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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第1章 異世界召喚

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54. 相乗り馬車

 エリスから教えてもらった相乗り馬車の出発地点である、セシール村の中央広場に着いた。


「王都行きの馬車がもうすぐ出発しますよ!」

 案内係の言葉に急いで馬車に乗り込んだ。

「グラッサの街までお願いします。」

「兄ちゃんついているね!今回は訳ありだから、護衛の冒険者が2組も就くから安心していいよ!」

「そうなんですか?それは安全な旅になりますね!」

 訳ありの理由は知っているが、あえて知らない事にした。

 馬車は3台で、先頭は商人の専用馬車で次が訳ありの人物が乗っている馬車、最後尾が相乗り馬車で乗客は俺を含めて7人が乗っている。

 【銀狼の牙】のパーティーはギルドからの依頼で、訳ありの人物の護衛をしているようだ。

 商人の馬車と相乗り馬車の護衛は、以前ギルドで酔っ払って俺らに絡んだ3人組の連中だった。

 先頭の馬車に2人と最後尾の相乗り馬車に1人、護衛として御者の隣に座っている。

 真中の馬車は御者の隣にグレンが座っており、馬車の屋根に荷物と一緒にガルテノとミエールが座って居る。

 双子の姉妹は見当たらないので馬車の中にいるんだう。 

 俺が乗り込んでから、暫くして馬車がゆっくりと動き出した。


 セシール村からグラッサの街まで、5日間の旅になる。

 相乗り馬車の乗客層は、右側の長椅子に老夫婦と若い夫婦が、左側の長椅子に商人らしきの年配の男性と比較的若い男性が座っており、その隣に俺は座っていた。

「兄ちゃんは何処まで行くんだい?」

 隣に座って居る若い男性が声を掛けてきた。

 若いといっても年齢は30代と思われ、話しやすい雰囲気ではあるが右の手首が無い事に気付いた。

 彼は気にしない様子で話してくるので、敢えて気がつかない様に答えた。

「はい、グラッサーの街までです。」

「俺は武具を扱う行商人で、オリバーだ!兄ちゃんは商人かい?」

「いえ商人ではなく冒険者で、コウと言います。でも商売の勉強もしたいと考えているので、街でいろんな店屋を見て回るつもりです。」

「そうだな~冒険者には見えないな~俺も今は行商で商売しているが、ゆくゆくは店を構えたいと思っているんだ!後で俺の商品を見ないか!安くしておくぜ!」

 オリバーはそう言いながら、俺の耳元で「隣に居る旦那は、王都に店があるボルタック商会の番頭だ。

商売を考えているなら知り合いになっていて損はないぜ!」と小声で教えてくれた。

 

 セシール村を出発してイザベェルの森とは反対の方向に進んでいく。

 街道は整備されており、順調に1日目の宿営地に到着した。

「今日はここで休んで、明朝すぐに出発します。」

 乗合い馬車の係員の指示で、各自休む場所を確保する。

 各馬車の御者は馬の世話を行い、護衛の冒険者達は周囲の警戒にあたっている。

 グレン達は護衛人物と聖女らしき女性の世話をしているようだ。

「兄ちゃん!焚火の準備を手伝ってくれないか!」

 俺に声を掛けてきたのはオリバーで、焚火の場所の周辺で小枝を集めた。

 オリバーは左手のみで、枯れ葉屋や小枝を腰にあるアイテムバックにいれていく。

「オリバーさんのカバンはアイテムバックなんですね!」

 自然と尋ねてしまったが、気お悪くしなかっただろうか?」

「容量は小さいが重宝している。兄ちゃんも同じようなバックを持っているな。」

「冒険者を始めた時に、知り合いから貰いました。」

「アイテムバックを譲ってくれるなんて、兄ちゃんは凄い人物なのか?」

 オリバーはビックリした表情で、俺のアイテムバックをじっと見つめる。

「俺も元はBランクだった冒険者だ。兄ちゃんのバックは普通じゃないな~そのバックからは魔力を感じるぜ!」

 鋭い!!シノの魔力が分かるのか?

