第41話 陽炎
虚空蔵 能力主:河井隆貴
被攻撃回復・・・攻撃を受けると回復する。
加攻撃回復・・・攻撃すると回復する。
監禁遊戯・・・相手を檻に入れることが可能。地雷のように設置が可能。
四肢切断・・・相手の四肢を切断することが可能。
暴力遊戯・・・相手に破壊力のある攻撃をすることが可能。
多重監禁拘束・・・何十もの檻の中に閉じ込める。
放置遊戯・・・相手を異空間へと送り込む。
種族変更・・・自他の種族を変更することが可能。
衣服変更・・・自他の衣服を変更することが可能。
窒息遊戯・・・相手を窒息させることが可能。
微切断刃物・・・手のひらサイズの刃物を出すことが可能。
人肉食人・・・相手を吸収することが可能。
粘性糸射出・・・粘性のある糸を手から出すことが可能。
人間着火・・・生物の皮膚に火をつけることが可能。
冷凍遊戯・・・相手を凍らせることが可能。
死亡生還・・・生き返ることが可能。
明けの明星・・・輪廻転生させることが可能。
***
鼓は国狭槌尊と戦う人たちと雑談を終えて豊雲野神と戦う人たちの方へ移動する。
「どこ行ってたんだ?鼓?」
「ちょっと、応援をしに貰ってた...」
「それでどうなの?」
「俺、師匠って人の下位互換だった...」
僕は鼓にかける言葉がない。
「ははは!面白いな!お前!鼓源平...か!」
久良はそんなこと気にせずに笑っている。
「師匠って、どんな人か知らないが、そんなに強いのか?」
「うん...僕達7人でかかっても勝てないだろうね...」
「えぇ...マジで?」
久良の顔から一気に血の気が引く。
「うん...君たちがどんな能力かは知らないけどさ...」
「それじゃ...行くぞ!」
「「「おう!」」」
酒井の掛け声に合わせて僕達は豊雲野神の目の前に行く。
「お、死ぬ準備は出来たんですね?」
「その言葉、そっくりそのままお送りするぜ!」
***
「国狭槌尊さんよぉ?俺たちに殺されてくれないかぁ?」
皐月が喧嘩腰で国狭槌尊に声をかける。
「死ぬのは、お前らだ!この俺に負けて死ぬんだ!無謀にも1人で迦具土神に勝負を受けに行った馬鹿がいたな!」
「師匠のことを馬鹿にしないでください。師匠は十分強いですよ」
「そうか!でも、迦具土神には勝てないだろうよ!迦具土神は俺ら3人の中で規格外のパワーを持ち合わせているからな!」
***
「火を...消すだと?」
「水を使わないから、エコだろ?」
「{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
迦具土神は陽炎を使う。すると───
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
迦具土神は叫び始めた。
「どうした?」
「お...お前ぇぇ!」
迦具土神の頭に流れ込んだのは作文用紙300億枚にも及ぶ、明けの明星の能力概要だ。
河井はこの明けの明星を本能で理解しているので能力概要は理解出来ている。だが、迦具土神はその一つ一つに目を通さなければ理解することは不可能だ。それを読もうとしたのだから頭の中に一気に作文用紙300億枚にも及ぶ、明けの明星の能力概要が流れ込むのだ。それは脳を破壊するほどの文字数であり───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
脳はパンクを防ぐあまり、{明けの明星}の情報と陽炎を使ったことを消してしまう。そして、迦具土神の頭の中には「明けの明星の概要を知りたい」という好奇心だけが残る。
「あぁぁぁぁぁぁ!」
もちろん、陽炎を使うと脳の中には作文用紙300億枚にも及ぶ、明けの明星の能力概要が入り込むので脳はパンクを防ぐあまり情報を消してしまう。所謂無限ループだ。
「お、すげぇ!これが能力概要1023の3に書かれてることか!」
河井は「本能」で認知が出来る。だから、脳は破壊しない。
例えば、水が入っている桶があるとする。水が溢れると脳のパンクを表し、記憶を強制的に消去をするとしよう。
迦具土神の桶の中にはもとから入っていた水(記憶)にプラスで能力概要という水が追加される。その量は膨大で、到底桶には収まりきらない。風呂の水が風呂桶に収まりきらないのと同じだ。もちろん、水は流れ出る。すなわち、追加された能力概要は消去される。
だが、師匠の場合は桶の中に元から入っていた水(記憶+能力概要)となるので、水は溢れない。
これが脳がパンクするかしないかの違いだ。
明けの明星の能力概要を書くには、何億もの時間を有するし、もちろん読者の皆様の脳をパンクさせてしまう。なので、能力概要は所々で細々と重要な部分を執筆させてもらうとして今回は省かせていただく。
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
記憶は消され───
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
そして───
「あぁぁぁぁぁぁ!」
何度も何度も迦具土神は同じことを繰り返す。当人にはまだ一度しか行っていないと思っているのだろう。脳が齟齬に気づくまでは同じことを繰り返す。もっとも、齟齬に気づいてもすぐに忘れてしまうのだが。
「俺は後棒立ちで勝ちかな?変に刺激してもよくないだ───」
「あぁぁぁぁぁぁ!」
「話してるのに叫ばないで貰えるかなぁ...」
「おい、{明けの明星}とはなんだ!陽炎!」
***
「迦具土神...どうしたんだよ...」
「豊雲野神...よく余所見できるよな?黒色憤怒!」
豊雲野神は北島に殴られる。
***
「クソッ!もう、俺だけでも!これでも喰らえ!」
市川の地面が消えて無くなる。そのまま落下し───
なかった。
「なっ...甕速日神!?」
裏話で、「明けの明星」だけでも師匠は最強だと思う。『性慾』の頃あった能力とか必要ないかも。