第9話 青山の味方
大黒天 能力主:北島栄
黒色憤怒・・・相手に破壊力のある攻撃をすることが可能。
時間停止・・・時間を数秒止めることが可能。再度使うには何回か呼吸を挟む必要がある。
傲慢荼羅・・・自分の体重よりも軽い物質を好きなように動かすことが可能。
強引強欲・・・自分から重力を引き出すことが可能。
妬鬱怠惰・・・相手の首を絞める。使っている間は心臓が止まる。
恵比寿 能力主:酒井忠
物々交換・・・自分が持つものと価値の等しいものを交換することが可能。
五穀豊穣・・・1m以内にいる相手の傷を癒すことが可能。
大胆捕鯨・・・能力で作り出した鯨を呼び出すことが可能。
演奏 能力主:青山健治
多重共鳴・・・周りの生物を小規模に爆発させることが可能。
絶対音感・・・7秒先の未来を見ることが可能。5分に1回使用可能。
波長操作・・・音の波を変更することが可能。
英雄の凱旋・・・空間に穴を作り出し、そこから音を出すことが可能。
音の斬撃・・・爪から斬撃を放つことが可能。
満月の夜・・・自分の半径10mを暗闇にすることが可能。
千里馬タップ(ハープ)・・・自分の脚力をあげることが可能。
鎮魂歌・・・自分が死ぬときに相手も道連れにすることが可能。
「残念だ!いやぁ...残念だ!君たち...弱かったな!」
「妬鬱怠惰!」
僕の能力を使う。その瞬間だ。僕の心臓は何かに押し付けられたかのように苦しくなる。
「うっあっ...」
僕は藻掻く。その場で。腹の傷の痛みと、心臓が押し付けられるような痛みで藻掻く。一刻も、一刻も早く能力を解除したい。すぐにでも...すぐにでも...
僕は能力を解除してしまう。
「はーー!はーーー!」
青山の乱れた呼吸の音がする。青山も首を圧迫されていたので、呼吸が出来ていなかったのだ。
僕の腹からは、またドクドクと血が流れてくる。このままでは...
そうだ。
「妬鬱怠惰!」
僕はまた心臓を押し付けられるような痛みを味わう。やはり。やはりだ。腹からの血は少ししか出ていない。心臓を止めるのと血の流れを止めるのは同義だ。なら、このまま。
僕は能力を解除する。僕は一呼吸入れると、またすぐに妬鬱怠惰を使う。
「あっ...あうっ...ぶっ...」
青山は藻掻いている。酒井は僕に近づき、傷口を擦る。痛い。やめて...あれ?痛くない。
僕は能力を解除する。
「大丈夫か?北島!」
僕は喋れない。頭に血が回っていないのだ。だが、すぐに血は回り始める。
「あ、あぁ...大丈夫だ...」
ズキズキと激しい頭痛がする。
「傷...治したぜ!」
「え...あ...」
僕の腹の傷は治してあった。酒井の能力の”五穀豊穣”であった。
「よ...よくも!やりやがったな?」
いつの間にか、遠くに移動していた青山は呼吸を乱しながら立ち上がる。その目はこちらを睨んでいた。
「千里馬タップ!」
青山はこちらに走ってくる。速い。速すぎる。避けれるだろうか。
「まっ...まずい!」
”バンッ”
僕は酒井を押し倒す。
「酒井!逃げろ!」
「逃げろって...北島は?」
「逃げろ!」
「お、おう!」
酒井は走って逃げる。青山はこちらに走ってくる。
「青山...お前が僕の方に走ってくるって...いうならよぉ?」
僕は青山を睨む。
「僕だって、引き付けてやるぜぇ?」
「え...あ!」
僕は”強引強欲”を使う。すると、青山はこちらに引っ張られてくる。
「黒色憤怒!」
「多重共鳴!」
”ドォォン”
僕の体は、青山に拳が当たる前に爆発する。そして、そのまま爆散し───
ていない。
「酒井!サンキューな!」
僕と酒井は”五穀豊穣”で瞬時に回復していた。僕は重力で引っ張られた酒井に触れられ、酒井は自動回復だ。
酒井の”五穀豊穣”は、近づけば近付くほど回復スピードが早くなる。
「なっ...何ぃ?」
「黒色憤怒!」
「げふっ!」
青山は僕に殴られその場に倒れ、転がる。
「はぁ...はぁ...よくも!音の斬撃!」
僕の方に斬撃が飛んでくる。これに当たると、さっきのように肉が抉れる。
「止まれ!」
”ドゥゥゥン”
時が止まる。僕は斬撃を避ける。そして、青山の後ろに移動する。
「黒色憤怒!」
僕の拳は青山の心臓を貫く。これで、終わりだ。
”パチンッ”
時は動き出す。
「ぐはっ...」
”バタッ”
その場に青山は倒れる。
***
「迦具土神!人間の準備が出来たぞ!」
「おぉ!本当か?豊雲野神?」
「あぁ!すぐに派遣するか?」
「あぁ!そうしよう!いいよな?国狭槌尊?」
「あぁ...俺はいつでもいいが?」
「じゃあ!決定だな!そいつを派遣しよう!」
「名前は、永富結城!能力は『豊富』だ!」
***
「青山...ごめんな...」
心臓を打ち抜かれた青山は倒れている。
「それじゃ、進むか?」
「あぁ...そうしようか...」
「あぁ...痛い...痛いよ...」
「なんだ?」
僕は振り向く。青山はゆっくりと立ち上がった。心臓を貫かれていたのに。死んでいない。
「おいおい...許されねぇぞ?」
「なんで...青山?生きて...いるんだよ?」
僕達は走って逃げる。青山から10m以上距離を取った。
「音の斬撃!!」
「止まれ!」
”ドゥゥゥン”
僕は時を止める。そして、酒井の後ろに移動する。酒井は背中を向けて逃げているので、ここで斬撃を止めなければ。
”パチッ”
「傲慢荼羅!」
「え?え?え?」
青山は宙に浮く。そして、こちらに急スピードで突っ込んでくる。音の斬撃を通過し、体がバラバラになった。
「よし!これで!」
「身体豊満!」
僕の後ろから声がする。そこには見知らぬ一人の少年がいた。酒井は、その場に倒れている。
「はぁ...助かったよ...えっと...君は?」
青山はその少年の隣に立つ。
「自己紹介をしよう!俺の名前は永富結城!青山の味方だ!」
「なっ...2人目...だと?」
僕は青山と永富を見比べる。青山の胸の傷は埋まっていた。身体豊満は回復だろう。
「酒井は...」
「失神してるだけだ!安心してくれ!俺はデスゲームに参加してないから...人は殺せないんだ!な?青山?」
「あぁ!俺は...デスゲームに参加したけど、殺す前に死んじまったからな!」
***
永富は酒井に鉢合わせる。
「なっ...お前は...」
「打撃豊富!」
「うっ...」
その場に酒井は倒れる。失神しているだけだ。死んではいない。
「身体豊満!」
そして、バラバラになった青山を治した。