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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第1章 異世界召喚

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55. 遭遇

 グラッサの街までの相乗り馬車による旅で、2日目の朝がきた。

 夜明けと共にすぐに出発の指示が係員から伝えられた。

 馬車に乗り込み座席に座るも、なんだかまだ眠い。


「出発!」

 係員の号令で、3台の馬車は動き出した。

 馬車に揺られながら、日が昇ると目が覚めて頭も冴てきた。

 比較的安全な見晴らしの良い街道から、森林の中を通過する街道に入る。

「森林を通過するまで、周囲を警戒して進む。」

 先頭を進む馬車から声がした。

 風が吹いているのか、周りの樹木の枝があちらこちらで揺れている。

 斥候の代わりをしているガルテノとミエールが、前方から戻って来て状況を説明しているようだ。

 説明が終わると、馬車の一行は止まった。

「どうして止まるんだ!」

 ボルタック商会の番頭が御者に向かって声をたてる。

「魔物か盗賊が現れたんじゃないのか?」

 オリバーがボソッと呟いた言葉に、若い夫婦が怯えだした。

「心配いりませんよ~護衛の冒険者達がいますから大丈夫ですよ。」

 不安になる乗客に向かって話すと、みんな安堵した表情に戻っていた。

 御者の隣にいた冒険者も前方に移動した様子で、グレンの姿も見えない。

 真中の馬車の屋根には斥候から戻って来たミエールだけの姿が見える。

 

 **********

 グレンからの指示で、ガルテノとミエールは森林を通過するまでの間、馬車より先行し安全を確保していた。

 事前に魔物等の危険な状況と判断したら、知らせに戻る斥候を遂行中異変は起きた。

「前方右側の茂みに何かいるわ!」

 ミエールが茂みの中で動いている魔物を発見した。

「気付かれない様に近づいて見てくるから、ミエールはここで待機してて!」

 ガルテノが魔物の正体を確認しに動くと、いつでも攻撃出来るよう弓矢を構えて待機するミエール。

 茂みの中にいる魔物とその奥にいる魔物は・・・

「アッ!」

 ガルテノは奥にいる魔物の正体を確認しようと、つい深入りをしてしまった。

 一番近くにいた魔物がガルテノに向かって襲ってきた。

「ガルテノ!逃げて!!」

 ガルテノに襲い掛かろうとしているホーンラビットを、弓矢で攻撃するミエール!

