族の人だ!
「初級でも構わない、状態異常のポーションをテリオス商会では作れないのか?」
「初級であれば可能だが、石化には対応できないと思って下さい。」
「それで構わない。あと毒消しと回復ポーションの追加も頼む。」
「承ります。材料の調達が出来次第生産を行います。」
「ギルドとしても材料は提供する。また高レベルの僧侶がいるパーティーには声を掛けているが、最悪の場合はテリオス商会に派遣依頼を出すつもりだ。」
「派遣依頼に関しては、私には権限がありませんので直接マーロン様にお伺いをして下さい。」
「わかった!後で伺う。」
ダクラスは彼女と話が済むと、奥の部屋へ移動した。
「冒険者としてもレベルが高そうですね!」
テリオス商会の彼女はギルド長が居なくなると、今度は俺に話しかけてきた。
「Eランクの冒険者ですよ!それにバシリスクを見てすぐに逃げ出した臆病者ですよ。」
「相手の実力と自分達の実力を見極めて、即座に判断できる冒険者は数少ないわ!」
「買いかぶりすぎですよ!ここだけの話ですが、恐怖のあまりちびってしまいまして情けないです。」
「コウ殿!俺もちびっていたのに~それは言わない約束だろう!」
グレンが俺の作り話に合わせてくれている。
「余計なお世話かも知れませんが、女性もいるので・・・早めに着替えた方がよろしいかと~」
彼女は顔を赤らめて、それ以上の追及はしなかった。
「そうですね~嫌われる前に着替えてきます。」
その場を早く立ち去ろうとする俺達に、彼女から思いもしない誘いがあった。
「これから討伐の準備で人手が必要になります。討伐に参加しないのであればテリオス商会で働きませんか?貴方のパーティーには僧侶もいらっしゃるようですし、ポーターという荷物運びや後方支援の仕事もありますよ。」
思ってもいない誘いに、気持ちが揺れ動く俺だった。