「俺はEランクになったばかりの冒険者ですので、魔力と言われてもわかりません。ただ大事な知り合いから貰った物ですので、大事に使わせてもらっています。」

 オリバーはそれ以上は聞いてこなかった。

「オリバーさんはBランクの冒険者なのになぜ商人をしているんですか?」

「見ての通り・・・右手首を魔物に食われて刀が握れなくなったんで、冒険者を辞めて生活の為に商売をしている。」

 オリバーは右手を俺に見せて話してくれた。

「そうでしたか!刀と言いましたが職業は何ですか?」

「侍だ!」

 侍と言えば上級職の中でも上位の職業で、確か魔法も使えるはずだ。

「侍ですか!魔法も使えるんですか?」

「刀に自信を持っていたんで、初級魔法しか覚えなかったな~」

「そうですね~魔法は使わないとレベルが上がりませんし、刀であれば攻撃力が高いので魔法を使わないのも納得します。」

「俺の場合は、刀に頼ったばかりでこのざまだ!」

「手首は治癒出来ないんですか?」

「手首は食われてしまったし、再生魔法は伝説の大聖女に匹敵する魔力量がないと無理だな!」

「冒険者であれば覚悟の事だ!それよりも生かされた事に意味があると俺は考えている。」

「生かされた意味ですか?」

「冒険は出来なくても、冒険者達や他の人の役に立つ事だ!」

「それは商人として、武具を提供する事ですか?」

「俺には冒険者としての経験と武具の知識がある。お客にあった商品を提供できると言う事さ!」

「オリバーさんは素晴らしいです。ぜひ勉強させて下さい。」

 オリバーの言葉に感動していると、「焚火はまだか?」と声が聞こえてきた。

 2人で拾い集めた枯れ葉や小枝を急いで持ち帰り、火を起こした。

「手伝ってもらってありがとうな!」

「いえいえ同じ旅をする者同士、助け合うのは当然です。」

「そう言ってもらえるのは、兄ちゃんが冒険者だからだ。」

 オリバーが言った意味がピンとこなかったが、後で分かることとなる。


 焚火を中心に各々休んでいると、グレンがやって来た。

「コウ殿!初めての旅は如何ですかな?」

 グレンは俺の横に座って、果汁水が入っている飲み物を渡してくれた。

 グレンからの飲み物を受け取り、護衛の様子を尋ねた。

「付き添いの聖女様の魔法で、彼女の移動には支障はないようだ。それにリナもユナも彼女と話ができて嬉しそうに付添っている。」

「今日は何事もなかったが、無時送り届けるまで気が抜けない。」

 グレンは護衛の難しさを知っているようで、リーダーとして全員に指示を出している。

「今回の依頼は、コウ殿のお陰だ!感謝している。」

「ギルドはグレン達のパーティーを評価していると思うよ。」

「コウ殿のパーティーと一緒に行動できるように精進するつもりだ。」

 グレンと話をしていると、荷馬車の護衛にあたっている男が近寄ってきた。

「この間はスマン。みんな酔っていて申し訳なかった。」

 いきなり謝って来た男は、先日俺らに絡んできた連中だ。

「コウ殿、こいつは俺と同じ孤児院の出で悪い奴ではないんだ。」

 グレンがとりなす。

「俺は気にしてないから!同じ冒険者同士仲良くやって行こう!」

「そういってもらえると助かる。酒と女しか楽しみが無いもんで!彼女らに謝っておいてくれ。」

 彼はそう言って、見回りに戻っていった。

「真面目な奴なんだ!彼らもコウ殿と同じEランクになり立てで、これからもよろしく頼む!」

 そう言ってグレンは周囲の見回りに行くとの事で、立ち去った。

 みんな初めての依頼で緊張はしているだろうが、無時達成してほしい。

 俺も馬車に揺られての移動は初めてで、下半身が何だか重い。

 疲れが出たのか、瞼が閉じてしまいそうだ。

 明日も早いので、このまま休むとしよう。

 













 

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