 ホーンラビットの攻撃をミエールの矢が威嚇したすきに、ガルテノは魔物の範囲から離脱してミエールが待機していた場所まで戻ってきた。

「ミエール!すぐ戻ろう!!」

 ミエールはガルテノの無事を確認すると、直ぐに移動した。

 犬人族の足は速い!あっという間に魔物との距離をとりグレン達と合流した。

 馬車まで戻るとグレンに状況を説明した後、グレンとガルテノは護衛の任務についてる冒険者のリーダーに状況を話した。

 ミエールは護衛対象の馬車に戻り、リナ・ユナに状況を説明した後屋根で待機している。

 護衛のパーティーリーダーであるアデルは、グレンとガルテノの話しを聞いて馬車の移動を停止した。

「ホーンラビットは問題ないとしても、ホワイトボアの番は厄介だな!」

 アデルは仲間の2人と相談をしている。

「ホワイトボアが馬車に体当たりでもしたら被害がでる。馬車の一行を街道から茂みに隠し待機させ、   

我々は先行して魔物を討伐する。グレン!すまんが手伝ってくれないか!」

「もちろんだ!ホワイトボアが2匹となると厄介だ!俺とガルテノが一緒に行くが、他のメンバーは護衛に残す。」

「そうしてもらえると助かる!お礼は後ほどする。」

 アデルは馬車の御者に指示を出し、冒険者達はガルテノの案内で魔物達がいる場所に移動した。

 **********


  アデルの指示で、3台の馬車は街道から少し離れて見通しのよい広場に移動した。

「冒険者達が魔物を討伐する間、ここで待機します。」

 係員の言葉で、魔物が出現した事を全員が知った。

「大丈夫ですかね!」

「冒険者達が退治してくれますよ!」

 2組の夫婦が心配そうな表情で会話している。

「最近よく魔物が出現すると聞いていたが、本当のようだな!」

 ボルタック商会の番頭さんも不安そうだ。

「兄ちゃんは彼らとは知り合いみたいだが、加勢しないのかい?」

 オリバーが自分の腕をさすりながら俺に尋ねる。

「俺の攻撃力は大した事は無いんです。それに彼らなら問題は無いと思いますよ。」

 オリバーにそう言いながら、馬車から降りて辺りを見渡す。

 リナとユナも馬車から降りてミエールと話をしているところに顔を出した。

「大丈夫か?状況を知りたいんだが、魔物の種類等を教えてくれないか!」

「アッ!コウ兄ちゃんだ!」

「コウさん!相乗り馬車に乗っていたんですか?」

「ああ!グラッサの街までの1人旅だ。」

「状況ですが・・・街道の前方2キロ先にホワイトボアの番に追い立てられたホーンラビットの群れが押し寄せています。」

 ミエールが俺に状況を説明してくれた。

 本来であればパーティーメンバー以外は教えないルールだが、俺は信頼されていると判断した。

「コウさんお願いがあります。・・・ガルテノに万が一の事があれば私は・・・彼らの手助けをしてくれませんか!」

 ミエールの真剣な表情に驚いた。

「彼らのレベルであれば問題は無いと思うが・・・それにグレンもいる。」

「嫌な予感がするんです。」

 犬人族の危険察知能力なのか?

 それにしても~恋人を思う気持ちは羨ましい!

「ミエールがそこまで言うのであれば、ロキを彼の護衛に付けておこう!」

 周りに誰も見ていない事を確認して、ロキを召喚した。

「あっ!ワンちゃんだ!」

 召喚されたロキは、リナとユナに犬と間違えられてモフモウされている。

「ロキは犬ではなく狼だよ。」

 2人に説明したが、どちらでもかまわない様子で嬉しそうに撫でている。

 ロキもシッポを振りながら、おとなしく撫でられている。

「ロキ!ガルテノの影で待機し、危険が迫れば彼らを助けるんだ!」

 ロキに命令すると、俺の方を見てすぐに走って消えた。

「ワンちゃん早いね~」

 リナとユナは、ロキがいなくなると残念そうにしている。

「コウさん!願いを聞いてくれて有難うございます。」

「気にしないで下さい。それより街道に魔物が出て来る自体おかしいですね!」

「魔物は怯えている様子でしたので、近くに上位種がいるのでは?」

 ミエールがそう話すと、後方の方で鳥たちが空に向かって一斉に飛び立った。

「何かいる見たいです。」

 ミエールは「様子を見てきます」と告げると後方に走り出した。

「コウ兄ちゃん!私達はどうすればいい?」

「君達の仕事は、護衛対象の馬車を守る事だ。」

 リナとユナは馬車の屋根に昇り、ミエールが戻って来るのを待つことにした。


 暫くするとミエールが戻ってきた。

「ゴブリンの集団がこちらに向かっています。」

 ミエールの報告を何故か冷静に聞ける自分がいる。

「数と種類は分かるか?」

「目視出来たのは緑色のゴブリンでこん棒を持っているのが6匹と、弓を持っているのが2匹です。あと剣を持っているのが1匹いました。こちらの存在には気付いていない様子で、偶然こちらに進んでいるだけと思われます。」

 剣持ちはゴブリンソードマンである可能性が高いな!近くに巣穴がある可能性もある。

 こちらの馬車が見つかると面倒な事になりそうだ。

「ゴブリンの討伐経験は?」

「まだありません!」

「俺とミエールでゴブリン達の注意を引き付け、ここから離れた場所に誘導する。リナとユナはここに残り魔物が来たら皆に知らせてほしい。」

「いや!私達も一緒に戦う!」

 リナとユナの決意が固いのか、首を縦にはふらない。

 皆でゴブリン討伐に行けば、ここの守りがいなくなる。

 悩んでいると、後ろからオリバーが声を掛けてきた。

「兄ちゃん!俺がここで見張っているから安心して行ってこいや!」

「オリバーさん!話を聞いていたんですか?」

「いや!魔物の気配がするんだよ!俺は戦力にはならないが、皆を逃がすぐらいは手伝うぜ!」

「オリバーさん有難うございます。」

 オリバーの突然の手助けに感謝して、リナとユナを連れてミエールとゴブリン退治を開始する事になった。


 


 

























 




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