58. ポーションの性能
グレンからの願いではあるが、自分が作ったポーションを使用すべきか悩んでいた。
「グレンさん少し話があります。」
俺はグレンを皆から少し離れた場所に移動させ、小声で話した。
「実はこのポーションは俺が作った試作品で、検証もしていないです。」
「ポーションを~コウ殿が作った?・・・」
グレンは驚いていたが、気お取り直して作成したポーションの本数を聞いてきた。
「バックの中に8本あります。」
「俺が飲んで検証しよう!」
グレンの言葉に驚いてしまった。
「コウ殿が悩んでいる理由はわかる、目立ちたくない事情も察しているつもりだ・・・でもアデルを助けたい、コウ殿の力を貸してほしい。」
グレンが頭を下げてお願いする。
「グレンさん頭を上げて下さい。分かりましたグレンさんが飲んでも異常がなければ使用しましょう!」
「コウ殿!」
グレンはポーションを受け取り、瓶を見つめたまま固まっているようだ。
「グレンさん!どうかしましたか?」
「いや~初級ポーションにしては液体の濃さが・・・今までのポーションとは違うと思んだが?」
グレンはギルドで購入したマズイポーションとは違う感覚を覚えた。
「いただく!」
グレンは一気に飲み上げた。
「どうでしょう~気分が悪くなりませんか・・・味はどうですか?」
一気に飲み上げたグレンは、しばらく無言で動かなかったが急に俺の手を取り首を横に振りだした。
「コウ殿! これは凄い!! 体中の痛みや傷が消え、体の底から力が湧き出る感じだ!!」
グレンは目をギラギラさせ、俺の手を振り回す。
「味も美味しく、今までの初級ポーション以上の効果がありそうだ!」
グレンの言葉は大げさに聞こえるが、異常がなければ成功していたという事になるな。
「コウ殿、さっそくアデルに飲ませたいがよろしいかな?」
グレンに問題がないなら、最悪悪くなることはないだろう!
「お願いします。」
グレンがアデルの傍でポーションを飲ませる。
アデルノの口に数滴垂らすと、唇が動き出した。
それから目が開き、意識が戻った。
「アデル!しっかりしろ~もう大丈夫だ!!」
意識は戻ったが、体はまだ動かない。
グレンはアデルの体を起こして、ポーション液をゆっくり飲ませた。
アデルの意識が戻ったことで、ニックとモーリスも安堵した表情になり笑顔が戻った。
「もしかして中級ポーションを持っていたのか?」
ニックがグレンに尋ねる。
「このポーションはコウ殿の持ち物だ。」
ニックとモーリスが、俺に頭を下げて礼を言う。
「貴重なポーションを~感謝する。」
「中級ではないと思いますが、意識が戻って良かったです。」
「いや!お嬢ちゃんの初級回復魔法で意識が戻らなかったので、中級以外考えられない!」
俺のスキルは初級ポーションしか取得していないはずだが?
「ユナの魔法レベルはまだ低いが、回復量は中級レベルはあるはずだ。」
グレンがユナの回復魔法と、俺の初級ポーションの違いを検証した結論を述べた。
「体内部の損傷はレベルが高くないと効果が表れない。このポーションは回復以外にも異常を治す効果もあるようだ。」
「回復以外の異常を治す効果?」
「理由は分らないが、コウ殿が回復ポーション作る過程で、別の効能も付与されていると考えられる。」
グレンが他の人の聞こえないように話してくれる。
「回復量は使用する薬草で決まるので、初級ポーションに間違いはないが、付加価値付の特別な初級ポーションだな!」
俺が困った表情をしていると、ニックとモーリスに抱えられたアデルがお礼を述べに来た。
「コウ殿!貴重なポーションを俺の為に・・・感謝する。」
アデルは頭を下げるが、表情は厳しい状況みたいだ。
「アデルさん!同じ冒険者同士です、気にしないで下さい。それに流れ出た血液は魔法やポーションでは元には戻りません。回復するまでは無理に動かず安静にしていて下さい。」
「助けてもらった命だ、大事にする。この恩は必ず返す。」
アデルはニックとモーリスにも笑顔で話し、待機させてある馬車までゆっくりと戻って行く。
「コウ殿!我々も戻ろう!」
グレンの指示で、全員馬車まで戻る事になった。
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待機している馬車の方向に、偶然ゴブリン達の集団と出くわす危険を察知した居残りメンバーは、コウの采配で無事対処できた。
ゴブリンの討伐証明の耳だけを切り取り、直ぐに馬車の待機場所まで戻った。
「思ったより早かったな!」
オリバーが感心した表情で声を掛けてきた。
「オリバーさんが見張り役を手伝ってくれたおかげで、全員の総合力で無事討伐出来ました。」
「彼女達の力より、兄ちゃんの力のお陰だな!」
「俺は何もしていませんよ~現にゴブリン達を討伐したのは全て彼女達ですよ!」
「まあ~そう言う事にしておいてやるよ!」
本当に俺は倒していないに、オリバーには困ったもんだ!
「それより、先に魔物の討伐に行った連中がまだ戻ってこないんだが!大丈夫か?」
オリバーに言われてミエールが不安な表情で話す。
「遅すぎます!何か問題があったんでは?」
「お兄ちゃんが怪我でもしていたら大変だよ!私たちも行って見ようよ!」
リナとユナも声を揃える。
シノが念話で話しかけてきた。
「ご主人様、ロキが戻ってきました。ガルテノからの伝言で救助の依頼です。それとは別に先ほど討伐したゴブリンの仲間と思われる集団が新たに出現しました。」
「数はわかるか?」
「6匹です。」
ゴブリンが6匹なら問題ないな。
「シノ、こちらに近づくようなら始末してくれ。くれぐれもオリバーや他の乗客に悟られないように。」
「承知致しました。 ご主人様お願いがあります。」
「どうした?」
「ご主人様の召喚魔であるダークナイトをお貸しいただけませんでしょうか?」
「それは構わないが、理由は?」
「従魔である私が倒してもご主人様には経験値は入りませんが、召喚魔が倒したならばご主人様に経験値が入ります。」
「そういう事か! いいだろう~シノに任せる。」
シノとのやり取りが終えると同時に、ロキの伝言が気になる。
彼女達に救助に行くよう指示を出し、準備が出来次第すぐに移動を始めた。
「コウさん先に行きます。」
ミエールが居ても立っても居られないように走りだした。
その後を追いかけるようにリナとユナも走り出した。
俺はロキに彼女達についていくよう指示を出し、誰も見ていない場所に移動しダークナイトを召喚した。
真黒の鎧に兜、大剣を前に構えた直立不動の騎士が姿を現わした。
「ダークナイトはシャドウウルフと違い感情が有りません。また召喚が解除されるまでご主人様が命令した事しか実行致しません。」
ダークナイトは命令した事しか実行しない、融通が利かない騎士という事か。
シノの説明に納得した俺は、ダークナイトに命令した。
「俺が戻るまで、シノの指示に従って魔物を退治しろ。」
「シノ!ここは任せる。」
「心得ました。」
召喚したダークナイトの実力も見てみたいが、今はそれどころではない。
グレンやガルテノ達が心配だ。
コウは簡単に考えて魔物の討伐をシノに任せ、その足で彼女達の後を追うように走り出した。
新たに現れた魔物達の正体を、コウはずっと後で知る事となる。
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