バカと天才の免罪符
「むふふ、今日もテスト良い得点とったぞ!」
黄泉 幻は95点のテスト用紙を見つめながらにやけていた。
彼女は頭がよかった、常にテストはクラスで1番の成績を残し、クラスみんなから羨望の眼差しを受けるほどだった。
「テストで良い点数とったら夏休みゲームやり放題だもんね! そりゃあとるしかないよね!」
「まーほーろっ」
「ああ、ファントムちゃんか」
「さっきから考え事してるみたいだけどテスト悪かったとか?」
「いいや、むしろ良かったよ」
「ファッ!? 95とか高杉謙信だろ!! またクラスで一番なの?」
「まぁね! そんなファントムちゃんは何点だったの?」
「…………二桁じゃなかった気がする」
「一桁ってこと?」
「いやー、人に見せられる点数じゃなかったから紙飛行機にして飛ばしたんだよ」
「バカじゃん」
「そうしたら案外遠くまで飛んじゃってさ!」
「バカじゃん」
「ひひっww 向こうのビルくらい飛んでったんじゃね?www」
「………なんで私より点数低い貴方の方が楽しそうなの?」
「幻は点数のこと気にしすぎだってw」
「………バカって、楽そうで羨ましいよ」
「………は?」
「いつもヘラヘラしてて何も考えてない、期待もプレッシャーもない、努力しないで楽して遊んで、ほんとお気楽で羨ましいもんだよ」
「……………」
「……………」
「………何か言ってよ」
「……っ、あははははっ!! そうだよ、バカって楽なんだよ!! 期待なんてされないからプレッシャーもない!! 出る杭になることもない!! バカには居場所ができる!! みんなが面白がってくれるんだ!! サンドバッグになるだけで、居場所ができるんだ!! これが『バカの免罪符』なんだよ!! 君の『天才の免罪符』とは違うんだ!!」
「………………ファントムちゃん、テスト何点だったの?」
「……へへっ、言ったはずだよ? 『二桁じゃなかった気がする』って」
「ファントムがテストで100点とったみたいだぞ」
「すごいじゃん! 何かでお祝いしないと」
「そうだな、最近遊んでやれてなかったからな」
「それにしても、ここまでテスト用紙飛ばしてくるとかあの子器用だよね」