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2.召喚

 光の中に包まれながら、宙に浮いてる状態でいる。

 

 ボンヤリしていた周りの景色がよく見えてきた。

 

 そうだ、思い出してきた。


 以前ゲームの世界で見た景色だ。

 

 見覚えがあるはずだ、ゲーム開始時の初めての場所だ。


 突然光の中が暗くなり、いきなり周りに奇妙な服を着た人たちが現れた。

 「召喚に成功したぞ!」

 歓声と共に声が聞こえた。

 「聖女様に続き賢者様の召喚も成功だ」

 「もう一人勇者様の召喚が成功すれば、この国は安泰だ。」

 なにが如何なっているのかわからないが、目の前には片方しか履いていない赤いヒールの女の子が床に座り込んでいる。

 目があったが、声をかける間もまく自分の足元にある魔法陣が光始めた。


 「ドーン」・・・大きな音と共に部屋全体が左右に揺れた。

 天井にヒビが入ったのか、破片が頭におちてくる。


 「どうした、何が起こったんだ!」

 突然の出来事に、周りにいた人達の中で身なりの良い男がうろたえながら声を発した。

 窓の近くにいた兵士が男の声に答えた。

「ドラゴンが城に向かって火を放っています。」

「なんだと!すぐにここを離れるぞ、聖女様と賢者様をおつれするんだ。」

男が周りの人達に指示を出すのと同時に、自分の体が宙に浮いてきてあっという間に光にまた包まれた。

「賢者様が消えてゆくぞ!」

「魔導士は何をしている!引き戻すんだ。」

さっきまでいた床が崩れていく。

「彼女は大丈夫かな」そんなことを考えていたら、いきなり目の前が明るくなり空間の間から空に放り出された。


「ワァー落ちる!」

 運よく木の枝にぶつかり、落下速度が緩んで地面に落ちた。

「イタタ・・・」

 雲一つない青い空を見上げながら、どうして空から落ちたか不思議で考えていた。

「まず、状態確認だ。」

「手足にかすり傷だが、骨は折れてなさそうだ。」

「この大木に命を救われたな。」

 大木の根元に横たわり、息を整えて辺りを見渡した。

「ここはどこだろう!」

「さっきいた場所とは、また違う場所みたいだな。」

 足をさすりながら一連の出来事を思い出しながら整理してみた。

「もしかしたら、ここはゲームの中の世界!光に包まれた時に見た景色、夢ではないだろうか?」

 足の感覚や体の痛みの感じから、夢ではなさそうだ。

周りは木々が茂っているが、獣道らしき通れる道がある。

 このままここにいたら、食べ物も無いし飢え死になるか、寝床もないまま夜になるのもすごく不安になる。

 「とりあえず、明るい場所まで移動しよう。」

 冷静に考えれるようになったのか、だんだん周りの状況がわかってきた。

 茂みの奥からは、動物の同士の争っているような声も聞こえるし、たまに地面が揺れるほどの大きな振動も座っていると伝わってくる。

 本能的に、ここにいてはいけない気がする。

 自然と足が動いたので、地面に落ちている木刀らしき枝を手に持ち、この場を離れた。

 獣道に沿って歩いていくと、目の前が急に開けた草原に出た。

 その美しい景色に見とれていると、ふと頭の中の記憶がよみがえってきた。

「たしか、ここはゲームのスタート地点によくにているな!」

「この丘の向こう側に川があり、その先に小さな村があったはずだ。」

「本当にゲームの世界。夢でなければあの光でこの異世界に召喚されたということになるのか。」

「どうやったら、元の世界に戻れるのか」

 頭の中で、いろいろ考え歩きをしながら足を進めていた。


 一人でつぶやきながら歩いていると、目の前に角の生えた小さなウサギらしき動物と目あった。

 一瞬可愛いウサギと思ったが、次の瞬間こちらに向かって突進してきた。

 反射的に避けたが、足が絡んで尻もちをついた。

「ビックリした。頭の角がもう少しで刺さるところだった。」

 急には止まれない様だ、だいぶん進んで止まってこちらに向きを変えて見つめている。

「また来るな。」

 手に持っていた木刀らしきの枝を両手でつかんで構えた。

 ウサギが一直線に向かって来たので、じっくり待ってタイミングよく角を叩いた。

「当たった!」

 ウサギは、地面に倒れたが、すぐ起き上がりまたこちらに突進してきた。

 慌ててもう一度枝を振りかぶったが、当たらなかった。

 次の瞬間、ウサギの角が右足をかすった。

「痛い!」

 右足に激痛が走る。

 破れたズボンから真っ赤な血が流れていた。

「マジか、ホントに痛い。」

「あの角で刺されたら・・・」

 急に血の気が引いた感じがしたと同時に、怪我をした足の事を忘れてその場から逃げた。

「まだ、追ってくる。」

 後ろを振り返って確認した時に、足が絡んでこけたと思ったら斜面を転がり落ちた。

 空と地面を交互に見ながら転がり、やっと止まったかと思ったら、真上にウサギが飛んで来た。

 顔を手で覆うと、真上から血がしたたり落ちてきた。

 訳が分からず、そっと目を開けると、手に持っていた枝の先にウサギが刺さって死んでいた。

「助かった。」

 ウサギが刺さった枝を横に置いてため息をついた。


 無我夢中の出来事に、頭が混乱しているようだ。


 死んでいるウサギを見て、冷静に考える。

 こんなウサギは見たことが無い、あるとすればゲームの中の生き物だけだ。

 ということは・・・

 ここはゲームの中の異世界!!

 ゲームの世界であれば、少しは理解できる。


「自分のステータスは見れるのかな」

 突如目の前の空間にステータス画面が現れた。


【名前】      :【コウ・シバ】 【HP】 :【・・・】

   【種族】      :【人間】    【MP】 :【・・・】

   【年齢】      :【16歳】   【ATK】:【・・・】

   【レベル】     :【レベル1】  【DEF】:【・・・】

   【ファーストジョブ】:【 ・・・】   【魔力】 :【・・・】

   【追加ジョブ】   :【 ・・・】   【AGI】:【・・・】

   【システムスキル】 :【 ・・・】   【魅力】 :【・・・】

   【経験値スキル】  :【 ・・・】   【LUK】:【・・・】


「すべての項目が表示されないな」

「白紙の状態から始まるのか、それとも条件がたりないのか」

「自分のステータスは、思い浮かべればいつでも見れるということだな。」

「あれ!」

「名前が省略されている」

「年齢もひとまわりも若くなっている。」

 初期設定かもしれないが、実際の体が若くなっている気がする。

「そういえば、さっきウサギの突進を避けれたし!」

 いままでの生活で体はなまっていたし腹も出て体重も標準を超えていたが、今の状態は健康そのもので体が軽い。

 なんだか得した気持ちになって顔がにやけてしまった。

 





 

 

 



 

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