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異世界召喚者は、超膨大な魔力をひた隠す。  作者: 鬼瓦
第2章 異世界生活

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93. ナダル鉱山③

 光魔法のライトを唱えると、今までの暗闇が嘘の様に明るく照らされている。

 

「魔法とは便利だな!」

 俺はこの世界の魔法にはとても感心している。

 俺の後ろについてくる彼女もランの手を握り、暗闇の恐怖は払拭され昼間の様な明るさに安堵しているように見受けられた。

「僧侶職であるタカさんのお陰で、ランタンよりも遠くが見渡せ安心できますわ!」

 前を歩くレイナも絶賛している。

 だぶん一般の僧侶が使う光魔法の威力とは違うのだろうと感じてはいるが、レイナとココにはこれが普通だと思ってもらおう!


 明かりの恩恵を受けながら坑道を確認するように奥へと進んでいると、先行して進んでいたクロとシロが立ち止まり唸り声を上げて前方を見据える。

「・・・足音が聞こえる!・・・この先に魔物がいるよ!」

 ココが従魔の傍に寄り添い警戒態勢を取る。

「スライムに足があったか?」

 疑問に感じながら俺はレイナと共に剣を構える。

 タカとランは後方で支援魔法が放てる位置で身構えて様子を伺っている。

 最後尾にいるシノは、何の問題もないという様子で落ち着いている。

「ギャーギャー」

 金切り声のような甲高い叫びが聞こえると、剣や盾を持った二足歩行の魔物が集団で襲ってきた。

 犬の様な頭に全身が毛で覆われている魔物はココ達を払いのけ、俺達に剣を振りかざして来た。

 最初の一撃を盾で防いだが、力で押し任された。

「こいつらの腕力は強い!油断してはダメだ!」

 今回の討伐にあたり左腕に小型の丸盾を装備しており、さっそく試してみたが最初の一撃を盾で防ぐと腕がジンジンと痺れて次の攻撃は防ぎきれない。

「コウ様は私の後ろに!」

 レイナは普通に盾で防ぎ、尚且つ盾で魔物を弾き返す。

「レイナ様~有難うございます。」

 レイナに守られながら2人で剣にて魔物を切り倒す。

 前方でもココが従魔達と戦っているので複数での攻撃は回避されているが、それでも連続で相手していると消耗は激しく手や足には切り傷が増えてくる。

「ヒール」

 身体が疲れてくるタイミングで後方から回復魔法が俺とレイナに唱えられた。

 その瞬間に、切り傷は一瞬に治り体力も元の状態に回復していた。

 目の前の魔物を倒し終えると、前方からこちらに向かって来る魔物が目に映った。

 レイナと俺は回復した状態で待ち構えていると、2人の間を目にも止まらない速さで水滴が後方より飛んで行く。

 次の瞬間、我々の正面にいた魔物の体は無数の穴が開いており、そのまま後ろに倒れ込み絶命していた。

「今のはナニ?」「何が起こったのか?」

 レイナと俺は直ぐには理解できずいた。

「すごいわ~ランちゃんが初級の水魔法を放ったわ!」

 後ろからタカがランの魔法を誉めているのを聞いて理解した。

「今の魔法はウォーターバレット?・・・確かに初級の水魔法ですが貫通する程の威力があるなんて!・・・ランちゃんは魔法の天才かもしれませんわ!!」

 確かに初級魔法だが、レベル1の威力ではないだろう!

 ランを見ると、ひたすら頭を下げて謝っている。

 もともと中級以上の威力を出せるのを、初級レベルの威力に落とすのはランに取っては難しいんだろう!

「魔物は全て倒したよ!コウは怪我していない?」

 前方よりココがやって来て俺を心配してくれる。

「私がお傍にいる限り、コウ様には指一本触れさせませんわ!」

「ホントだ!2人共傷ひとつついていない!」 

 ココの言葉にレイナがドヤ顔をしているが、実際はタカの回復魔法のお陰だがここは黙っていよう!

 突然の出来事で慌てたため魔物の鑑定を忘れていたら、ココが教えてくれた。

「いないはずの場所にコボルトがなぜいたのか不思議だね?」

「ココ~この魔物はコボルトなのか?」

「そうだよ~この頭を見てよ!コボルト以外考えられないよ~」

 ココが地面に倒れている死体を指差しながら言うのであれば間違いがないだろう。

「ギルドからの説明では坑道内にはスライム以外の魔物はいないと言っていたが?」

 ギルドが嘘の情報を伝える事は無いはずだが!

