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僕はこの国が好きだ  作者: 花浅葱
No.5 滅亡へ向けて
16/44

第16話 妖狐

更新遅れてすいません。

今後ペース落ちます。

多分、スランプ。

 

「あぁ!美味かった!」

「そうだな!」

「私は信頼してもらえたでしょうか」

「な訳ないだろ?信用する訳あるか!」

「そうですか。食事中ならいくらでも襲えたはずなのに?」

「あぁ!ここにいるのは酒井以外全員敵だと思うんだ!」

「あぁ!俺も北島以外は敵だと思っている!」

 酒井は、僕の肩を叩く。

「そうですか...」

 女はニヤリと笑う。

「やれ!」


 ”ブスッ”


「あう...」

 僕の左肩に手刀が刺さる。そこからは、血が滲んでいた。

「なんで...酒井!」


 手刀の手の持ち主は、酒井であった。

「いやぁ!残念ですね。あなた達が自分以外を信用しないことくらい最初からわかっていましたよ!だから、酒井に変化したんですよ!」

 酒井───否、酒井の格好形をした何かはニヤリと笑う。

「傲慢荼羅!」

 だが、酒井の格好をした何かは動かない。それはつまり、僕よりも体重が重いことを示唆している。

「腕を引きちぎれ!」

「止まれ!」


 ”ドゥゥゥン”


 時が止まる。僕は急いで酒井のような何かから逃げる。

「腕から血が...止まらない...」



 ”パチンッ”


 時は動き出す。酒井のような何かは手刀を動かした。避けていなければ腕が裁断されていたかもしれない。

「避けられましたか」

 女は酒井のような何かに近づく。


 ”グニャァ”


 視界が歪む。中心は、女と酒井のような何かだ。ここを中心に視界が歪んでいく。

「うっ!」

 僕は思わず目をつぶってしまった。これが、致命的な欠点だと気づかずに。


「ゲホッ!」

 僕の腹に鈍い衝撃が走る。目を開けると、そこには女が一人いた。酒井の姿はない。

「北島!死んでください!」

「止まれ!」


 ”ドゥゥゥン”


 僕は時を止める。


「げほっ...げほっ...」

 僕は先程食べたおにぎりを吐き戻す。


 ”パチンッ”


 時は動き出す。僕が移動したことに気づいた瞬間に、女は攻撃をやめる。

「お前は...何者だ?」

「なんで...僕を知っている?」

「知り合ったのは...1年と8ヶ月前...ですかね?」


 ───1年と8ヶ月前に起こったことと言えば唯一つ。




 神の遊戯の開始だ。


「神の...遊戯...だと?」

「えぇ!そうです!問題!私は誰でしょう!」

「クラスメートか?」

「ブブー!違います!」

転校生(プラスファイター)か?」

「ブブー!違います!」

 女の喋り方は段々口語になってきた。

「それじゃあ...先生か?」

「ブブー!違います!鈍感だね!君は!」

 わからない。こんな女に見覚えがない。

「いや...クラスメートも惜しいかもね!」

「クラスメートが...惜しい?」

「あぁ!惜しい!だけど、転校生(プラスファイター)じゃないぞ?」

 神の遊戯が始まってから出会ったクラスメートなどいない。


 誰だ。誰なんだ。


 青山健治赤木梨優池本朗石田大輝石原理代伊藤遥梅染久美遠藤瑠衣大木廉小笠原翔太織田麗貝塚勇気河井隆貴菊池舞小池慎二小林慶太才木美樹斎藤浩二設楽拓海須田洋次高須義陽高橋陸田中美有玉井結千葉玲子築地聖子辻本武冨永喜代中川良太波野裕介西田雅秦野翔平福田幸太細田佳穂三井涼子水原心山崎篤樹山田創真湯浅卓也


 全員知り合いだ。みんなと喋った。この女は誰なんだ。何が起こっているんだ。

「わからない...わからないよ...誰なんだよ...」

「ヒント、欲しい?」

「あぁ!くれ!くれよ!ヒントを!」

「断る。

 女はニコニコと笑いながらこちらを見ている。狐だ。こいつは、人を化かす狐だ。

「わかった...」

「本当に?」

「あぁ...お前は!」

 僕は唾を飲み込む。


「お前は!赤木梨優だ!」



 ”ゴクリッ”


 僕はもう一度唾を飲み込む。




「どうして...どうしてわかったの?」

「正解か?」

「えぇ...まぁ、正解よ!私は赤木の体を乗っ取った淤加美神様(おかみのかみさま)の秘書の妖狐よ!」

「そう...だったのか...」

 僕は驚いていた。そうだ。確かに最終決戦で赤木は、淤加美神(おかみのかみ)サイドについていた。

 その正体がこいつだったとは。


「どうして...わかったの?」

「お前の出席番号が2番だからだ!」

「え?」

「僕は出席番号の順番に言っていこうとした!だが、一番は青山健治だろ?だが、それはこの前僕が倒した!だから、違うんだ!負けた人間を僕のところに何度も送ってくるはずがない!だから、次は2番の赤木なんだよ!」

「それじゃ...勘だったって...こと?」

「いや、勘じゃない!当たるまで何度も答えていた!」

「そう...そんなくだらないことだったのね」


 ”グニャリ”


 女は曲がり始める。僕は吐き気を催す。なんだ。この吐き気は。もう吐けるものは残っていない。

「っが!げほっ!げほっ!かー!ブフッ!」

 僕の口からは黄色い液体が漏れ出る。喉が痺れる。

「そんなに吐かなくてもいいじゃないか」

 僕の頭上から声がする。僕は急いで上を向いた。


「あ...あ...」


 僕の口から言葉が出ない。そこにいたのは───



「どうした?なんでそんなに驚いている?」

「な...そんな...勝てる訳...ないだろ...」


 そこにいたのは、僕の身長をゆうに超える巨大な九尾の狐が僕の頭上から、睨んでいた。

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― 新着の感想 ―
[一言] マンガの活字みたいに、大量に挙げることで、視覚効果としてインパクトを残す。 名前を挙げることで・・。 ノコギリで戦っていくあのマンガのあの場面を思い出します。
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