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僕はこの国が好きだ  作者: 花浅葱
No.5 滅亡へ向けて
17/44

第17話 尻尾

大黒天 能力主:北島栄

黒色憤怒・・・相手に破壊力のある攻撃をすることが可能。

時間停止・・・時間を数秒止めることが可能。再度使うには何回か呼吸を挟む必要がある。

傲慢荼羅・・・自分の体重よりも軽い物質を好きなように動かすことが可能。

強引強欲・・・自分から重力を引き出すことが可能。

妬鬱怠惰・・・相手の首を絞める。使っている間は心臓が止まる。


恵比寿 能力主:酒井忠

物々交換・・・自分が持つものと価値の等しいものを交換することが可能。

五穀豊穣・・・1m以内にいる相手の傷を癒すことが可能。

大胆捕鯨・・・能力で作り出した鯨を呼び出すことが可能。

 

「でっか...」

 僕の口からは思わず本音が飛び出てしまう。

「私を倒すことがお前にはできるのか?」

「元の姿に...戻れ!」

「元の姿...これだが?」

 言われて見ればそうだ。妖狐が人形をしている訳がない。妖狐はどうあがいても、元の姿は狐なのだ。


「どうすれば...考えろ...とりあえず、止まれ!」


 ”ドゥゥゥン”


 時が止まる。僕は走ってできるだけ妖狐から離れた。


 ”パチンッ”


 時は動き出す。僕が瞬時に移動したことに気づいた妖狐はこちらを睨んでいる。

「ほう!瞬間移動をしたか!」

「どうだろうな?」

 妖狐は9本ある尻尾を地面に叩きつける。地面は振動する。

「傲慢荼羅!」

 だが、妖狐はピクリとも動かない。僕よりも体重があるようだ。まぁ、僕の何倍も大きかったので、期待はしていなかったのだが。


「しょうがない...止まれ!」


 ”ドゥゥゥン”


 僕は妖狐の方へ移動する。そして、”黒色憤怒”で地面を蹴り上げる。妖狐の顔の高さまで飛べた。


 ”パチンッ”


「黒色憤怒!」


 僕が妖狐の顔面を殴る寸前。


「───ッ!!!」

 僕は動きを止める。


 ”ビタンッ”


 僕は妖狐の尻尾によって地面に叩きつけられた。背中が痛い。だが、なんで。


「なんで...酒井が囚われているんだ!」

 妖狐の手の中には、酒井がいた。妖狐は酒井を握りしめている。


「北島!助けてくれ!北島!助けて!北島!」

「ははっ!騒ぐでない!」

「助けてくれ!北島!」

 酒井は腕の中で体を動かしている。だが、手の中から抜け出せない。

「酒井を...離せ!」

「嫌だね!離すわけないだろう!」

「離して!離してくれ!」

「こら!暴れるな!」

 酒井と妖狐の声が交互に聞こえる。酒井を助けなければ。


「黒色憤怒!」

 狙ったのは、妖狐の顔面───否、尻尾!!!!


「あぁぁぁぁ!」

 妖狐の9本の尻尾のうち1本は、赤くなる。内出血だ。

「よくも!よくもやったな!私の尻尾を!傷つけやがって!」

「いいぞ!もっとやれー!」

「あぁ!わかってる!黒色憤───」


 ”ビタァン”


 僕は殴ろうとするも、目の前に酒井を出される。それで攻撃を止めようとした時に、尻尾で弾き飛ばされる。

「クソ!酒井を利用しやがって!」

「利用できなければ、殺すだけだからな!」

「あ、酒井!」

「なんだ?」

「アレを...使えるか?」

「それに、殺すだけなら一瞬で終わるかr」

「あ...アレってなんだ?」

 妖狐の声は途中で途切れて、酒井が返事をする。なんで、途切れたのだろうか。

「アレだよ!アレ!」

「あぁ...アレか?ごめん!無理だ!妖狐がいる!」

「そう!私がいる!」

 そうか。五穀豊穣は無差別に回復を行うのか。なら、しょうがない。


「止まれ!」


 ”ドゥゥゥン”


 時間が止まる。僕は尻尾まで走る。


「黒色憤怒!」


 ”パチンッ”


「あぁぁぁぁぁぁ!」

 酒井の悲鳴が響く。何が。何があったんだ。

「痛い!痛い!尻尾がぁぁぁ!」

 妖狐の悲鳴が響き渡る。僕は”黒色憤怒”で尻尾を2本千切った。

「痛い!痛い!痛い!痛いッ!」

「さて、残り7本...」

「よくも!よくも!よくも!」

 7本の尻尾が暴れ狂う。僕はその尻尾をモロにぶつかる。

「あぁぁぁ!」

 急いで、時を止めなければ。


「止まれぃ!」


 ”ドゥゥゥン”


「はぁ...はぁ...」

 尻尾の猛攻は一時的に止む。だが、数秒後にはまた始まってしまう。尻尾で覆われて外に出れない。


 ───この尻尾からは逃げれない。


 ”パチンッ”


「あぁぁぁぁぁ!」

 また尻尾の猛攻は始まる。時間停止では動くことができない。潰れてしまう。このままでは。


「もう...死ねぇぇ!」


 ”ドォォン”


「なっ...」


 妖狐の体が空を舞う。僕は何もやっていない。酒井は、妖狐の手の中にいる。では、誰が───


「おい!北島!また負けてるのか?」

 この声の主は、最も聞きたかった声の主は、最も頼りにしている声の主は、



 師匠だ。



「師匠!」

「なっ!何故お前が!」

「おいおい...歓迎してくれよ?七尾の狐さん?」

「師匠...どうしてここに?」

「そんなん、淤加美神様(おかみのかみさま)と戦ったところから、自力で抜け出したに決まってるだろ?」

「それじゃあ...フナは?」

 師匠は静かに背中を指す。そこには、師匠に背負われた一人の銀髪の美青年がいた。

「フナ!」

 僕は拳を握りしめる。

「師匠...本物ですよね?」

「あ?俺に偽物がいるのか?」

「いや、確認です!」

「俺の偽物になるなんて、そいつは随分とまぁ、見る目があるんだな!将来有望だぜ?そいつは!」

「師匠...本物なんですね?」

「あぁ!当たり前だ!偽物だったら、お前なんか助けない!」

「よかった...安心した...青山の偽物が現れて...それで、誰も信用できなくて...でも、師匠は師匠だけです!」

 勝ちフラグの師匠が現れた。梅染も救えそうだ。


「敵は...あの狐一人か?」

「はい!そうです!手の中にいる少年は味方です!」

「助けてくれー!」

 酒井は思い出したかのように、声を上げる。狐は静かに僕達を見守っている。なんだ。この違和感は。

「師匠!最後の確認です...師匠の性癖は?」


「なっ!」

 師匠は、一瞬動揺する。そして───


「俺の性癖は、SMプレイだ!」





 この師匠は、偽物だ。師匠の性癖は、「逆バニー」か「エロ蹲踞」の2択なのだから。



*補足*

師匠は、最終決戦で淤加美神に勝利した後、機能停止したフナと一緒に、最終決戦を行った空間に残りました。

そして、今もフナと一緒にその空間に残っています。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここで師匠の登場か?!と思いましたが、違いましたね。 師匠....やはりキャラが立っています。師匠呼びが一番しっくり来ます。 新世界は・・開かれませんでした。
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