「コボルトは鉱山や洞窟を住処にしますが、ナダル鉱山の採掘が始まって以来コボルトとの遭遇は聞いた事がありませんわ。」

 レイナの言葉で、今回の依頼に違和感を感じた。

「想定外の事が発生したが、奥に進みスライムを倒そう!」

 コボルトの襲撃にも難なく対処でき、シノ抜きでもこのパーティーの強さを実感する。

 

 先頭を進むココが立ち止まり、頭を左右に動かしている。

「どうしたんだ?」

「道が二つに分かれていてどちらに進めばいいのかわからないよ~」

 ココが言う通りに坑道が二つあるが、調査であれば両方確認しておかないといけない。

「左側の坑道は新しく掘った感じがしますわ!」

 レイナが言う様に左の坑道の天井や壁の木材が、右のそれとは違い真新しい。

「先ずは新しく出来た左側を確認しよう!シノはここで見張っていておくれ!」

 シノをその場に残し、左側の坑道を慎重に進む。

「奥に魔物の気配がするよ!」

 ココの言葉にクロとシロが反応して走り出した。

「ギャー」「ギャ!」

 魔物の叫び声が坑道に響きながら、クロとシロの後を追った。

 新しく出来た坑道はそんなに長くなく、少し進むと大きな広場に出た。

 広場の中央にはコボルトの親玉と思われる一回り大きいなコボルトが仁王立ちでこちらを睨んでいる。

 親玉が1匹と左右に2匹のコボルトが居たが、クロとシロの攻撃で2匹のコボルトは地面に倒れ込んで動かない。

「コボルトの親玉だ!図体はデカいが思ったより動きが早いぞ!」

 俺の言葉と同時にレイナが突っ込んで行く!

「ファイアボール」

 コボルトの一撃をレイナが盾で防ぐと俺の火球がコボルトの顔に当たり、動きが鈍った隙にレイナが剣で斬り付ける!

 ダメージが大きいのか、コボルトは膝をついたが致命傷まではいかない。

「クロ!シロ!いけ!!」

 ココの命令で膝をついたコボルトに飛び掛かるが、コボルトは膝をついたまま斧を振り回す為懐に飛び込めず苦戦している。

 ココもレイナも振り回す斧で近づけないようだ!

「ファイヤーボール!」

 俺が火球で攻撃をするとコボルトは斧で火球を防いだ!

「スローの魔法をコボルトに掛けるわ!」

 タカの声が後方から聞こえた。

「コボルトの動きが遅くなりましたわ!今ですわ!!」

 斧を振り回して近寄れなかったのが、明らかにスピードが遅くなっている。

 隙を見てレイナが切りかかると、コボルトの胴体に剣が刺さった!

 コボルトの悲鳴と共に体が倒れるとクロとシロが飛びつき、最後にココが息の根を止めた。

「仕留めたな!・・・みんな怪我はしていないか?」

「クロ・・・クロ大丈夫?」

 クロがうずくまったまま大人しくしている様子を見て、ココが心配して近寄る。

「クロが足に怪我をしているよ!」

 ココが皆に伝えた後、クロの頭を優しく撫でるとシロも傍に寄り添う。

「ココさん~私が治療魔法を掛けますね。」

 タカがクロの足に魔法を掛けると、うっすらと白く輝いてすぐに消えた。

 光が消えるとクロはすっくと立ち上がり、元気な姿を見せた。

「タカさん~ありがとう!クロ~治ってよかったね!」

「さすがは本職の僧侶ですわ~私の回復魔法とは桁違いですわ!」

 レイナは治癒魔法の違いに驚いている。

 レイナが驚くのも無理はない!彼女のレベルが上がって来ているのが魔法の威力で実感できる。

「タカさんがいるのは心強いよ!」

 ココは純粋に感心している。


 コボルトの親玉を倒して静まり返った広場を見渡した。

 ココはコボルトの親玉から魔石を取り出し、倒れているの2匹のコボルトから耳を剥ぎ取りバックにしまってから、まだ何か探す素振りを見せている。

 嗅覚が優れているクロとシロも何か気になるのか、鼻を地面につけながら探し回り出した。



 




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